上杉隆 連載コラム 「前略、芝の上から」

2011.07.12


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本命はイワオ&大ちゃんペア、
そして大穴は暴走族&不良ペア……。

 下馬評で最強と目されたのが〈イワオ=大ちゃん〉ペアである。圧倒的なゴルフセンスで中学最強(新宿限定)とみられていたイワオと、繊細な技術で卒のないプレーを展開する大ちゃんに勝てるチームはないとみられていた。

 対抗は、ヨデブと僕(ウエスギ)のチームだった。波はあるものの爆発力のあるヨデブと、たまに発揮される圧倒的な集中力では群を抜いているといわれていたウエスギのペアは、噛み合いさえすれば、優勝も夢ではないとされていた。

 言いだしっぺの鈴っちゃんは、エテパンとペアを組んだ。ゴルフ知識とコースマネジメントにおいては独自の世界を展開している鈴っちゃん、そして力強いプレーで定評のあるエテパンのチームは台風の目になるとみられていた。

 コミとユージの優等生ペアはそのチームワークにおいては、優勝争いに絡む可能性も指摘されていた。運動神経抜群の秀才コミはゴルフそのものよりも、言葉でライバルを攻撃する必殺技を持っていた。逆にユージはその紳士的な振る舞いで相手チームを油断させる技を持っていた。

 時にこのチームには、もう一人の優等生アンドーも代理で入ることもあった。アンドーは器用なアプローチとパッティングでセンスのよいゴルフをしていた。

 そして、誰もが認める大穴がコバとムーチンのペアであった。暴走族「新宿統慎」のリーダーであるコバと、ギャンブル好きの不良ムーチンは、とてもゴルフには似つかない二人だった。

 その二人がチームを組むことで想像できるのは、芝生を無駄に掘り起こすか、たまに巡回してくる警官や警備員に絡むか、あるいは飽きてしまってゴルフそのものを投げ出すかのいずれかだ。

 最初、朝の似合わないこの二人がサンコーGCに現れたとき、僕たちは、何か悪巧みの相談があって、やってきたのかと思ったくらいだった。

 二人からトーナメントの参加を告げられたとき、私は早速、チーム名をつけた。

〈史上最低最悪のチーム〉

 この二人の共通点といえば、あらん限りの力でクラブを振ること、さらに警官がやってきて僕たちに注意を与えても、完全に無視できるという素質だけであった。

 チームマッチによるトーナメント方式の大会は、負ければ消えていく。誰もが、もっとも早く消えていくのはこの二人だと思っていた。

 ところが、いざ大会が始まると、予想外の展開となる。驚いたことに、この「史上最低最悪のチーム」が快進撃を続け、次々と強豪チームを打ち破っていくのである。

[ 第58回 終わり ]


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