名手・達人の言葉

2005.11.02

ゴルフに逆転ホームランはない。ゲームの勝敗はほとんどが自滅によって決する。  ベーブ・ルース

今回の登場はゴルファーではなく、あの米国野球界伝説のナンバーワン・ヒーロー、ベーブ・ルースである。天性のホームランバッターであった彼は、ゴルフでも豪快な飛ばし屋であった。そのルースが野球とゴルフの違いをみごとに言い当てている言葉がこれだ。

次のエピソードからも、ルースがなぜこの言葉を遺したのかがうかがい知れる。

安打製造機といわれたタイ・カップが、ルースにゴルフでの挑戦状を叩きつけた。腕前はルースが断然上。ほとんど70台でまわるシングルプレーヤーのルースに対して、カップは80台であった。

プレースタイルも野球と同じで、豪快にかっ飛ばすルースと小技が得意なカップと好対照。試合形式は3試合18ホールのマッチプレーで、2試合をとれば勝ち。

マスコミはやんやと、はやしたてた。スコアでは敵わないカップがとった作戦は「心理戦」であった。野球でもカップはルースを野次ってカッカさせ、ホームランボールを凡打にしたことは数多くあったのだ。

「グリーンで先に長いパットを決めればルースは動揺する。ドライバーでは張り合わず、2打目を先に乗せる」。

この作戦で1試合目、カップの勝ち。しかし、2試合目は挑発に乗らずルースがとる。

いよいよ3試合目。カップは2試合目まで難しいショートパットは、すべてコンシード(OK)にしていた。

ところが3試合目ではどんなに短いパットでもOKを出さなかったカップに、ルースは怒り狂って自滅してしまったのである。カップは友人のマッチの鬼、ウォルター・ヘーゲンからこのアドバイスを受けていた。

結果、腕前では劣るカップの圧勝に終わったのである。「ルースほど飾り気のない素直な男はいなかった」。

だからこそスーパーヒーローになれたのであるが、この試合からでも冒頭のルースの言葉が漏れ聞こえてきそうではないか。(エピソードはタイ・カップの自伝『野球王タイ・カップ』から引用)。

 

■ベーブ・ルース
(1895~1948年)
本名ジョージ・ハーマン・ルース。ベーブはベービーからきた愛称。貧困家庭に生まれ、子供の頃は非行に走り矯正学校に入れられた。そこで生涯の恩人となる神父マシアスに出会い野球を教えられる。マイナーリーグのオリオールズからレッドソックスへ移籍。そこで最初、投手として芽が出て、次第に才能は長距離打者として開花していく。ヤンキースに移籍してから驚異的にホームラン生産し、背番号の3番は永久欠番。1シーズン初めて50本を打ち、27年には60ホーマーでを、61年にロジャー・マリスに抜かれるまで34年間記録保持者だった。最初に殿堂入りした5人の一人。ホームランを野球の花にし、国民的ヒーローであった。ゴルフも大好きでシングル。飛ばし屋であった。53歳で没。

 

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