僕のマグノリアレーン

2014.06.06

【第165回】
米ツアー初優勝した松山英樹の勝因

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフに夢中な日々を送るジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当のプロゴルファー・中井学。今週は、先週末に行われた米ツアー、ザ・メモリアルトーナメントで初優勝した松山英樹選手の勝因を検証します!

今や世界ランク13位の松山選手
勝利の決め手は“鈍感力”

中井 いやー、ついに、ついに勝ちましたね!

上杉 あれ、私なにかに勝ちましたっけ?

中井 ……違います。松山英樹選手ですよ。

上杉 おおっ、松山プロ。素晴らしかったですね~。アメリカツアー本格参戦初年度に、いきなり優勝ですもんね。

中井 しかも、フィールドが素晴らしかったんですよ!

上杉 フィールド?

中井 ああ、「出場選手の数と豪華さ」のことですね。世界中からトッププレーヤーが多数出場するメジャーなどのことを「フィールドが厚い」と言いますが、今回松山選手が勝ったメモリアルは、世界NO.1プレーヤーのアダム・スコットを筆頭に数多くのメジャー王者が出場するなど、準メジャーと言っても過言ではないフィールドでした。

上杉 まさにフィールド・オブ・ドリームスというわけですね?

中井 違……わないな、そうですね確かに。ともかく、これでメジャーでも十分勝機があることが証明されました。

上杉 2011年のマスターズで、被災地の宮城から出場。日本のアマチュア選手として初めてオーガスタに挑み、見事ローアマに輝いたのがわずか3年前……そのとき私は現地で松山選手を取材し、その“鈍感力”ならぬ“ノー感力”にいたく感心したものです。なにしろ、あの大舞台で同級生のキャディとなごやかに談笑しながらラウンドしていましたからね。

中井 いずれにしても、すさまじい「成長曲線」ですよね。もちろん、2011年のローアマも凄かったのですが、今や世界ランク13位ですよ13位。ちなみに11位がフィル・ミケルソン、12位がジム・フューリック、14位がザック・ジョンソンで15位がダスティン・ジョンソンですからね。とんでもないですよこれは。アメリカツアーで3勝している丸山茂樹プロでさえ、世界ランクの最高位は19位ですから。

上杉 ザックとかダスティンより上……!? さすがの私も冗談が飛び出さないくらいにすごすぎますねコレは……。しかし、今回は勝ち方もすごかったですよね。16番でダボを打ち、17番でボギーを打って、18番のバーディでプレーオフですから。

中井 18番で4日間連続でバーディ。最終ホールのスコアがいいのはストロングプレーヤーの共通項ですよね。そして僕は、16番のダボに、優勝のカギが隠されていると思うんです。

上杉 ええっ、あのダボがなければもっと楽に勝てたじゃないですか!

フェニックスオープンの失敗から掴んだ
“優勝争いしている中での距離感”

松山英樹
[写真]この優勝で賞金ランクも一気に16位に

中井 もちろん、それはそうなんですが、16番、6番アイアンでフルショットした松山選手のボールが手前の池につかまったとき、僕は今年松山選手が優勝争いしたフェニックスオープンの16番を思い出していたんです。

上杉 ああ、あのスタジアムホールで有名な。

中井 そうですそうです。あのホールで、松山選手はおそらく大きめのクラブを持ってコントロールショットを打ち、結果的にグリーンをオーバーして、ボギーを打った。それにより、優勝を逃しているんです。あの時点で彼はまだ「優勝争いをしている中での距離感」を把握していなかったのだと思います。

上杉 ほほう。

中井 同じ最終日。同じ16番。同じショートホール。憶測にすぎませんが、松山選手の脳裏に、フェニックスの16番がよぎった可能性はゼロではないと思います。そして彼が選択したのは、「大きい番手でのコントロールショット」ではなく、「ピッタリの番手でのフルショット」でした。

上杉 でも、結果的には手前の池につかまっちゃったわけですよね。

中井 そうですね。でも、彼はそれにより「優勝争いをしているなかでの距離感」という極めて重要なデータを得ることができたと思うんです。それが、18番のセカンドショット、7番アイアンでピンを射抜いたショットにつながった――そんな風に見えたんです。

上杉 ああ、たしかに競技に出場していると、知らないうちに飛距離が伸びてたりしますよね。

中井 彼が勝つために必要な最後のピースが、「アメリカで優勝争いしている中での距離感」だったと僕は思うんですよ。

上杉 むー、なるほど。私もぜひ身に付けたいものですね。「アマチュア競技の予選通過がかかる中での距離感」を。

中井 断言しましょう。来週の全米オープン、優勝まであり得ますよ……。

上杉 私ですか!?

中井 違うわっ!

 

今や、世界のトップゴルファーと肩を並べている松山英樹選手。今年のフェニックスオープンでは“距離感”をうまく掴めていなかったようだが、今では完全にその経験を活かし、自分のものにしている。来週はいよいよ全米オープン開幕! 中井プロの予想どおり、優勝を掴み取るのか!? ということで来週も、目指せ、マスターズ!



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

運営会社 | プライバシーポリシー