僕のマグノリアレーン

2013.08.09

【第129回】
見習うべきは、ミゲル・アンヘル・ヒメネスだ!

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指すという見果てぬ夢を追いかける元ジャーナリスト・上杉隆と、プロゴルファー・中井学。今週は全米プロの話題からどうぞ!

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松山英樹選手の強みは
世界のトップの「いいとこどり」

上杉 いやあ、早いもので今週はメジャー最終戦、全米プロですね。

中井 今年はメジャーが毎回盛り上がりますよね。マスターズではアダム・スコット、全米オープンではジャスティン・ローズ、全英ではフィル・ミケルソン。ビッグネームがメジャーに勝っていますから。

上杉 日本の松山英樹選手も全米、全英と2大会連続でトップテン入りですからね。今週も期待したいところです。

中井 米ツアーのシード入りも目前。いやあ、楽しみ。すごいですよ、松山くんは。

上杉 まさに。25年前の私を見ているようです。

中井 一体全体、どのあたりがですか……。松山くんがすごいのは、積極的に海外のトップ選手とコミュニケーションを図り、練習ラウンドなどをともにしていること。

上杉 なるほど、トップ選手の技をどんどん盗んでいるというわけですね?

中井 それが若干違うんですよ。松山くんは、世界のトップの技術を積極的に目の当たりにしたとき、それを参考にしたり、頭の片隅にはとどめておくんでしょうが、自分のプレーに無理矢理取り入れる感じはしないんです。「いいとこどり」しかしていない、というか……。

上杉 なるほど。ここでも私が松山選手最大の長所だと考える「ノー感じ」さが発揮されているわけですね。あの若さで世界の強豪と回ったら、影響を受けますよね、ふつうは……。

中井 知識や経験のみを吸収して、自分のプレーと関係ないものはスルーする。ある意味、究極の贅沢ですよね。世界最高のレストランで世界最高の料理のおいしいとこだけ食べる、みたいな話ですから。裏返せば、それだけ強く己を持っていると言えます。

上杉 己を持つことに関しては私も自信があるのですが、なかなか上手くならないのはなぜなのでしょうか。

中井 練習しないからです。それはさておき、上杉さんはたしかに私生活では強く己を持つ人物ですが、ゴルフではものすごく移り気じゃないですか。

上杉 そんなことないですよ、失礼な。

中井 だって、海外メジャーを取材するたびに、思いっきり影響を受けて帰ってくるじゃないですか。ダスティン・ジョンソンとかルーク・ドナルドとか。

上杉 なんと!

中井 とくに、ツアー屈指の飛ばし屋であるジョンソンに至っては、上杉さんのプレースタイルとはまるっきり違いますからね。彼を真似しようと思ったら、むしろスウィングを壊します。

上杉 そういうもんですか。

中井 そういうもんですね。読者のみなさまも、メジャーなどを観戦する際は、ショットメーカーの人はジム・フューリックなどショットメーカーを、パッティングなどショートゲームでゴルフを組み立てるタイプの人はルーク・ドナルドなどのショートゲーム巧者を、飛ばし屋の人は飛ばし屋を参考にしてもらいたいです。まあ、ルーク?ドナルドに関しては、すべてのタイプの人に参考にしてもらいたいですけどね、本当は。ああいった、狙った場所にボールを運ぶ作業を淡々と繰り返す選手は、本当に勉強になります。

グリーン側からマネジメントする
ティショットの方程式とは?

129中井プロが上杉にオススメするお手本はスペインのヒメネス!

上杉 ルークって、なんか他の選手と違いますよね。淡々とプレーしているというか。

中井 たとえば、スタート前に「15番ホールの3打目はなにを使いますか?」と質問したら、間髪入れずに答えが返ってくると思います。18ホール全ショットのゲームプランを完璧に設計し、それをただ愚直にこなしていく。そういう雰囲気があります。

上杉 それって、上手いからできるんじゃないかって気がするんですけど……。

中井 うーん、たしかに100が切れないレベルだとそうかもしれません。しかし、100を切る腕前があれば、ゲームプランをしっかり立て、それに従ってプレーするだけでもスコアがあっさり縮まると思いますよ。これは何度も言っていることですが、「350ヤード」をふたつの数字の和として表現しようと思ったら、その組み合わせはほとんど無限にあるわけですから。

上杉 最近飛ばし屋になってきた私としては、ドライバーで300ヤード、ウェッジで50ヤード、といったゲームプランがすぐに描けます。完璧ですね。

中井 幸せな人だ……。多くの人は、上杉さん同様「(ホールのヤーデージ)-(ドライバー飛距離)=(セカンドショットの残り距離)」という発想。本当は、「(ホールのヤーデージ)-(セカンドショットで狙いやすい距離)=(ティショットで打つべき距離)」という発想であってほしいのです。ティグラウンド側からではなく、グリーン側からのマネジメントです。

上杉 ところで、話を戻しますが、私は誰のプレーを参考にすべきなのでしょうか。

中井 ああ、すみません、話が壮大にズレていました。上杉さんが参考にすべき選手、それはミゲル・アンヘル・ヒメネスです。

上杉 ヒメネスか~。おじさんじゃないですか。アダム・スコットがいいんですけど。

中井 上杉さんも僕ももうおじさんです。ヒメネスは、先日の全英オープンでも3日目まで優勝争いに加わっていました。来年シニアデビューの49歳なのに、すごいですよ。彼も、飛距離が出るタイプではまったくありませんが、正確な距離を冷静に打ち分け、タフなセッティングでもきっちりパーを積み重ねる技術とゴルフ脳を持っている。

上杉 たしかに、私みたいな仕事人間は、葉巻とワインを愛する彼の陽気さを見習うべきかもしれませんね。

中井 ヒメネス、ああ見えて試合の週も毎日1時間半、きっちりウェートトレーニングをこなし、誰よりも練習する選手なんです。上杉さんに見習ってほしいのはソコですよ……。

 

アラフォーゴルファーが参考にすべきは、タイガーでも、松山でもなく、ヒメネスだ! というわけで、なかなかメジャーに勝てないヒメネス。全米プロでは頑張ってもらいたいですね。というわけで来週はお盆で連載はお休み。再来週、またお会いしましょう!



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