名手・達人の言葉

2008.04.23

ゴルファーの心構え? 洗面台の水しぶきを拭き取ることです。 中部銀次郎

 なぜ、この「言葉」を取り上げたかというと、4月21日付朝日新聞のスポーツコラムに同じ類いの話が載っていたからだ。

 ツアー初戦の東建ホームメイトカップ最終日、朝のトイレで、今、旋風を巻き起こしている石川遼が、洗面台使用の後、水しぶきを拭き取っていたとの記者のレポートである。弱冠16歳でありながら、躾もきちんとして育てられているという賞賛の記事であった。

 この「言葉」は中部が皆の前で、高みから言ったわけではない。中部に師事していた内藤正幸が1981年、日本アマに勝った後、「日本アマチャンピオンとして、プライドを持って、ちゃんとしろよ」と諭された。その中に例えば――、という話で出たという。

 中部は酒場に行った折りでも、トイレが汚かったら、黙ってその掃除をして出たという。自分の粗相は始末しても、人のまでやってあげる人は初めてだと、酒場の主人は言っていた。そのことを中部に伝えると、テレ隠しに「自分がやったと思われるのがイヤだからやったまで」と。

 行儀良さはゴルフの上達にもハネ返ってくるとも、中部は飲んだ折り、よく筆者などに言ってたものだ。常に背筋を伸ばしていれば、自然にすくっと正しいアドレスもつくりやすいし、洗面台を拭くことで、そこが綺麗になれば自分の気持ちが穏やかになる。そうやって1番ティグラウンドに上れば、心も静かになりやすいではないか。だから自分のためにやっているのだと。

 その日の石川遼の気持ちはどうであったか?

 
■中部 銀次郎
(1942~2001年)
山口県下関市に大洋漁業を営む一族の御曹司として生まれる。虚弱な体質のため、幼少より父の手ほどきでゴルフを始める。長ずるにしたがって腕をあげ、天才の出現と騒がれた。甲南大卒。60年、18歳で日本アマに出場。62年、20歳で日本アマ初優勝。以後64、66、67、74、78年と17年にわたり、通算6勝の金字塔をうちたてた。67年には西日本オープンでプロを退けて優勝。プロより強いアマといわれた。しかし、プロ入りはせず、生涯アマチュアイズムを貫いた。01年、永眠。

 

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