名手・達人の言葉

2008.10.22

ウィンズ・アンド・ウィンズ──スコットランドの諺(ことわざ) 翻訳家で、ゴルフ愛好家である永井淳氏が、スコットランドのリンクスに淫し、10年もの間、仲間達とリンクス詣でをしていた頃の話である。

 リンクス詣でを始めた最初の年の1991年、とびっきり風の強い日に、ロイヤル・カウンティ・ダウンというコースでのラウンドを終えた氏は、地元ゴルファーから話しかけられた。そのときの「言葉」が表題のそれだ。

 風のことをいってるとは分かったが、英語に堪能な氏でも、真の意味が理解できたのは後からであったという。

 「ウィンズ・アンド・ウィンズ」、これを英語で綴ると「Winds and Whins」。つまり、風とハリエニシダの意味になるってわけだ。

 ハリエニシダはリンクスの至るところに群生し、自然のハザードと化している。黄色い花をつけ、それはそれで綺麗なのだが、葉は羊に食われないようにと、自己防衛のためか鋭い針になっていて、ジーンズの固い布さえ通してしまう。ボールがそのハリエニシダのブッシュに入ってしまうと、アンプレヤブルにせざるをえないそうだ。

 リンクスの強い風はよく知れ渡っているのだが、もうひとつのウィンズはそんなに知られてはいない。「ウィンズ・アンド・ウィンズ」、その二大要素がリンクスの真髄だと土地っ子の間では言わずもがな、だったのだが、その日はあまりに風とハリエニシダの“被害”が大きかったのだろう。思わず永井氏に声をかけたのだ。

 永井氏はその後、92年から7年連続(04年からは五月雨で)、リンクス詣でをしてきた。行ったその日から、ひたすらリンクス(後年はスコットランドからウェールズ)を巡り、名所旧跡など見向きもせず、滞在期間中はすべてラウンドに使い切るほどだった。

 そして、その「ウィンズ・アンド・ウィンズ」に苦闘を強いられながら、それがまた挑戦欲を掻きたてられるという愉しみも味わうことになるのである。

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