僕のマグノリアレーン

2013.08.23

【第130回】
パットに型あり。

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指すという見果てぬ夢を追いかける元ジャーナリスト・上杉隆と、プロゴルファー・中井学。今週は、中井学がセオリーを覆す爆弾発言!?

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今年、松山英樹選手は米ツアーで
"賞金王"を獲っていた!

上杉 いや~、すごいですね、松山英樹プロは。今年、一体何度「いや~、すごいですね、松山英樹プロは」と言ったか、数えきれないくらいです。

中井 「今年の夏は暑いですね」というセリフと同じくらい、言った気がします。出場7試合で米ツアーのシード権確保ですからね。上杉さん、米ツアーの「ノンメンバー・アーニングス」という項目をご存知ですか?

上杉 ノンメンバー・アーニングス? 米ツアーのメンバー以外の獲得賞金額ということでしょうか。

中井 そうそう。松山くん、1位なんですよね。イタリアのモリナリ、スペインのミゲル・ヒメネスやカストロといった選手たちより、米ツアーで稼いでいるんです。

上杉 なんと! 日本の賞金王になる前に、米ツアーの「ノンメンバー賞金王」になっていたわけですか。

中井 メンバーの中に入れても、デビッド・トムズやジャスティン・レナード、デービス・ラブ三世といったビッグネームより稼いでいますからね。たった7試合で。なんかもう、すごすぎてなにがどれくらいすごいのか、正直分からないくらいすごいです。

上杉 うーん、おそろしい。2011年にマスターズでローアマを獲得したときからすごいとは思っていましたが……。

中井 ここまでの選手に成長したのは、2012年のマスターズでローアマを逃したのが大きかったと僕は思います。3日目を終えてローアマ獲得はほぼ確実と思われた状況から、最終日に叩いて、ローアマを逃した。信じられないくらい悔しかったと思います。

上杉 分かります。私も今年の関東アマ予選で思うようなゴルフができず、その悔しさはいまだに忘れられません。

中井 あの「ローアマ逃し」を機に、彼のなかでのゴルフの目標が大きく変わったと思います。おそらく、「日本アマ優勝」というレベルが「マスターズ優勝」というレベルに引き上げられたのではないでしょうか。

上杉 私の目標が「コンペで優勝」から、「関東アマ本選出場」に引き上げられたのと同じですね?

中井 志のベクトルだけに限定すれば、同じです。たぶん。いずれにしても、マスターズは彼のなかで相当大きい存在だと思います。さて、同じマスターズを目指す上杉さんに、今週は松山くんのプレーの中から是非見習ってもらいたい部分をお伝えしたいと思います。

上杉 ぜひ、聞きたいですね。なんでしょうか? やはり、あの豪快なドライバーショット、あるいは勝負所でピンに絡めてくるアイアンの切れ味でしょうか。

中井 惜しい! 正解は、パッティングです。もっといえば、パッティングのアドレスです。

パットには名手に共通する
2つのポイントがあった!

130中井プロは上杉に松山英樹選手のパッティングを見習うように指示した

上杉 パッティングですか……。お言葉ですが、中井プロ。古来、「パットに型なし」と言われるように、パットの構えは十人十色。それが証拠に、歴代のマスターズ王者であるタイガー・ウッズ、ジャック・ニクラス、そして今年のアダム・スコット。みんな、まったく異なるパッティングスタイルの持ち主です。

中井 違うんですよ。大いに、違うんです。宣言しましょう、「パットに型あり」と。

上杉 恐ろしい……。それは、「犬も歩けば棒に当たらない」と言っているのと同じことですよ。

中井 ええ、その覚悟を持って言っています。ポイントはふたつ。ひとつは、左腕前腕とシャフトがつくる角度。もうひとつは、前傾角度に対するシャフトの角度です。

上杉 なんか、難しそうな話ですね。

中井 ごくごく簡単な話です。まず、左腕前腕とシャフトがつくる角度。松山くんは、この角度がほぼ「0度」。すなわち、左腕のひじから先の部分と、シャフトがほぼ一直線になっています。

上杉 あ、たしかにそうかも。それだとなにがいいんですか?

中井 手首の動きがロックされるんです。そのため、フェース面がブレにくくなり、正確性がアップします。

上杉 (試して)自然と肩の動きでストロークできるようになりますね。

中井 でしょ? 僕が見た限り、「パットの名手」と言われる選手は、いや、もっとシンプルに「名手」と言われる選手は、この「型」を確実に守っています。この型から外れているのは、“オリエンタル・マジック”とうたわれた、青木功プロくらいです。

上杉 でも、構え方やグリップは選手によって全然異なりますよね?

中井 ええ、まさにそこは「型なし」の部分です。グリップやスタンス幅、内股か、ガニ股か。その辺は人それぞれであっていい。しかし、この左手首とシャフトの角度に関しては「型あり」と思ったほうがいいでしょうね。

上杉 了解です。

中井 松山くんのパッティングには、もうひとつ参考になる点があります。それは、前傾角度に対するシャフトの角度。松山くんは、これがほぼ「90度」。すなわち前傾した体に対して、シャフトがほぼ垂直になるように構えているんです。

上杉 ふむふむ。

中井 ショットのとき、遠心力を最大限に活かすためには、インパクトでシャフトと前傾姿勢が垂直になることが大切なんですが、松山くんはその感覚をパットにまで持ち込んでいる。そうすることによって軌道も安定しますし、ショットの感覚をパットに持ち込めるというメリットもあるんです。

上杉 ふふふふふ。中井プロ、それなら、私は既に取り入れています。

中井 ええっ、マジですかっ!?

(つづく)

 

中井による驚愕の「パットに型あり」宣言に対し、「それなら既にやっている」と返した上杉。一体全体どういうことだ!? ということで、本連載には珍しく次回への「ヒキ」を作ったところでまた来週。目指せ、マスターズ!



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