名手・達人の言葉

2008.11.19

ゴルフ上達には、まずスウィングの山を登り、次にゲームの山を登りきることが必要だ。──鍋島直泰 ゴルフの才能とは何だろうか?

 あるジュニア・インストラクターによると、ゴルフを始めたばかりのジュニアを見て、その才能があるかどうかの判断を聞かれたときは、次のように答えるそうだ。

 ボールを打つフィジカル的身体能力は、最初から何とか判じられるが――飛距離が出るとか、球捌きが上手いとか――それが後にいいスコアを出せるかということは、全くもって判らない、と。

 つまり、いいスウィングをしても、それが即いいスコアに繋がるとは限らないし、逆に変則的スウィングでも、スコアメークに秀でた者もいる。そこがゴルフのミステリアスなところだとも洩らしていた。

 その疑問に、鍋島直泰の表題の「言葉」は答えているような気がする。

 ゴルフを始めるとまずスウィング習得が必要になる。スコアをつくりだすためのツールである。次にそのツールを使ってスコアメークをしていくのだが、ここからはまた別の能力、才能が必要ということらしい。

 いわばいいスウィングを持ち、その上でスコアメークの才能を持った者こそが、ゴルフの世界で花開いていく。そのどちらかしか持ちえない者は、平凡なゴルファーで終わっていくしかないのだろう。

 考えてみれば、スウィングは2秒ほどで終わるもの。パープレーの72ストロークなら、体が使う時間はパットも含めて、(あえて単純化すると)たった144秒で終わってしまう。1ラウンド4時間から5時間かかるほとんどの時間は、コースという自然と対峙し“考える”ことに費やされる。これが鍋島のいう「ゲームの山をどう乗り切るか」ということだろう。

 鍋島は、アマチュアイズムを追及し、純粋にゴルフ道を極めたいと思い励んだ人である。日本アマに3連勝するなど、戦前のゴルフ界を牽引した達人が、自らの経験から放った箴言だ。

 

■鍋島直泰
(なべしま・なおやす 1907~1981)
旧佐賀藩主鍋島家の直系で元侯爵。中学時代からゴルフに親しみ、華麗なスウィングの持ち主だった。1933年から3年連続で日本アマチュア選手権優勝。戦後は世界アマチュア・チーム選手権の日本代表を務めるなど、数多くの国際試合にも出場。1ラウンドで2度のホールインワンを出して話題になった。ゴルフ以外でのマナー、生活態度にも厳しく、アマチュア道を自ら実践した人として、日本ゴルフ史にその名を刻む。

 

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