名手・達人の言葉

2010.12.08

私は一球たりとも無駄なボールを打ったことがない。――ジャック・ニクラス
1960年代から80年代前半まで、世界の頂点に君臨して、名前の前に“帝王”と冠がついたゴルファーはニクラス一人。

タイガー・ウッズが出現するまでは、まさかメジャータイトル18勝が脅かされるとは思いもつかなかった。

そんな時代の帝王は、試合はおろか練習でも表題の「言葉」が現実だった。前にも紹介したが、筆者にもそのエピソードを裏づける体験がある。

今から30年も前のマスターズ。練習場で帝王がドライバーを取り出すと、キャディのアンジェロはボールの落下地点とおぼしきところに、ボールカゴを持って立つのだ。ドライブの時は感触をつかむために、実戦で使う自前のボールで打つのだが、それを回収するために。

帝王からドライブされたボールは――アンジェロはときおり位置は変えるが、そのあとはほとんど動かずに――ワンバウンドで、カゴの中に入っていく。たった一球の例外もなく。

アンジェロが打つ前に動くのは、帝王がフック、スライスの合図があるからだと、後で知ったことだった。

その様子をジャンボ尾崎が自分のボールを打つのを止めて、しゃがみ込んで憧憬の顔つきで見ていたのが昨日のことのように思い出される。

 

■ジャック・ニクラス(1940年~)

米国・オハイオ州生まれ。10歳でゴルフを覚え、12歳から5年連続で州ジュニア選手権に優勝し、神童と呼ばれる。その後全米アマを2度制し、61年にプロ入りした。その翌年、全米オープンに優勝するが、当時のヒーロー、A・パーマーを破っての勝利と太めの体格のためか、敵役となる。その後巨漢からスリムへ、GIカットから長髪へイメージチェンジを果たし、帝王と呼ばれるようになる。ツアー73勝、シニア他32勝。なかでも4大メジャー18勝は未だ破られず、4大メジャーでの2位も19回と圧倒的。グランドスラマーであり、殿堂入りも果たした、20世紀最高のゴルファーである。

 

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