僕のマグノリアレーン

2013.09.13

【第133回】
ホントの「キャリー」を知っていますか?

本文を読む前に…キャリーとは?

僕のマグノリアレーン

マスターズという夢に向かってゴルフに夢中な日々を送る元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン担当中井学のゴルフレッスンドキュメント、通称「僕マグ」。今週も先週に引き続き、上杉のホームコースでのラウンドレッスンです!

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無謀に挑戦する勇気を持つよりも
"ゴルフ偏差値"を高めよう!

上杉 よしっ!(と、拳をグッと握る)

中井 おおっ、ナイスパー!

上杉 ありがとうございます。いや~、鹿島の杜カントリー倶楽部13番ホール444ヤードパー4。苦手中の苦手ホールで、はじめてパーが拾えましたよ。いつも、ボギーはおろか、ダボやトリばかりでしたから。

中井 グリーンが池で囲まれた距離のあるパー4で、上手く3打目を寄せてパー。うん、素晴らしいパーです。

上杉 ははは、そんなことないですよ。なにしろたまたま3打目のアプローチが私の技術によって見事に寄り、さらには距離はないけど簡単ではないラインを素晴らしいパッティングストロークでもってねじこんだだけですからね。

中井 出ましたね、謙遜しているようで自慢しているという上杉さんの高等技術。しかし、私が誉めたいのはアプローチでも、パットでもありません。2打目、残り200ヤードのフェアウェイからアイアンでのレイアップを選択したあの判断、素晴らしかったのはあそこです。

上杉 そこですか……。いや、本当に苦手なんですよ、さっきのホール。手前も池、奥も池、左右も池、さらについでに上下も池。いつも池に入れてしまうので、もういっそ刻んでしまえと思っただけなんですが……。

中井 上下に池はないでしょう。まぁ、たまたまとはいえ、その判断ができるかどうかはさらに上級者になれるかどうかの境目ですよ。なにしろ、今までの上杉さんは“特攻”しかしていませんでしたからね。

上杉 人聞きが悪いですね。どういうことですか。

中井 “特攻”とは、たとえば左OBで右には池がある狭いけれど距離の短いパー4でドライバーを使うことや、残り220ヤードで手前に池がある状況でスプーンでピンを狙うショット、あるいは林の中から狭い隙間を抜いてピン方向をロングアイアンで狙うショットなどです。

上杉 なるほど、ゴルファーの勇気が試される、ハイリスク・ハイリターンなショットのことですね。

中井 違います。試されているのは、勇気じゃなくてゴルファーの“ゴルフ偏差値”みたいなものですよ。正直、さっき言ったような状況で狙うのは、ゴルフ偏差値が低い感じです。

上杉 ま、たしかに失敗する確率のほうがはるかに高いですよね。冷静に考えると。でも、その場にいくとつい「イチかバチか」をやっちゃうんだよなぁ。

中井 まあ、予選通過ラインにわずかに届いていない最終ホール、といった状況では、プロでもイチかバチかをやることはありますけどね。それにしても、最低限の基準は持ってもらいたいものです。

上杉 基準ですか。たとえば?

中井 いちばん分かりやすいのはなんといっても距離です。しかも、キャリーの距離。上杉さん、ご自分のドライバーの飛距離って分かりますか?

上杉 だいたい、平均すると250ヤードくらいでしょうか。

中井 では、平均キャリーは?

上杉 うーん、そう言われると……。ウェッジなんかは正確に把握していますが、ピッチマークがつかないドライバーの場合、なかなか正確な数字は分からないですよね。

コースマネジメントは自分の
キャリーを知ることから始まる!

133自分の飛距離は知っていても、キャリーを把握していない人が多い

中井 僕は球が高いので、一般営業のコースだと下り坂に落ちない限りランがほとんど出ない。だから毎回ピッチマークを確認していますけどね。

上杉 さりげなく自慢が入りましたね、今。

中井 自慢ではなく、事実です。それで、上杉さんのキャリーは大体220ヤードくらいです。

上杉:えっ! せっかく飛ばし屋になったのに、意外と飛んでないじゃないですか! 矛盾した表現になってしまうほどの衝撃ですね、それは。

中井 いや、これは立派な数字ですよ。アマチュアレベルでは十分飛ばし屋です。さて、読者のみなさんも、自分のドライバーのキャリー飛距離を知らないという人がほとんどだと思いますので、軽い計算式を。大体、平均のトータル飛距離×0.85~0.9が、キャリーの距離だと思ってください。

上杉 なんで数字に幅があるんですか?

中井 球が高い人は×0.9、球が低い人は×0.85という感じです。だから、飛距離230ヤードの一般的なアマチュアだとしたら、キャリーは195~207ヤードといったところでしょうか。

上杉 意外とキャリーって出ていないもんなんですね。中井プロはどれくらいですか?

中井 僕で280ヤードです。

上杉 恐ろしい男ですね。最近、中井プロとの飛距離差が20~30ヤード程度にまで近づいてきていましたが、まさか高反発を使っているとは……。それで私のランも含めた距離とキャリーの距離が同じだと言い張るとは……。

中井 いまどき、そんな冗談を言う人もいません。もう拗ねないで。そうそう、上杉さんも飛ぶようになっています。スプーンとクリークも大体同じ計算で問題ありません。たとえばスプーンで210ヤード、クリークで190ヤード飛ぶという人なら、スプーンのキャリーは185ヤード前後、クリークのキャリーは165ヤード前後です。

上杉 えっ。意外とキャリーって出ないものですね。

中井 その通り。残りピンまで200ヤードの池越え、池を越えるのに180ヤードとかいう状況って、コースで普通に出くわすと思いますが、それがいかに困難な状況か、分かると思います。つまり、普通の飛距離の人ならば、スプーンで超ナイスショットしない限り、そのショットは成功しません。

上杉 恐ろしいですね。

中井 だから、僕たちプロが「飛距離」といった場合、それはキャリーのことなんですよ。ランは計算できませんが、キャリーは計算が立つ。マネジメントはキャリーの距離を知ることから、始まるんですよ。

上杉 そうか! だから中嶋常幸プロも「キャリー中嶋」って呼ばれていたんですね!

中井 断じて呼ばれていません。しかもそれは「キャシー中島」です。関係ないオチを無理矢理持ってこないでください。

 

飛距離といえば、キャリーのこと。これが上級者たちのお約束。下り坂で転がりまくった奇跡の飛距離を「俺の飛距離」と言い張らず、謙虚な気持ちでキャリーで計算。それで守れるストロークもきっとあります。ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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