名手・達人の言葉

2004.10.06

ちょっとした見栄が、ゲームをだいなしにする――アーノルド・パーマー

 説明は全く不要なほどの「言葉」であろう。しかし、あのパーマーがこの言葉を残しているところに意義がある。パーマーはいうまでもなく、現代の米国プロゴルフを今日の隆盛に導いた第一人者である。偉大なプレーヤーは何人もいるが、人気という点ではまちがいなく史上第一位だった。

 ストロークプレーにおいてのゴルフはいかにミスを少なくするか、といういわば保守的な要素を色濃くもつスポーツである。

 ところがパーマーは「攻撃=チャージ」という概念をもちこみ、ゴルフをエキサイティングにして、『アーニーズ・アーミー』という熱狂的なファンを生み、米国のヒーローになった。どんな難しい位置からもピンを狙い、それが成功すると拍手喝采、我らがアーニーはやってくれたぞ!ってなものだ。

 しかし、ゴルフの本質の半分は先ほどもふれたが、『守る』こと。その後に現れたジャック・二クラスが攻守を兼ね備えた典型で、帝王と呼ばれた。ともかく、ゴルフはミスを少なくするゲームだから、安全優先がスコアメークには欠かせない一大要素であることは紛れもない事実。

 その点でいえば、見栄は最大の敵なのである。アベレージゴルファーにおいてもこれは同じ。腕前も省みずショートホールなどでも同伴競技者より長いクラブは持ちたがらないし、レイアップせずにクリークの餌食となったりするのは日常茶飯事。

 きっとあなたにも経験があることだろうし、パーマーもまた、守るべきところを、ギャラリーの熱い願望にも似た声援に押されて、チャージし、敗れたことは何度もあったに違いない。そのためか、グランドスラマーには至っていない。しかし、記録より、記憶には誰より残っているプレーヤー。ゴルフの本質と、プロスポーツの人気という狭間に立つパーマーから出た「言葉」だからこそ、味わい深いのである。

 

■アーノルド・パーマー
1929年米国生まれ。ウェイクフォレスト大学在学中に全米アマ優勝。PGAツアーに参加。60勝をあげている。シニアで獲得したタイトルは10勝。ツアーでの勝利のなかには全米オープン、マスターズ、全英オープンのメジャータイトルも含まれているが、全米プロは2位は3回あるが、優勝はなく、グランドスラマーにはなっていない。しかし、プロ入りから一貫して、チャージ・スタイルは変わらず、圧倒的人気を呼び、アーニー・アーミーズなる親衛隊を生み、国民的ヒーローとなった。ゴルフを米国のメジャースポーツの地位へと引き上げる牽引力となったのである。

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