名手・達人の言葉

2006.11.29

今でも、すまないことをしたと思っている トム・ワトソン

これから書く話は、
『ファイナル・ラウンド』(ジェームズ・ダッドソン著)という
ノンフィクションからとりあげた。

この本はゴルフを通じて父子の情愛を描ききり、
全米でベストセラーになった。
筆者も不覚にも落涙してしまった感動本だ。

そのプロローグの章。
ゴルフライターでもある著者が、ワトソンに
「ゴルフ人生のなかで最悪だった瞬間はいつだったか?」
と質問すると、ワトソンは
「ワールド・シリーズで、サインをねだる男の子を無視して
ロッカールームからさっさと出ていったときだ」
と答えた。

するとその子の父親が追いかけてきて、
「ワトソンさん、あんたは最低の人間だと思う。
うちの息子はあんたの大ファンだったんだ」
といわれたという。

その話をして、最後にワトソンは視線を落とし、
頭を左右にふりながら、冒頭の言葉をつぶやいたのだ。

大体、そんな質問をされたら、普通なら競技上の、
例えばメジャーで敗れたときなどを話すだろうが、
ワトソンは違ったのである。

人によっては些細なことと思われるかもしれないが、
「ゴルフこそ最も名誉を重んじるゲーム」だと信じるワトソンが、
その信念とは逆のことをしてしまった悔悟から
搾り出されたつぶやきだったのである。

ワトソンのワトソンたる、面目躍如の言葉として記憶しておきたい。

 
■トム・ワトソン
(トーマス・スタジェス・ワトソン)(1949年~)
米国生まれ。スタンフォード時代は勉学に力をそそいだのか、これといった成績は残していない。71年プロ入りと同時にツアー参加。ツアーでの勝利39。メジャーは全米オープン1勝(82年)、マスターズ2勝(77、81年)、全英オープン5勝(74、77、80、82、83年)計8勝。帝王二クラスを継ぐ新帝王といわれるまでになったが、極度のイップスに襲われ、全米プロはとれず、グランドスラマーにはなっていない。シニア、他の勝利を加えれば55勝をこえる。知性派として知られ、88年にはゴルフ殿堂入りも果たした。

 

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