名手・達人の言葉

2009.10.07

自分は、ほんとうは花びらのように感傷的なんだ。――ニック・ファルド
 

 この「言葉」は、ファルドが1992年、全英オープンで勝利したときの記者会見で吐かれたものだ。

 ファルドといえば冷静沈着で知られる。ピンチに落胆の表情は見えず、スーパーショットを放っても笑顔さえない。

「思い描いたショットでピンにつけば、ささやかな幸せを感じて心の中では秘かに笑うよ。しかし、プロたるもの、さらりとやってのけるから評価されるものだよ。それがプロの仕事。だけどほんとうは――例えば私生活では理性的な人間ではなく、むしろ感情的で涙もろいのさ」

 自分があまりに誤解されていて、たまには本当のことを書いてもらいたくて、記者会見で心情を吐露したのだという。

「こんなでっかい図体をした大男が、小さな可憐な花のようにもろく傷つきやすいのだということを表現したかったんだ」と、ニコリと笑顔をつくった。

 あのファルドがあんなリップサービスをしたとはね……と、記者達の間では評判になった。

 その4年後、マスターズでの最終日に、グレッグ・ノーマンにつけられた6打差をひっくり返して大逆転したときのファルドは“花びらのような感傷”は微塵もなく、プロフェッショナルの冷徹な顔があった。

 ※『ゴルフインタビュー』(ゴルフダイジェスト社刊)より一部引用

 

■ニック・ファルド(1957~)

英国・イングランド生まれ。14歳の時、当時の帝王ニクラスがマスターズで活躍するTVを見てゴルファーをめざす。76年プロ入りし、欧州で転戦後、81年よりPGAツアーに参戦。名伯楽D・レッドベターのアドバイスを受けながら、PGAツアー9勝。その中には全英オープン(87、90、92年)、マスターズ(89、90、96年)のメジャー6勝が含まれる。96年のマスターズでは、6打差あったG・ノーマンを逆転し優勝した。他ヨーロッパ各地で39勝。世界ランキング1位にも97週在位し、いわばタイガー以前の第一人者であった。97年ゴルフ殿堂入り。07年チャンピオンツアーに参戦したが、勝利はまだない。

 

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