名手・達人の言葉

2010.07.14

急行? えっ、気がつきませんでした。――ジョイス・ウェザレッド
 

 以前、帝王・ニクラスがパットしている時に、帽子が飛んだことも分からないくらい集中していたというエピソードを紹介した。今回はその英国女性ゴルファー版だ。

 時は1920年、ロイヤルトルーンGCで行われたイングランドレディス選手権でのことだった。

 英国不世出の天才女子ゴルファーと謳われたジョイス・ウェザレッドは、19歳で初の大試合でのデビュー戦に挑み、当時の女王、セシル・リーチと決勝で戦うことになった。

 15番でイーブンになり、17番へ。ジョイスがグリーンでパットしようとしたその時、グリーンから30メートルくらいしか離れていない線路上を急行列車が走り抜けたのである。

 轟音が響き渡る。当然、ジョイスが仕切り直しをするものと思われたが、そのまま打ってカップイン。初出場でビッグタイトルを射止めた瞬間であった。

 試合後、記者が「なぜあの時、仕切り直さなかったの?」と問うと、彼女は「えっ! 何のこと?」に続いて、表題の「言葉」を述べた。それほどそのパットに集中していたのである。

 ジョイスはその後、引退するまで英国を含むヨーロッパで38勝をあげ、天才女子ゴルファーの名をほしいままにした。

 

■ジョイス・ウェザレッド(1901~97)

イングランドの裕福な家庭に生まれ、夏はスコットランドの別荘で過ごし、ローヤルドーノックでゴルフ大好きの父親から兄ロジャーとともに手ほどきを受けた。19歳から28歳までの現役9年間に、全英レディス選手権7勝、ブリティッシュ女子アマ選手権3勝。不世出の天才女子ゴルファーと謳われた。兄ロジャーも全英アマや全英オープンに優勝している名選手だった。

 

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