僕のマグノリアレーン

2013.10.18

【第138回】
ココロのカットライン

僕のマグノリアレーン

マスターズという夢に向かってゴルフに夢中な日々を送る元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン担当・中井学のゴルフレッスンドキュメント、通称「僕マグ」。今週は、上杉の様子がちょっとおかしいようです……。

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ゴルファーなら誰もが陥る
上達途上での無意識のゆるみ

上杉 ひゃ、ひゃ、ひゃ……ひゃ、ひゃ、ひゃ~。

中井 どうしたんですか、上杉さん。冒頭から様子がおかしいですね、今週は。

上杉 ひゃ、ひゃくを打ってしまいました。

中井 100を! シングルプレーヤーにあるまじきスコアですね、それは。

上杉 数年前、和合で出して以来の久しぶりの100叩きです。いや~、ひどい。

中井 うーん、ちょっとショットの精度が下がっているのと、ショートゲームの正確性が欠けているのと、ドライバーの飛距離が落ちているのが原因かもしれませんね。

上杉 全部じゃないですか、それ。

中井 そうとも言います。ちょっとこれは、技術的なものではないかもしれません。

上杉 技術的な問題でなければメンタルやコースマネジメント、あるいはクラブセッティング、またはプレーしたゴルフ場の問題でしょうか?

中井 そのうち、プレーしたゴルフ場の問題でないことだけは断言できます。ちょっと、マンネリになっている可能性があります。

上杉 誰が「この連載がマンネリだ」なんて言ったんですか!

中井 誰もそんなことは言っていません。たぶん。上杉さんのゴルフが、です。上達していく過程においては、なかなか思うようにいかない踊り場的な状況がどうしても発生します。ある程度のスコアが出せるようになって、「まあ、これくらいでいいか」という心理的なゆるみが発生して、上達に急激なブレーキがかかってしまうんです。

上杉 うーん、そんなことはないと思うんですが。

中井 無意識的なものですからね。そこで今週はズバリ、「ライバルのススメ」です。

上杉 ライバル?

中井 そう、ライバル。たとえば石川遼と松山英樹ですよ、分かりやすい例が。彼らは10月から米ツアーの2013-2014シーズンをともに戦っていますが、その相乗効果は計り知れません。

石川遼をスランプから救った
松山英樹へのライバル心!

138 米ツアーに本格参戦しスランプに陥ったものの、ライバル・松山英樹の存在が石川遼を"進化"させた

上杉 たしかに、ふたりとも良い刺激を受け合っているように見えますね。

中井 そして、あくまで精神的な面ですが、上杉さんが参考にすべきは石川遼くんです。

上杉 なんと! ついに私も石川遼を参考にする日がやってきましたか。しかし、なぜ松山くんではなく遼くんなんですか?

中井 挫折を知った。そして、そこから這い上がり、自分なりのプレースタイルを見つけつつある。その姿が素晴らしいからです。

上杉 たしかに、最近の遼くんのプレーぶりは、彼がまだ国内にいた頃、私が何度もそのプレーを取材していた頃に比べて、変化しているように感じますね。

中井 まず、明らかにスウィングから力感が消えていますよね。そして以前よりも飛距離に対するこだわりが減ったように感じられる。これはいい変化です。

上杉 以前は、「350ヤードを真っすぐ飛ばしたい」と公言していたように、飛距離、とりわけドライバーには並々ならぬこだわりを持っていました。それは彼の持ち味とも言えると思いますが……それが、なぜいい変化なのですか?

中井 日本ツアーに参戦しだした頃、彼の持ち味は豪快なドライバーショットでした。300ヤードを多少曲がっても飛ばして、ラフに入れたとしてもウェッジで寄せ、バーディパットを決める。そのプレースタイルで、賞金王にまで上り詰めました。

上杉 その通りです。

中井 しかし、その攻め方が、正直アメリカでは通用しなかった。日本ツアーよりもコンディションの悪いグリーンにも苦戦してパッティングから崩れ、カラダのコンディションが悪かったこともあり、スランプへと陥っていきました。しかし、そのスランプにもめげず、今の飛ばしにこだわらないプレースタイルを手に入れ、今また復活しつつあります。復活じゃないか。進化というべきでしょうね。

上杉 なるほど、私も圧倒的な飛距離でコースをねじふせるゴルフから脱却すべきときが来ている、と……。

中井 元からそんなプレースタイルじゃないじゃないスか。ともあれ、石川くんのこのような進化の影には、松山くんというライバルの存在、同い年のライバルには負けられないという思いがあったと思うんですよ。だから、上杉さんも「絶対に負けたくない」と思える相手を見つけること。そして、そんな人物と切磋琢磨するなかで、自分のプレースタイルはこれだ! というのを見つけることが必要な時期だと思います。これは、たとえ100が切れないゴルファーであっても、まったく同じことが言えます。

上杉 たしかに、近所の公園で野良ゴルフに励んでいた中学生時代は、仲間たちに負けたくないという思いから、急激に腕を上げた記憶があります。

中井 僕も、高校を卒業して渡米直後、僕よりはるかに飛ばすアメリカのゴルファーたちに負けたくないと、ショットの精度とパッティングで戦うスタイルに切り替えました。正直、上杉さんの今の実力だったら、100は絶対に打たないと思うんです。

上杉 私もそう思います。そう思っていました。

中井 なのに打ってしまうのは、「今日はもういいや」という思いがどこかにあったからだと思うんです。それを許さないのが、ライバルの存在です。たとえば、大事な試合で予選通過がかかっていれば、絶対に最後の1打まで諦めないはずです。ライバルの存在はそれと同じこと。そう、ゴルフにおけるライバルは「ココロのカットライン」なのです!

上杉 ……なんか、思いっきり「いまオレは名言を言ったぞ」という顔をしていますね。

中井 誤解です。

上杉 ともあれ、分かりましたよ。私も今後は心のライバルに負けないよう、つねに最後まで諦めないゴルフをすることを誓います。

中井 素晴らしい。それで、ライバルとは誰のことですか?

上杉 ともにオーガスタを目指すライバルでなければ意味がありませんからね。そう、石川、松山、そして……上杉。

中井 ライバルは、向こうもこちらをライバルと思ってないとダメな気がするんですけど……。

 

というわけで、みなさんには「コイツには負けない」というゴルフのライバル、いますか? いるならば、ライバルの存在は上達のための宝物。ココロのカットラインに負けないように、一打一打、打っていきましょう! というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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