僕のマグノリアレーン

2014.10.03

【第178回】
ミスしても己の責任にしない

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフに夢中な日々を送るジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当のプロゴルファー・中井学。今週は、ついついミスを引きずってしまうという中井プロの体験談から、「心のミス」を防ぐ方法を検証していきます。

同伴競技者の意見に流されると
ミスをしやすい!?

中井 はぁ~。

上杉 どうしたんですか中井プロ。

中井 それが……先日ラウンド中に情けないミスをしてしまったんですよ。

上杉 そんな、落ち込む必要ないですよ! 中井プロがミスするなんて、珍しくもなんともないじゃないですか。

中井 慰めにもなんにもなってないんですけど。

上杉 ええ、特に慰める意図もありません。で、どんなミスを犯したというのですか。

中井 それは380ヤードと距離の短いパー4でのことでした。ドライバーでバーン! と打てば、残りはウェッジで打てるというか、ほとんどアプローチといってもいい距離しか残らないホール。当然、バーディを計算に入れていました。

上杉 取らぬ狸の皮算用とはまさにこのことですね。

中井 まとめるのが早すぎます。もう少し話を聞いてください。それで、ティグラウンドに到着したその時ですよ。同伴競技者の「狭いなあ、このホール。このホールでドライバーはあり得ないな」という声が聞こえてきたのは。

上杉 ほほう。

中井 その瞬間、「あれっ?」と思ってしまったんです。「ひょっとして、ドライバーホールじゃないのか?」って。それで改めてティグラウンドからコースを眺めてみると、たしかに左右が狭く見えてくる。さらには、同伴者も次々とスプーンだのクリークだのでティショットをしているわけですよ。

上杉 ふむふむ。

中井 それで、ついついつられて僕もドライバーをやめてクリークを持ってしまったわけです。それで、結果は左に曲げてOB。打ち直しは今度は右にプッシュアウトして、そこから乗らず・寄らず・入らずのトリプルボギー。悪夢でした……。

上杉 でも、それってアマチュアでもよく起こりますよね。「これで打つ」って決めていたのに、直前になって「やっぱりこっち」ってなると、大体ミスになる。そうだ、この現象を、「マーフィの法則」ならぬ「ナカイの法則」と呼びましょう。

中井 嫌な法則に僕の名前を使うのは勘弁してください。それと、傷口に塩をすり込むのもやめてください。ただでさえ、自分のジャッジを貫き通せなかった自分に腹が立っているのですから。

あのタイガー・ウッズも
ミスを忘れる工夫をしている

178
[写真]悔いてばかりいると、さらにミスを呼ぶ!?

上杉 ところで中井プロ、この連載は中井プロがミスを悔いるという趣旨ではなかった気がするんですが、この話からなにか教訓は得られるのでしょうか。

中井 そうですね。まあ、仮にミスをしてしまったのは仕方ないとしましょう。しかし、その日の僕はその後がよくなかった。18番をホールアウトするまで、ずーっとそのホールでのミスに関して、己を責め続けてしまったのです。

上杉 なかなか執念深いですね。

中井 結果的には、それこそが「ミス」でした。タイガー・ウッズは怒りは10歩で忘れるというルールを己に課しているといいますし、全盛期の不動裕理プロは、「パットが外れたとしたら、それは私ではなくパターが悪い」と言っています。

上杉 なるほど、どちらもミスによって己を責めないことをシステム化しているわけですね。ふふふ、ミスした際に己を責めないことには私も自信がありますよ。「中井プロが悪い」あるいは「記者クラブが悪い」と思うことに決めているんです。

中井 うう、羨ましい。自戒を込めて言いますが、コースに出たら自分の味方はキャディを除けば自分だけです。そして、ゴルフにミスはつきものです。

上杉 どちらも同意です。

中井 技術のミスは仕方ない。今回の僕のような「頭のミス」、つまりマネジメントミスも仕方ない。しかし、「ミスした己を責める」というミスは、必ず防げる「心のミス」。これだけは最低限、防がなければなりません……。

上杉 うーん、今回のレッスンは、実感がこもっていますね、やけに……。

 

ゴルフはミスの競技とは言うけれど、ひとつひとつのミスを自分以外の責任にしてしまうのも、大事なマネジメント。タイガーのように、自分だけの「忘れるためのルール」をつくるといいかも? ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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