僕のマグノリアレーン

2013.08.30

【第131回】
究極の振り幅ストローク

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆。彼を教えるプロゴルファー・中井学は先週、「パットに型あり」と語ったが……。

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"松山英樹流アドレス"を
実践していたという上杉

中井 先週、名手のパットには「型」があり、それは左の前腕とシャフトが一直線になっていることだと説明しました。

上杉 そうでした。

中井 さらに、松山英樹プロのパッティングを例に、前傾角度(背骨)とシャフトの作る角度が直角だと安定したストロークができると説明したところ、上杉さんが「それなら既にやっている」と言ったところで終わったんでしたね。

上杉 まさに、そうでした。

中井 しかし、まだ教えていなかったのに、なんでやっていたんでしょう?

上杉 先日、雑誌「Choice」の取材で、山田透さんを取材したんですよ。

中井 ああ、オバマ大統領から直々に注文が来たことで話題になった、ヤマダパターの山田さんですね。

上杉 その山田さんです。それで、山田さんのパッティング理論が、まさに前傾角度とシャフトを90度にしなさいというものなんですよ。数時間にわたってその話を聞かされてすっかり洗脳され、以来コースでも実践しているんです。

中井 なるほど、そうでしたか。で、どうですか、やってみて。

上杉 なんとなくですけど、パッティングが安定してきた気がします。以前に比べてパンチが入らなくなったというか……。

中井 それは素晴らしい。「パンチが入らない」という感覚って、ものすごく大切なことなんですよ。

上杉 どういうことですか?

中井 松山くんのパッティングって、まさにパンチがまったく入らないんです。テークバックを大きくとって、ボールの初速とヘッドの初速が感覚的にはイコールになるようにストロークしている。これが彼の強さの秘密なんです。

上杉 なんか、イマイチ分からないんですけど。

松山英樹選手の強さの秘密は、
飛ばすゴルフではなく"止めるゴルフ"

131背骨とシャフトが90度になる上杉のパッティング

中井 パッティングって、パンチを入れてヒットしたほうが飛ぶんです。でも、ヒットタイプの人は、グリーンの速さにものすごく影響を受けるんです。その点、松山くんの場合はグリーンの芝がベントだろうがバミューダだろうがポワナだろうが、つねに一定のタッチが出せる。それは、ストロークスピードとボールスピードを統一できているからなんです。

上杉 前傾角度とシャフト角度が垂直だと、それがやりやすいってことでしょうか。

中井 まさにそうです。初心者の女性や、子どもにパッティングさせると、大抵の場合、前傾せずにボールをヒットします。なぜか。それは、背骨とシャフトを直角にして、ストロークの振り幅だけで球を転がすのって、実はものすごくしんどいからなんです。つまり、松山くんはもっとも飛ばない打ち方で、世界中のグリーンを攻略しているんです。

上杉 う~ん、たしかにオーガスタのガラスのグリーンで、パチンとヒットしてしまったら、どこまでも転がってしまいますもんね。私が中学生時代にプレーしていた新宿区立戸山公園の“土のグリーン”では、ヒットしないボールはそもそも真っすぐ転がってくれませんでしたが……。

中井 世界のメジャーと野良ゴルフを一緒にしてはいけません。世界を舞台に戦う松山くんはもちろんですが、日ごろプレーするグリーンのスピードがコースによってマチマチなアマチュアゴルファーも、背骨とシャフトが垂直になるようにストロークすると、自分なりの距離感を作りやすいと思いますよ。

上杉 究極の振り幅派なわけですね、松山選手は。

中井 まさに、言い得て妙です。そしてその姿勢は、松山くんのゴルフすべてに表れています。ヒット=飛ばすのではなく、ストローク=止めるゴルフ。アクセルではなくブレーキを重視したゴルフ、それが松山くんの強さの秘密です。

上杉 松山選手が飛ばしていない? なんか、ものすごく飛ばすイメージがあるんですけど。

中井 今週の段階での松山くんの平均飛距離は287.19ヤードで、日本ツアーの29位。数字だけ見ても、「飛ばしていない」んですよ、実は。ジャンボ尾崎プロが、松山くんを評して「松山は、飛ばさないスウィングで飛ばしている」といった趣旨の発言をしているんですが、これはまさに至言。ポテンシャル的にはもっと飛ばせるのに、あえて飛ばさず、ディスタンスコントロールに徹している。これが今までの日本人選手との最大の違いであり、日本人として初めてメジャーに勝てると思わせる最大の理由です。

上杉 ほほーっ。しかし、パットの話のはずが、いつの間にかスウィングの話になってしまいましたね、今週は。

中井 パッティングからドライバーショットまで、一本の筋が通っている。それもまた、松山くんの魅力なんですよ。

 

みなさま、背骨とシャフトは90度! これをグリーン上の標語に掲げ、今後パッティングを行っていただければと思います。担当の私見ですが、ショートパットの精度が上がります。というわけで来週も目指せ、マスターズ!



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