僕のマグノリアレーン

2013.09.27

【第135回】
「センター狙い」ができますか?

僕のマグノリアレーン

マスターズという夢に向かってゴルフに夢中な日々を送る元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン担当中井学のゴルフレッスンドキュメント、通称「僕マグ」。今週は、簡単に思えるショットに潜む意外な罠についてのお話です。

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アメリカのツアーを見習って、
アグレッシブに攻めた上杉だが……。

上杉 ぎゃーっ!

中井 あらら~、残り150ヤード、フェアウェイのド真ん中から打ったのに、ピンの右に落ちたボールがグリーンを転がり落ちていきましたね。

上杉 松山英樹選手のように、勇気をもって右サイドのピンをデッドに狙ったのですが……。

中井 うーん、今のはグリーンセンターを狙うべきでしたね。

上杉 え~っ、残り150ヤードからピンを狙わないゴルフでは、マスターズなんて到底目指せないのでは?

中井 いや、それでも今のショットはピンを狙うべきではありません。あのグリーンはおまんじゅう型で、しかも狙いが1メートルずれただけでグリーンから転がり落ちるような場所にピンが切られていますから。150ヤード先から1メートル四方を狙えるアイアンの精度があれば狙ってもいいですが……。

上杉 ぐぬぬ。しかし、アメリカツアーを観ていると、日本ツアーに比べてピンをデッドに狙ってくる場合が多いですよね。やはり、レベルの高い海外で戦うためには、たとえ失敗してもピンを狙うゴルフが求められるんじゃないですか?

中井 あ、それは勘違いですよ。たしかにその意見はよく耳にします。海外の選手のほうが技術もパワーも高いから、ピンをデッドに狙ってくるのだと。実は、本当の原因はグリーン形状にあるんです。

上杉 どういうことですか?

中井 まさに今の上杉さんのショットがいい例です。日本の、特に伝統あるコースは砲台型グリーン、おまんじゅう型グリーンが多く、グリーンエッジが下っているんです。ピンを左右のエッジから3、4ヤードの場所に切られた場合、エッジに打ったら全部外れちゃうんです。

上杉 ああ、昔は排水設備が今ほど整っていなかったから、砲台やおまんじゅう型のグリーンじゃないと水はけの良さが確保できなかったってやつですね。そういう理由があったのか。だからセンターを狙う、と。

中井 そうそう。だから読者の皆様、つねにピンをデッドに狙うゴルフがいいゴルフではないのです。それは、つねに150キロのストレートで勝負するのがいい投手ではないというのと同じこと。一打一打、プロの意図を推理しながら観戦すると、トーナメント中継がより楽しめますよ、というのは余談です。

ピンをデッドに狙うよりも
センターを狙うほうが難しい!?

135気楽に打てそうな「センター狙い」だが、実はゴルファーの"内的感覚"が試される
上杉 話を戻して中井プロ、大変な問題が発生してるんですけど。

中井 なんですか。

上杉 あの~、正直に申し上げて、私はグリーンセンターを狙うのが苦手です。どうしても動物的本能からか、獲物(ピン)を狙いに行ってしまうのですが……。

中井 そうなんだよな~。アマチュアの人って、センター狙いが本当に下手なんですよ。正直に申し上げて。

上杉 おっ、中井プロ。日本にいる1000万アマチュアゴルファーを敵に回しましたね?

中井 回していません。いやでも正直、プロとアマの差はこういうところにも出るんです。プロは、ある程度目標がなくても距離と方向を合わせることができますが、アマチュアはなにも目標がない場所、「景色がない場所」に打つのが苦手なんですよ。

上杉 じゃあ、どうしたらいいんですか?

中井 なにかを意識することですよね。たとえば、ピンが切られていない場所でも、グリーン後方に大きな木が立っていれば、それを狙うことができます。風見鶏的なものとか、クラブハウスとか、そういった動かない対象物を探して、それを目印にセットアップして打つ。これはただ漠然と打つよりはるかに精度が上がると思います。

上杉 なるほど。しかし、木や建物など、目標物が存在しないグリーンではどうしたらいいんですか?

中井 ここで話は先週に戻るのですが、やはり最後は「目をつぶる」ことなんですよ。実際に目をつぶって打つということではなく、なんにも目標物がない場合、頼りになるのは自分の内的感覚だけなんです。このケースでなくとも、ゴルフ場の景色は人の感覚をあざむくように作られていますからね。

上杉 ああ、ずっと打ち上げのホールだと、グリーン面が受けているように感じられてしまったりとかっていうアレですね。

中井 そうそう、それ系です。「目標物のないところに打つ」もある意味では、その一種なんですよ。もっとも気楽に打てそうでいて、もっとも感覚をズラされる。だからこそ、先週お伝えしたように、普段の練習から目をつぶって打つなどして、自分の感覚を研ぎ澄ましていく必要があるんです。練習場でのショット力と、総合的な「ゴルフ力」は、はっきり言って強い相関があるとは言えませんからね。

上杉 つまり、普段から練習場に足を運ばない私は正しい、という意味ですね?

中井 無論、違います。目をつぶって打つ練習って、究極の「目標がないショット」なんですよ。クラブヘッドも、ボールすらも見えないわけですから。その状態を自ら作ることが、「目標物がないところに打つ」訓練に直結するということです。

上杉 いや~、「センター狙い」って奥が深いんですね……。

中井 それを感じていただければ今週はよしとしましょう。ピンに打つのは危険だからセンター狙いがいいですね、なんて簡単に言いますけど、実はそのセンター狙いこそが難しい。ゴルフ場では、そのことを自覚してもらうだけでも、無用なミスが減らせると思いますよ。

上杉 元教え子・AKB指原莉乃を見習って私もセンターを狙いにいきます。

中井 そのセンターじゃない……。

 

というわけで今週は、とかく簡単に考えがちな「センター狙い」が実は意外と難しい、というお話でした。「センター狙い」が確実にできるようになれば、スコアは必ず良くなります。ぜひ、トライしてみてください。というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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