名手・達人の言葉

2009.09.02

優勝おめでとう。だけど最後のパット、なぜ入れなかったの?――中部銀次郎
 

 中部が誰に言ったのかというと、青木功にである。

 青木が、ある試合の最終日18番ホールで、1メートル程のパットを外した。しかし、青木の優勝は動かない。

 その晩、青木は中部より電話をもらった。それが表題の「言葉」である。最後の言葉に青木は「勝ったからいいじゃない」と返したという。

 その時、中部は次のように言ったそうだ。
「同じ勝利でも最後の最後まで手を抜いてはいけないんだ。負けた相手にこの人はすごいと思わせるのが本当に強い者の勝ち方なんじゃないの。次またその人と対戦したときの印象が全く違ってくるよ」

 青木と中部は何かと気が合った。青木が修行中の我孫子GCに中部が訪れて以来、ウマが合う何かを感じ合っていたのだという。片や無頼派的プロ、片やアマ界の貴公子、生まれも育ちも環境が全く違う2人。おもしろいものだと筆者は思う。

 青木は試合に対しては優勝じゃなければ、2位もビリも同じだという勝負観を持っていた。それが土壇場まで決してあきらめないゴルフを展開するようになって、大輪の花を咲かせた。

 中部のこの助言は、心の中にまで沁みたと青木自身が話していた。

 

■中部 銀次郎(1942~2001年)

山口県下関市に大洋漁業を営む一族の御曹司として生まれる。虚弱な体質のため、幼少より父の手ほどきでゴルフを始める。長ずるにしたがって腕をあげ、天才の出現と騒がれた。甲南大卒。60年、18歳で日本アマに出場。62年、20歳で日本アマ初優勝。以後64、66、67、74、78年と17年にわたり、通算6勝の金字塔をうちたてた。67年には西日本オープンでプロを退けて優勝。プロより強いアマといわれた。しかし、プロ入りはせず、生涯アマチュアイズムを貫いた。01年、永眠。

 

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