僕のマグノリアレーン

2014.06.13

【第166回】
今年の全米オープンのコースセッティングは?

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフに夢中な日々を送るジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当のプロゴルファー・中井学。今週は、現在開催中の全米オープンにまつわる話を展開します!

今年の全米オープンのグリーンは
“面”をねらえ!

上杉 いや~、はじまりましたね、今年も全米オープンが。

中井 はじまりましたね~。今年は松山英樹選手が2週前の「メモリアル」を勝った勢いそのままに会場のパインハーストNO.2に乗り込んできました。

上杉 すごいことですよ、これは! どうしよう、勝ってしまうかもしれないですよ、松山プロ。

中井 勝ってしまっていいと思いますし、現実的にチャンスは十分にあると思います。初日ワンアンダー6位タイと、滑り出しもいいですしね。
 
上杉 それにしても、ベン・クレンショーらが改造したというコースはすごい迫力ですね。全米オープンといえば深いラフに狭いフェアウェイですが、今大会はフェアウェイが広く、ラフは刈り込まれ、代わりにフェアウェイの外に荒れ地が広がっています。私のホームコースである鹿島の杜CCもビックリですよ、コレは。

中井 まったく違うコースになっていますよね。僕自身の意見としては、今回のセッティングは面白いと思います。ラフを伸ばしてフェアウェイを絞り込むことだけがコースの難易度を高める施策ではない、そのことを今回のコースは雄弁に物語っていますから。ゴルフは本来自然の環境の中でプレーするもの。今回の荒れ地は、それを教えてくれるかのようです。

上杉 中学生の頃、友人たちと公園の荒れ地で“野良ゴルフ”プレーしていた私にはその気持ちがよく分かります。

中井 ……そうですか。野良ゴルフとの違いは、無数にありますがなんといってもグリーンですよね。難しいですよ~、あのグリーンは。

上杉 なんか、中途半端なショットは全部グリーンから転がり落ちてしまいますよね。いわゆる砲台グリーンってやつですか?

中井 砲台とはちょっと違うんですよ。日本における砲台グリーンとは、現在の水はけのよいサンドグリーンが一般的になる前、水はけを良くするために土を砲台のように盛り上げた形状となっています。それに対して今回のグリーンは、広げたハンカチの中心部を指でつまんで持ち上げたような印象です。

上杉 なんか、キャラに似合わず詩的な表現ですね。

中井 余計なお世話です。さて、そのようなグリーンのエッジが落とされた形状であるため、今回の全米オープンは「面」を狙う試合となっています。

世界の強豪たちの戦略法は
最高の“教材”だ!

パインハーストNo.2
[写真]あえて荒れ地で厳しい“自然環境”を作り上げたパインハーストNo.2

上杉 麺!?

中井 面です、面。単純なセンター狙いでは通用しない。グリーンの右、左、手前、奥、ザックリ言ってグリーンをその4つに分割して、ピン位置に対して「乗せられる面」に打っていかないと、グリーンにオンさせることすら至難の業となります。

上杉 四分割なら、そんなに難しくなさそうですね。

中井 いえいえ、とんでもない。グリーンのエッジがくだっている場合が多いため、実質的にはグリーンは見た目よりも狭い。その中での四分割ですから、狙いどころは広くありません。しかも、7562ヤードでパー70ですからね。上杉さんなら……そうだなあ、毎ホール200ヤード以上先のグリーンの、そのまた四分の一の範囲を狙うことを想像してもらうといいかもしれません。

上杉 それはたしかに野良ゴルフとは若干趣が異なるようですね……っていうか、はっきり言ってマスターズよりキツイですね、それ。

中井 ともあれ、読者のみなさんにも、ぜひ名手たちがどのようにグリーンを狙ってくるか、その戦略の部分に注目して観戦してもらいたいですね。セカンドショットでグリーンをとらえるために、どんなティショットを打ったのかまで想像を働かせながら観戦すると、コース攻略のための戦略眼がぐんぐん養われますから。そういった意味で「タフガイ世界一決定戦」とも呼ばれる全米オープンは最高の“教材”です。

上杉 タフじゃなければゴルフじゃない、やさしくなければゴルフする資格はない。でしたっけ?

中井 そりゃレイモンド・チャンドラーの小説のセリフでしょ……って、なんだか意外とハマっててむしろ突っ込みにくい!

 

フェアウェイは広いが、一歩間違えばそこは荒れ地……。ベン・クレンショーらが改修したコースは、予想以上に高度なセッティングだった。果たして名手たちは、どのような戦略をもって挑むのか? そこにスコアアップのヒントが隠されているだろう。ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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