上杉隆 連載コラム 「前略、芝の上から」

2011.09.22


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僕らは"新宿の聖地"で
成長し強くなった

 新宿パターはまた僕たち少年ゴルファーに自虐的な精神を植え付けた聖地でもある。厳しい自然環境、いや自然ではない。厳しい都会環境でのゴルフは間違いなく僕たちを成長させた。

 昨夜の台風を覚えているだろうか。街路樹の枝が折れて飛ぶようなあの強風、それと同じような風の中で僕らはプレーをし続けたのだ。強風で体が持っていかれることなど日常茶飯事であった。

「ゴッー」という音ともに高層ビルからたたき付ける風が僕たちを襲う。恐怖で思わず瞠目し、体を強張らせる。その間、ボールは勝手に動き出し、飛んできた小枝が頬に当たる。

 危険である。何度、警備員にその場を離れるように注意されたことか。だが、じき見回りにやってきても、何もいわなくなる。そう、聞く耳を持たない少年ゴルファーたちに愛想を尽かしたのだ。

 風だけではない。灼熱の太陽も僕たち少年ゴルファーを大きく成長させた。

 真夏の太陽の容赦ない照射、焼けた人工芝の照り返し、新宿住友ビルの銀色の壁の反射、何もかもが容赦なく僕たちを襲った。

 それでも、僕らはボールを転がし続けた。吹き出す汗の量が増えれば増えるほど、自分たちは強くなっていくのだと根拠なく言い聞かせて、戦いを続けたものだった。

 僕たちにとって雨はなんの苦痛にもならなかった。問題は雪だ。

 通常、積雪はゴルフを休止させる。だが、新宿パターでは違った。雪といえども試合は決行されたのだ。

 悴(かじか)む指先を保護するのは、池袋の東急ハンズで買ったカラー軍手だった。凍える耳を保護するのは高田馬場のビッグボックスで買った安い耳あてだった。そもそも頭は髪の毛が保護してくれる。雪といえどもプレーに大して影響を及ぼさない。いや、パターで打たれたボールの転がりを除いては……。

 まさに僕らのゴルフの精神は新宿パターに宿っている。その聖地で成長し、強くなった僕らは、そこから本当のゴルフ場を目指すようになったのだ。

 その聖地での出版記念会。ゴルフの夢は夜開く。宇多田ヒカル、藤圭子親子も驚きのパーティは10月7日である。

 ここまで宣伝すればいいだろう。私は満足である。では、聖地、新宿パターでお会いしましょう。

 ※この記事の情報は2011年のものです。現在は開催しておりません。

[ 第67回 終わり ]


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