名手・達人の言葉

2014.02.19

おまえは左手首の使い過ぎだ。手の甲にささくれだった木の枝を絆創膏ではりつけな。

元日本プロゴルフ協会副会長・勝俣功が、師・中村トラさんからいいつけられた指導法だ。

トラさんは我流で確固たる技術を身につけた。158㌢、60㌔に満たない小柄な体で(ドライバーで220ヤードの飛距離)、280ヤード飛ばすサム・スニード、ゲーリー・プレーヤーなどに7打差をつけて勝ったカナダカップ(現ワールドカップ)は伝説として今に語り継がれる。

独学なだけに、体験して効果あったことを身のまわりのもので、上達法を表現し実行させた。勝俣はこうもいわれた。

「目がきょろきょろしてだめだ。家の障子に指で穴を開けて毎日一点を30分は見ろ」

文句をいおうものならシャフトがコキーンと飛んできたそうだ。

 

【プロフィール】
■中村 寅吉(なかむら・とらきち 1915~2008年)
横浜市生まれ。家が貧しかった寅吉少年は、小学校を卒業後、保土ヶ谷CCでキャディとして働く。見よう見真似でゴルフを覚え、やがて先輩を追い抜く上達をみせる。158cmの小柄な身体で飛ばすための「2段モーション・スウィング」は血のにじむような練習で身につけた。プロ入りし、マッチプレー全盛の頃はさしたる成績は残していないが、ストロークプレーになって無類の強さを発揮しはじめる。56年に始まった関東オープンでは4年連続、その後2年置いて3連勝を果たす。
日本オープン3勝、日本プロ4勝など勝利多数。81年の関東プロシニアでは公式戦では日本で初めてエージシュートも達成。なかでも極めつけは57年に霞ヶ関CCで行われた当時のゴルフのワールドカップ「カナダカップ」に小野光一と組んで優勝したことだろう。中村は個人優勝も果たして戦後のゴルフブームに火をつけた。
女子プロ界の女王となる樋口久子を育てたことでも有名。その後も日本プロゴルフ協会会長なども歴任。プロ界の指導的役割も果たした。

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