僕のマグノリアレーン

2014.03.14

【第157回】
バンカーショットはアイアンショットである。

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフに夢中な日々を送るジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当のプロゴルファー・中井学。今週は、バンカーショットのレッスンです。

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コース上で勝負をする二人。
中井プロがピンチ! と思ったら……

上杉 ふふふ、中井プロ。ピンまでおよそ40ヤードのガードバンカーにつかまりましたね。プロといえども寄せるのは至難の業……このホールは、私の勝ちですね。

中井 勝負は下駄を履くまでわかりませんよ。よいしょっ(と、打つ)。

上杉 げげっ、1メートルに寄った! あのピンチからこれだけのミラクルショットが打てるとは……。この勝負強さがツアーでも発揮されていたら、今ごろ何勝もしているのだろうに……。

中井 そこは言わない約束です。そして、今のショット、僕にとっては決して難しいものではありませんでした。

上杉 いやいやいや、距離のあるバンカーショットはゴルフの中でも難易度の極めて高いショットのひとつでしょう。距離も40ヤードもあったし。

中井 その40ヤードがポイントだったんです。実は、40ヤードって、僕がサンドウェッジのエクスプロージョンショットで飛ばせる、ピッタリ最大飛距離なんですよ。

上杉 エクスプロージョンの最大飛距離? そんなの考えたこともありません。

中井 それが分かると、距離のあるバンカーショットはラクなんですよ。ちなみに僕の場合、アプローチウェッジで60ヤード、ピッチングで80ヤード、9番アイアンで100ヤード弱が、それぞれエクスプロージョンの最大飛距離です。

上杉 そんな秘密があったのか……。

中井 よし、せっかくだから今日は距離の長いバンカーショットのレッスンをいきましょう。

上杉 お願いします。寄せるはおろか、乗せるのも難しいですからね。

中井 まず大切なのは、先に挙げたクラブごとのエクスプロージョンの最大飛距離を知ること。コースで練習する機会の少ないアマチュアの方にとってはハードルが高いと思いますが、コツコツデータを収集してください。

上杉 了解です。

距離のあるバンカーショットに
特別なテクニックは必要ない!

「難しい!」と思いがちな距離の長いバンカーショットだが、それは思い込みにすぎないと中井プロ

中井 次に覚えていただきたいのが、今週の格言です。「バンカーショットは、アイアンショットである」。

上杉 格言で上手くなれるなら、私は今ごろ来月のマスターズに向けて荷造りをしています。それに、よく意味が分かりません。

中井 まあ、そう言わずに説明を聞いてください。距離の長いバンカーショットでアマチュアの方が失敗する原因は「距離の長いバンカーショットは、難しい技術が必要とされる特別なショットだ」という思い込みにあります。

上杉 たしかに、私もそう思っています。

中井 じゃあ、同じ40ヤードでも、芝の上にあるアプローチだったらどうですか?

上杉 寄せワンがとれないと落ち込むレベルですね。

中井 使うクラブが同じで、ただ芝の上にあるか砂の上にあるかが違うだけでそんなに印象が変わるなんて、ヘンですよね。実際、打ち方もほとんど変わりません。

上杉 え~、ホントに?

中井 ホントです。ものすごく極端なことを言えば、ボール位置をボール一個分左に動かすだけですから。本来の位置よりもボールが左にズレていれば、当然ながら手前をダフることになりますよね? それが、結果的にエクスプロージョンになるわけです。

上杉 そんなに簡単だったら、誰も悩まないと思うんですけど……。

中井 もちろん、保険はいくつかかけます。まずなにより大切なのはフェースを軽く開くこと。それにより、クラブのソールのバウンス部分を効かせることができ、砂を爆発させやすくなると同時に、ざっくりのミスを防げます。そして、ややオープンスタンスに構えてナチュラルなカット軌道をつくる。これは、フェースローテーションを抑えてホームランになる危険性を防ぐための保険。さらに、通常のアイアンショットよりも左足体重を強めて、軌道を鋭角的にすることで、よりクラブが手前に入りやすい状況をつくる。

上杉 ふつうのアイアンショットと全然違うじゃないですか!

中井 料理でいえば、あくまで味付けの部分が違うだけで、使う素材も調理法も同じという感じなんですよ、ホントに。軌道の最下点にボールがあるのがアイアンショット。軌道の最下点に砂があるのがバンカーショット。使う道具は同じ。ボールを一個分左に置く、フェースを開く、オープンスタンスに立つ、左足体重を少し強める。違うのは、以上4つのセットアップの仕方だけです。

上杉 カンタンじゃないですか。

中井 だからカンタンだって言ってるじゃないですか。試しに一球打ってみてください。ピンまでは40ヤードです。

上杉 了解です。ボールを普段より一個左に置いて、セットアップを変えて……とりゃーっ(と、打つ)。あっ、上手く打てた! でも……10ヤード近くショートしました。

中井 今のショットはお見事でした。それでもなぜショートしたかといえば、上杉さんのサンドウェッジでのエクスプロージョン最大飛距離が30ヤードちょっと、ということ。つまり、次のラウンドでピンまで32ヤードのバンカーショットが残ったとしたら、苦もなく寄せられるということです。

上杉 なんということだ……難しいと思っていた長いバンカーショットが、こんなにカンタンに寄せられるなんて。この内容は本当に素晴らしいですよ! 中井プロ、私のゴルフのライバルに知られたくないので、このレッスンを連載で取り上げるのはやめましょう!

中井 せっかくいい内容なんだから載せましょうよ……。

(編集部注:載せました)

 

距離のあるバンカーショットはプロでも難しい……というのは実は大きな誤解だったのです。みなさんもコツコツとエクスプロージョンの最大飛距離のデータを取ってみてください。ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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