名手・達人の言葉

2007.09.26

頭不動のスウィングは ハイカラな人のための理論だ 杉本英世

 スウィングを作る時、「頭は動かすな」というのが、長い間、日本でいわれてきた金科玉条だった。
 頭が動かなければ軸も動かず、安定したスウィングを作ることができる。そのためにトップで首の下に肩を入れていく……。英米のレッスン書にはそう書いてあったからだ。

 しかし、どうも違うななどと言い出したのは中村寅吉ぐらいからだろうか。

 そして、1960年代の日本プロツアー勃興期、“ビッグスギ”のニックネームで、パワーゴルフの幕開けをかざった杉本英世に至って表題の「言葉」が残されたわけだ。

 ハイカラとは、今では死語に近いが“洒落た”という意味で、元々は明治時代、外人さんが襟の高いシャツ=ハイカラーを着ていたことから来ている。
 つまり、頭を動かすなという理論は首の長い人=外人用と、杉本は喝破(かっぱ)したのである。

 杉本のこの言葉には説得力があった。というのも、杉本は米ツアーに参加した初の日本人だからである。
 67年、ハワイアンオープンに招待されたが、なんと杉本は3日目に寝坊して、遅刻・失格してしまうのだ。
 この不名誉で日本プロ協会は1年間の国内出場停止を杉本に課す。

「日本で出れないのなら、アメリカに行こう」と、単身米ツアー受験。見事に受かって、その1年間、単身で英語辞書片手に全米を駆け巡った。
 その時、杉本は米ツアー選手と日本人の彼我の違いを実感として知ったのである。

 その経験から後年、日本人のためのレッスンを構築したが、その過程で発せられた「言葉」であったゆえに、説得力を持ったのである。

 
 
■杉本英世
(すぎもと・ひでよ 1938~)
伊東市川奈で生まれ、川奈ホテルGCで修行。59年プロ転向。パワー時代の申し子として“ビッグスギ”の愛称で慕われた。67年、日本人プロとして初の米ツアーライセンスを得て嚆矢(こうし)となった。69年には日本オープンを始め、年間6勝。試合の少ない当時としては画期的記録だった。通算15勝。理論家でレッスン書多数執筆。テレビ解説でもお馴染み。

 

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