名手・達人の言葉

2006.07.05

自然の声に耳をかたむける。 井上誠一

井上誠一。
ゴルファーならばこの名前を一度ならずとも聞いたことがあるだろう。
そう、日本でのゴルフ設計家、第一人者である。

「未開発の山野の自然を可能な限り残して、美しいコースを造る」
が井上の設計哲学だった。

造成地にじっと佇み、自然の声に耳を傾けることが、
最初に井上のやることだった。
造成が始まると、度々訪れて、双眼鏡をのぞいて、
図面上にない樹木があったりすると、
現場作業責任者に「切りなさるなよ」と釘をさすのが常だった。

またオーナーの一存で設計にない人工物など配すると、
取り除かさせた。
それでもいうことをきかないと、
二度とそのコースへは足を踏み入れなかったという。

自然の景観をこわしたくなかったのである。
どんなに自然を守るといっても、
ゴルフコースは大地を刻む行為なのだから、
人工物などもってのほか、というわけである。

日本独自の造成観も持っていた。
例にとると、日本は年間降雨量1000ミリの雨の多い国。
だから、池とグリーンを離してなお美しい景観を現出するには、
どうしたらいいかという方法をあみだしてもいる。

日本の自然の美にこだわった人だった。
 

■井上誠一(いのうえ・せいいち 1908~1981年)
東京の裕福な医者の家に生まれた。高校時代、大病を患い静養を兼ねてゴルフを始めた。療養にいった静岡県川奈に英国人設計家チャールズ・アリソンと出合ったことで、設計家の道をめざすことになる。というのも、井上が会員だった霞ヶ関CCの改造を、アリソンは弟子ジョージ・ペングレーに任せ帰国。ペングレーの下で井上も働き、そこで自然を大事にする設計の何たるかを、土にまみれながら知ったといわれている。設計コース数、国内39、海外 。代表作は霞ヶ関CC西コース、大洗GC、日光CC、愛知CC、札幌GC輪厚コースなど。自身のゴルフは霞ヶ関CC、HP12。

 

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