名手・達人の言葉

2008.07.09

“集中していると他のことが真っ白になって、カップまでの線がはっきりと見えていた。 ジャック・ニクラス

『週刊文春』(6月19日号)の『まだ宵の口』という鈴木幸一氏が書いているコラムで紹介された「言葉」だ。

 アメリカの取引先が開く懇親コンペで、なんと氏は20世紀最高のゴルファー、帝王二クラスと一緒にラウンドする機会を持った。その時に聞いた「言葉」という。

 内容を要約すると、
「年をとると集中力が衰え、パットラインが読めなくなる。ゴルフは肉体より精神面の衰えが影響するとは身をもって知らされた」。
 そして「メジャーで勝つことが当たり前だった頃は」に続いて冒頭の「言葉」が発せられたという。

 さらに帝王は「TVの解説者が運を味方につけなければ勝てないというのが、不満だった。なぜなら集中するとラインが見えるのだから、運は必要ないんだ」と。

 やっぱりそうだった。二クラスの後継者、タイガー・ウッズが勝負どころでことごとくパットを決めるのはやはり、タイガーの目には白いラインが見えていたからなのだ。

 例えば2008年の全米オープン最終日の18番ホール、プレーオフにこぎつけるパットなどは、まさにそうだったとしか思えない。

 野球の話だが、かつて「打撃の神様」と謳われた川上哲治氏は「投手が投げた球が止まって見えた」といった。「じっと集中していると、まわりが暗くなりボールだけが白くなって縫い目がはっきりと見えた」と。

 これは実際、筆者も「神様」から直接聞いた話であるから間違いない。これは今でいう“ゾーン”に入った状態なのではと、言っておられた。

 優れた音楽家は凡人には聞こえない「絶対音感」を持ってるように、超一流ゴルファーには普通の人には見えないものが見える「絶対視線」が備わっているのかもしれない。

 
■ジャック・二クラス
(1940年~)
米国オハイオ州生まれ。10歳でゴルフを覚え、12歳から5年連続で州ジュニア選手権優勝。神童と呼ばれ、その後も全米アマ2勝して、61年プロ入り。そして翌年にははやくも全米オープン優勝。そのときはヒーロー、A・パーマーを破っての勝利で、太ってもいて敵役となった。しかし72年には巨漢からスリムへ、GIカットから長髪へイメージチェンジを果たし、帝王とよばれる道をひた走った。ツアー73勝。シニア他32勝。なかでも4大メジャー勝利数18は未だ破られていないし、同じく4大メジャーでの2位も19回と圧倒的。もちろんグランドスラマーで、殿堂入りも果たしている。20世紀最大のゴルファーにも選ばれている。

 

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