僕のマグノリアレーン

2014.07.18

【第169回】
全英オープンに学ぶ“寄せ術”

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフに夢中な日々を送るジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当のプロゴルファー・中井学。現在、全英オープンが開催中。華麗なるプロたちに共通するアプローチ方法について検証します。

タイガー、アダム、マクロイ、松山……
2014年全英オープンの結果はいかに?

上杉 はじまりましたね~、全英オープンが。今年はロイヤルリバプールゴルフクラブ、通称ホイレイクでの開催です。

中井 ホイレイクといえば、2006年のタイガー・ウッズの優勝が思い出されますね。ドライバーを抜き、ティショットに2番アイアンを中心としたロングアイアンを多用し、バンカーを徹底的に避ける作戦が見事にハマった試合です。

上杉 たしかにそうですね。ホイレイクでは、そのような攻め方がキホンになります。

中井 ん? 上杉さん、ホイレイクを知っているかのような口調ですね。行ったことがあるのですか?

上杉 ありますよ――門の前まで。

中井 なんという中途半端な……。

上杉 2012年にロイヤルリザム・アンド・セント・アンズで開催された全英に取材に行った際、ついでに寄ったんですよね。

中井 そうですか……。それにしても、初日を終えてマクロイがトップ。アダム・スコットがその後ろにピタリと付け、10位タイグループには塚田・松山・小田の日本勢、さらには復活を期すタイガーと、役者が勢ぞろいと言った様相です。上杉さんはどんな展開を期待しますか?

上杉 タイガーの復活劇は無論見たいですし、松山くんを筆頭とした日本人選手にも活躍してもらいたい気持ちも当然ありますが……私はアダム・スコットにがんばってもらいたいですね。

中井 ほほう、またどうして。

上杉 2012年、アダムは最終日のバック9で、クラレット・ジャグ(優勝カップ)に片手をかけていました。15番を迎えた段階で2位と4打差ですからね。そこから、目も当てられないような崩れっぷりで敗北。

中井 あの試合ですね……たしか、上杉さんは現地取材から帰国したその足で「勝手に生放送」したんですよね。

上杉 そうです。それもあって、アダムには勝ってもらいたいなぁ。

いつも上げて寄せるミケルソンも
実は“転がし”をイメージしてる!?

フィル・ミケルソン
[写真]プロによって異なる戦略を学べるチャンス

中井 ところで、初日で印象に残ったシーンがありましたか?

上杉 リー・ウエストウッドと、その3組前を回っていたフィル・ミケルソンが、同じようなところからアプローチをしたんですよ。それで、ウエストウッドはパターで寄らず、ミケルソンはいつものようにサンドウェッジでベタピン。まあ、結果はともかく、攻め方が“真逆”で、「ああ、全英オープンだなあ」と思いました。

中井 なるほど。イギリス出身のウエストウッドと、アメリカ出身のミケルソン。両者の育ってきた環境が、アプローチに表れていて、面白いですね。やっぱりタフな環境になればなるほど、頼りになるのは自分の得意とするアプローチですから。

上杉 それにしても、ミケルソンは本当にいついかなる場合でも上げるアプローチしかしないですね。昨年プロ入りした“中年の星”田村尚之プロみたいです。

中井 上げるアプローチは、「途中の傾斜」の多くを無視できますからね。アプローチするときに考えるのは、グリーンのアンジュレーションとコンパクション(硬さ)のふたつですが、アンジュレーションをある程度無視できる分、意外とシンプルに打てるというメリットがあります。

上杉 そうなんですよね。でも、ゴルフの基本は転がしのアプローチと言われます。

中井 実は、ミケルソンも「転がしてる」と思いますよ、僕は。

上杉 なにを言ってるんですか、中井プロ。たった今、ミケルソンは上げるアプローチが得意だという話をしたばかりじゃないですか。

中井 もちろん、球は上がっています。しかし、プロゴルファーの意識としては、すべてのアプローチは転がしなんです。転がすイメージでクラブを振って、クラブにロフトがある分だけボールが上がる。基本は全部、転がしのイメージです。サンドで打てばランが減る。アイアンで打てばランが増える。その違いを生み出すのはあくまでクラブであって、打ち手の意識や打ち方ではないんです。アマチュアの人は、サンドとか、なにもしなくても上がるクラブでわざわざ上げようとするから、距離感がおかしくなるんですよ。

上杉 ぎくっ。な……なるほど。

中井 サンドで打つか、9番アイアンで打つかはともかく、打ち方はつねに同じにしておくと、寄せがとっても簡単になります。全英をテレビ観戦しながら、名手たちの打ち方とクラブの関係をチェックしてみるのも面白いかもしれませんよ!

 

リンクス特有の風に雨に自然のままのコースセッティング――。常に変化する舞台で、果たしてだれがクラレット・ジャグを掲げることになるのか? その行方を追いながら、名手たちの華麗なるアプローチ法を学びましょう! ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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