僕のマグノリアレーン

2014.02.14

第153回
「厚着」は練習器具!

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフに夢中な日々を送るジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当のプロゴルファー・中井学。日本列島を大寒波が襲い、雪が舞い散る中でもレッスンは続きます……。

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今週のレッスンのお手本プロは
個性的な体型のマスターズチャンピオン

上杉 さて、先週からここ西武園ゴルフ場でプレーをしているわけですが……。

中井 先週は言及しませんでしたが、東京はまさかの大寒波。寒いですね~、今日は。

上杉 西武園は昼食もおいしいらしいですからね。さっそくレッスンを中止して、レストランに向かいましょう。

中井 却下します。上杉さんは名目上、マスターズを目指しているわけですが、ご存じのようにマスターズが開催されるのは4月の第二週。温暖なジョージア州での開催とはいえ、今日のような寒い日が来ないとも限りません。

上杉 「名目上」という言葉が若干気になりますが、たしかにそれは言えますね。日によって半袖でプレーする日もあれば、セーターを着込む日もある。それがマスターズです。

中井 しかも、今日のような寒い日はスウィングつくりに役立つ側面もあるんです。キーワードは「セイウチ」です。

上杉 セイウチ? セイウチ……あっ、わかった! クレイグ・スタドラーだ!

中井 大正解! 1982年にマスターズを制覇した名手で、愛称は「セイウチ」。

上杉 たしか、息子のほうも勝ったんですよね、最近。

中井 今年に入って息子のケビンも勝ちましたね。今年のマスターズでは親子同時出場という快挙を達成する予定です。

上杉 で、そのセイウチと今日の寒さがどういう関係があるんですか?

中井 スタドラーとケビンのセイウチ親子は、非常に正確なショットの持ち主です。息子のケビンは飛距離+フェアウェイキープ率で計算するトータルドライビング部門でツアー1位。これは、彼らの体型にも理由があるんです。

上杉 中井学プロもどちらかといえば“セイウチ寄り”ですが、腹回りがたっぷりとした体型ですね。

中井 失礼な。僕はせいぜいアザラシくらいです。彼らは石川遼くんのようなスリムな体型の真逆といえる体型です。そのため、腕を振るスペースが物理的にないから、必然的にカラダの回転だけで振っている。だから飛ぶし、曲がらないんです。

上杉 ああ、たしかにそうですね。

冬場の厚着やレインウェアは
スウィングのリトマス試験紙!

153体型により必然的にカラダの回転で振っているスタドラーは、飛ぶし、曲がらないと中井プロ

中井 そして、今日のような寒い日はどうしたって厚着をすることになる。セイウチ体型に近づくわけです。というわけで、寒い日はスタドラー親子のような“セイウチ・スウィング”を身につけるには最適とも言えるんです。

上杉 どうにかなりませんかね、そのネーミング。せめてアイ・アム・ザ・ウォルラス・スウィング・ジョン・ポール・ジョージ・リンゴくらいにしてもらえませんか?

中井 その長いのは勘弁してください。ここからはマジメな話ですが、冬場に厚着をすると途端に飛ばなくなるという人がいます。これは腕で振っている証拠です。雨の日のカッパでも同じことが言えますが、実は厚着はスウィングのリトマス試験紙なんです。

上杉 たしかに、上手い人って冬でも雨の日でもあまり飛距離が落ちないですよね。

中井 それは、「カラダでクラブをリリースする」感覚を持っていることが理由です。腕で振るタイプの人は、ダウンでカラダの動きを止め、腕を振る必要があります。しかしそれでは厚着をすると振れなくなってしまう。それに対し、カラダでリリースするタイプの人は、回したカラダを戻す動きで振っていく。カラダの正面にクラブをキープした状態でプレインパクトを迎えると、ヘッドに加わった遠心力により、自然にヘッドがリリースされます。

上杉 その「リリース」っていうのがいまいち分からないんですけど。

中井 ヘッドが自由に動き出す、って感じですかね。具体的にいえば、ヘッドスピードが増して、フェースターンが起こるということです。ヘッドの重心はシャフトの軸線上より遠くにあるので、ヘッドをリリースすると必ずフェースターンが起こります。

上杉 それを腕でやるか、カラダでやるか、それが問題だということですね。

中井 その通り。そして、カラダで振る限りにおいて、リリースは常にほぼ一定のタイミングで起こるため、再現性の高いインパクトを迎えることができます。なおかつ、今日のような寒い日でも問題なく打つことができるわけです。

上杉 なるほどな~。それがスタドラー打ち、すなわちセイウチ・スウィングということですね?

中井 まさにその通りでございます。寒い日はゴルフや練習に行きたくないという人も多いかと思いますが、「厚着」は「練習器具」と考えてもらいたいですね。カラダでしか振れない状況でプレーすることで、自然とボディスウィングが身に付きますから。

 

レインウェアを着たり、厚着をすると、極端に飛距離が落ちるという方は、腕で振っている可能性大。寒い日が続くと外に出たくなくなりますが、厚着の今の季節こそボディスウィングを覚えるチャンスです! ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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