上杉隆 連載コラム 「前略、芝の上から」

2011.08.09


【第62回】
ゴルフが教えてくれたこと。

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(前回のあらすじ)
ジャーナリスト・上杉隆は、1980年代、中学・高校を通じて、ゴルフに夢中な青春を過ごしていた。「大ちゃん」「イワオ」といった友人たちと、勉強を放り投げて白球を追う日々――。これは、彼と彼の仲間たちを中心とした、青春ゴルフノンフィクションだ!

旅の途中、ゴルフ雑誌を読みながら
昔読んだレッスン書を思い出す。

  仕事柄、旅する機会が多い。

 ここ一カ月間だけでも、長崎、兵庫、大阪、福島、北海道、神奈川、静岡、山梨、東京、福岡、佐賀などなどを飛び回っている。

 新幹線の場合もあるが、大抵は飛行機での移動である。となると、ゴルフ雑誌は重要な旅の友となる。

 GDOから新しく創刊された「スタイルブックワールド」はいきなり親友となっている。別に宣伝で書いているわけではない。機内や車内で、久しぶりに時を忘れさせてくれたゴルフ雑誌である。

 おかげでこの原稿も遅れた。いや、その言い訳のために書いたのではない。実際、ゴルフ好きにはたまらない内容となっている。

 なにしろ巻頭の目次からしびれてしまった。リー・ウエストウッドが「クイックチップス」として、プレショットルーティンの際のアドバイスしてくれるのだ。

 さらにページを捲っていけば、トム・ワトソン、デビッド・レッドベター、そして、なんとジャック・ニクラスのレッスンと続くのだ。

 なんということだ。懐かしいではないか。ニクラスのレッスンなど約30年前に読んだ「ゴルフ・マイ・ウェイ」以来だ。

 その後もジョナサン・ベガス、ハンク・ヘイニー、ブッチ・ハーモン、リッキー・ファウラーなど垂涎のスターたちのレッスンやクールなコラムがあり、ついにはグレッグ・ノーマンの濃密なインタビュー記事に到達する。

 参った。これでは原稿が書けないではないか。そんなことで苦しみながら、ぼくはふと、少年時代に読み漁ったレッスン書を思い出していた。

 ベン・ホーガンの「モダンゴルフ」は当時のジュニアゴルファーすべてにとって必須の教科書であった。

 スクェアグリップに握って、ガラスの仮想スウィングプレーンに従って、左手を内転させ、左下半身の始動によってダウンブローに打ち抜く。

 今思えば、まだ身体のできていない13歳のぼくたちの夢を、確実に奪うようなスウィングを強要していたのが、その「モダンゴルフ」だったのである。

「モダンゴルフ」を代表として、当時のレッスン書の多くはジュニア向けとは言いがたかった。いや、そもそもゴルフは子供のスポーツではなかった。よって、ぼくたちは、雑誌の連続写真を教本にして、お互いのスウィングチェックをするのが関の山だったのだ。

 その点で、ジャック・ニクラスの師匠であるジャック・グラウトのレッスン書は唯一のジュニア向けの本と言ってよかった。


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