上杉隆 連載コラム 「前略、芝の上から」

2011.08.24


【第63回】
勉強よりも、恋よりも。

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(前回のあらすじ)
ジャーナリスト・上杉隆は、1980年第、中学・高校時代を通じて、ゴルフに夢中な青春を過ごしていた。「大ちゃん」「イワオ」といった友人たちと、勉強を放り投げて白球を追う日々――。これは、彼と彼の仲間たちを中心とした、青春ゴルフノンフィクションだ!

素晴らしいゴルフ書が
2011年8月31日に発売されるらしい。

 ――勉強よりも恋よりも、僕らはゴルフがしたかった――

 こんな素敵な惹句で、読者を郷愁の世界に誘う本が出版されるという。

 舞台は1980年代の東京・新宿。少年ゴルファー6人が繰り広げる悲喜こもごもの青春ドラマは一読の価値あるものだという。

『放課後ゴルフ倶楽部』

 タイトルも素晴らしい。ゴルフダイジェスト社から出版される定価わずか1200円の本、ぜひとも読んでみたいものだ。

 装丁もノスタルジーに満ちている。朝焼けの空に向かってショットする学生服の少年たち。遠くにはまだ数の少ない西新宿の高層ビル群が聳え立っているのがみえる。

 パラパラとページを捲ってみる。エピローグにある一文に目が留まった。

――1980年代、新宿のど真ん中でゴルフをすることで得られるのは、大人たちからの叱責と罵倒、同級生からの嘲笑と軽蔑くらいのものであった。それでも僕たちはゴルフに熱中した。なぜなら、それが僕たちの青春そのものだったからだ――

 なんという青春、なんという境遇。早く読みたいものだ。

 だが、発売は一週間後の8月31日だという。果たして、それまで私たちは我慢できるのだろうか。

 それにしても、この垂涎のゴルフ本の著者はいったい誰なのであろうか。

「上杉隆」

 おお、私自身ではないか。しかも、著書はこの連載がベースになっているという。

 この宣伝臭のするわざとらしい前書きで、ここまで引っ張ったことに、私自身、一種の驚きを禁じえない。実際、世の中は驚きに満ちている。

 最初、私がゴルフというスポーツの存在を知ったのは、近所の喫茶店に貼っているカレンダーによってであった。

 美しい金髪の女性が、やはり美しい緑の芝生の上で、水着のまま鉄の棒を振っている。

「きっと、大人のスポーツなんだな」

 それがうっすらと残る、私とゴルフとの最初の出逢い。小学生のころの出来事だった。


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