僕のマグノリアレーン

2015.01.16

【第188回】
アプローチは“目標”と“現実”のすり合わせ

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフに夢中な日々を送るジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当のプロゴルファー・中井学。今週は、先週末の米PGAツアーで惜しくも優勝を逃した松山英樹プロのアプローチ法を主軸に、すべてのゴルファーに通じるアプローチ概念を語っています。

松山英樹プロが目指す世界は
目先の優勝ではなくもっと上にあった!

上杉 いや~、惜しかったですね、松山英樹プロ。

中井 先週の「ヒュンダイトーナメントオブチャンピオンズ」ですね。昨シーズンの優勝者のみが参戦できる試合で、結果3位タイでしたが、最終ホールの最終パットまで、優勝争いを繰り広げました。

上杉 最後のパットが入っていれば……しかし、彼が目標に掲げるメジャー制覇に向けて順調な滑り出し。同じ目標を掲げる者として、注目せざるを得ません。

中井 そうそう、この連載の趣旨は「上杉さんがマスターズを目指す」ですからね。松山くんの目標は、マスターズに限らずメジャー制覇。実際、今年米ツアー初戦となった先週の試合でも、その目標が透けて見えました。

上杉 どういうことでしょう。

中井 当然、優勝を目指してプレーしているのですが、同時に、もっと大きな目標、すなわちメジャー制覇のためにプレーしているように僕には見えたんです。実際、先週の試合は、昨シーズンの優勝者のみが出られる大会とはいえ、世界ランキングトップテンクラスの選手は、ランク4位のバッバ・ワトソンとランク8位のジェイソン・デイしかいませんでした。

上杉 松山プロにとっては、上位に行かなくちゃいけない試合だったってことでしょうか。いや~、おそろしいですね……。その試合に出場するだけでもとんでもないことなのに。

中井 あくまで私見ですけどね。でも、彼の志はそれくらい高いんじゃないかという気がします。メジャーに「勝ちたい」ではなく、「勝つ」。そのために、おそろしく具体的なロードマップを描いている気がします。

上杉 「勝ちたい」「出たい」だけなら、誰にでも言えますからね。

中井 この連載の趣旨を真っ向から否定するような発言ですが、気にしないでおきましょう。ただ、上杉さんをはじめ、アマチュアゴルファーの人にとっても、つねに高い目標を掲げることは上達には必須です。精神論じゃなくて。

上杉 精神論じゃないとなると、なんでしょう。神頼みでしょうか?

中井 ますます違います。具体的には、アプローチをする際は、つねに「目標」と「現実」をすり合わせていただきたい。

上杉 アプローチで目標と現実をすり合わせる? いったいどういうことですか?

どんなレベルのゴルファーでも
打ったあとの検証が肝になる!

上杉隆
[写真]「パイプを通すような正確さ」かあ。うん? パイプがないぞ(爆)。

中井 じゃあ上杉さん、そこのピンに向けてアプローチしてみましょう。ただし、打つ前にどれくらいの高さで、どこに落として、そこからどう転がして寄せるかを、宣言してから打ってください。

上杉 なんか、めんどくさいですね。え~っと、そうだな、サンドウェッジを使用して、地上約1メートルの高さで低く出たスピンの効いたボールが、ピン手前3メートルの位置に着地し、そこから軽くフックラインを描いて寄っていくイメージでしょうか。

中井 おっ、やけに具体的ですね。じゃあ、さっそく打ってみてください。

上杉 了解です(と、打つ)。ふふふ、宣言通り。1メートルに寄りました。

中井 どこが予定通りなんですか。リーディングエッジがボールの下に入り過ぎて、目線の高さくらいまで球が浮き、たまたまグリーン面の傾斜でいい感じにキックして、結果的には寄った、というのが事実です。

上杉 いいじゃないですか、寄れば。野暮な男ですね。

中井 野暮を承知で言っているんです。上杉さんの今のアプローチは……オーガスタに通じていません!

上杉 ガーン。どういうことですか。

中井 「結果オーライ」でOKなのは、試合だけ。あくまで上達したいと考えるのであれば、打つ前に立てた「目標」すなわち、弾道、落としどころ、転がりを、「結果」がどこまでトレースできているか。そこを検証することが大切です。今のように「寄ったからOK」として、検証作業や、技術的・イメージ的に足りない部分を補う作業をしなければ、上達は叶いません。これは、松山くんレベルから、上杉さんのようなシングルクラス、はたまた100が切れない人まで、等しく言えることです。

上杉 松山プロから初心者まで! でも、100が切れない人の場合、いくらイメージしたってザックリしたり、トップすることも多くありますよね?

中井 そのとおり。トップした球がピンに当たってチップインバーディになることって、ゴルフをやっていればそんなに珍しいことじゃないですよね。でも、それは実力でしょうか? そこで「今日はチップインバーディが出たからいい日だったな」と思うか、「今日はたまたまバーディになったけど、トップが出ないように練習しよう」と思うかで、その後の上達のスピードは大違いになります。

上杉 ギクッ。たしかにそれはそうですね。

中井 松山くんが戦っている場所は、結果オーライが許されないどころか、結果オーライがほとんど起きないシビアな世界。空中にあるパイプの中を通すような正確性を要求される世界です。そのシビアさを受け入れ、望むところだと練習に励んでいるからこそ、彼はアメリカツアーで当たり前のように優勝争いができるんです。

上杉 あらためて、すごいですね。松山プロは。

中井 ホント、すごいですよね。この連載を始めたころ、「マスターズに勝つ」は“夢”の代名詞でしたが、それが現実のものになるかもしれない。そう考えるだけでも、ワクワクしちゃいます。

上杉 あらためて、目指しましょう。我々も、マスターズを!

 

ついつい“結果”だけにこだわってしまいがちなアプローチ。しかし、たとえうまくいっても、弾道や落としどころ、転がり、すべてを総合的に見てどんな“結果”になったのか検証する必要がある。その“過程”を強化することが、次の結果に結びつくのだ! ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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