僕のマグノリアレーン

2014.08.29

【第174回】
アプローチでは大きい番手で小さく振ろう

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフに夢中な日々を送るジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当のプロゴルファー・中井学。最近では、ピッチングや9番アイアンをアプローチに使うゴルファーが急増しているという。今週は、その驚くべき理由に隠された“ある秘密”を暴いていきます。

どこからでもロブショットを打つミケルソンも
最近ではピッチ&ランを打っているが……

上杉 そりゃっ、とりゃーっ! ダメだ、なかなか上手くいかない。

中井 極端な左足上がりのライでいったいなにをしているんですか、上杉さん。

上杉 ああ、フィル・ミケルソンの「バックフリップショット」を真似しているんですよ。動画で観たら、やってみたくなっちゃって。

中井 左上がりのライからフェースをマン開きして打ち、自分の背中側というか、後方に球を飛ばすアレですね。アレは……さすがに上杉さんにも無理があります。

上杉 うーん、残念。

中井 でも、気持ちはわかります。ミケルソンといえば当代一のアプローチの名手。その技は真似したくなりますよね。

上杉 ええ。あの華麗なロブショットは、観ているだけで惚れ惚れします。なにしろ、たとえばマスターズでは、グリーンのすぐわきの刈り込まれたライからでもロブを打ってきますからね。

中井 たしかに、ミケルソン=ロブというイメージはありますよね。でも、先月の全米プロなどを観ていると、意外とふつうのピッチ&ランなども打っていました。

上杉 あ、言われてみると。

中井 テレビ観戦をする際、そういう細かいところは是非チェックしてもらいたいですよね。「どこからでもロブ」のイメージのあるミケルソンがなぜピッチ&ランを選択したのか。それには確実に理由があるはずですから。ミケルソンのアプローチは、正直に言ってそこくらいしか参考になりませんからね、上手すぎて。

ピッチ&ランが有効な理由は
“ギアの進化”にあった!

上杉隆
[写真]小さいストロークでいいならアプローチは簡単になる!

上杉 でもな~、カッコいいですよね。グリーン脇からフルスウィングして、球をふわっと浮かせて……。

中井 ロフトを思い切り寝かせて「振っても飛ばない」状態を作っておいて、思い切り振るのがミケルソンのロブ。しかし、アマチュアがやると、ついつい「トップしたらどうしよう」という邪念が入り、ダウンスウィングの途中でゆるんでしまう。結果的にトップしたりダフったりという悲惨なミスになりますので、諦めたほうが無難です。

上杉 たしかに……。

中井 そもそも、アプローチの基本は「小さいストロークで打つ」ことです。

上杉 むむ、どういうことですか?

中井 状況にもよりますが、ストローク幅が小さければ小さいほど、基本的にはアプローチはカンタンだってことです。サンドはロフトがある分飛ばないから、その分たくさん振らなくちゃいけない。でも、アプローチウェッジならロフトが立っている分振り幅を小さくできますよね? ピッチングならもっと短くできるし、9番や8番アイアンならさらに小さな振り幅で打てる。

上杉 その分ミスが少ないと。でも、その理屈でいったらドライバーで打つのが一番カンタンってことになっちゃうじゃないですか。グリーン周りで男たちがドライバーを持ってウロウロしている光景は、想像するだけで異様です。

中井 ドライバーは長いですからね。逆に難しくなってしまいます。長さとの兼ね合いでいえば、8番くらいまでが無難ですかね、アプローチ用クラブとしては。実は、ツアーでも、ピッチングや9番をアプローチに使う選手が急増しているんです。

上杉 ええっ、ホントに? いったいどうしてですか?

中井 ボールです。ボールが、飛距離を追求してどんどん低スピン化しているんです。そのため、アプローチでスピンが効きにくくなってしまった。そのため、ロブやピッチショットなど、スピンで止めるアプローチの優位性が減ってきているんです。むしろ9番やピッチングで打ったほうが寄せやすい。

上杉 うーん、なるほど。ボールの進化がプロのプレーにも影響を与える良い例ですね。

中井 ロブやピッチショットは、いかにもプロの技という感じで、憧れる気持ちも分かります。しかし、近い将来は、むしろ9番やピッチングでのコロガしが、「プロの技」として憧れられる。そんな時代になるかもしれません。

上杉 ということは……今のうちからコロガしを身に付けておけば、私もゴルファーに憧れられるということに……!?

中井 そうなるように、まずは地道に練習しましょう、練習……。

 

プロゴルファーのロブショットやピッチショットに憧れるアマチュアゴルファーも多いはずだ。だが、近年のゴルフボールの変化により、プロもアプローチ法を変えはじめている。これからは、時代の流れに合わせて練習法も変わってくるのだろう――。ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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