僕のマグノリアレーン

2013.07.26

【第127回】
攻めの持ち球、守りの打ち分け

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指す! 見果てぬ夢に向かって日夜ゴルフに夢中な日々を過ごす元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン担当のプロゴルファー・中井学。今週は、そんなふたりが激闘の記憶も生々しい、全英オープンを振り返ります。

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やっぱりミュアフィールドは
"フェード"有利のコースだった!

上杉 いやー、悔しいっ。

中井 僕も悔しいっ。

上杉 というわけで、今週は恒例の「全英オープン大反省会」をお届けします。マスターズを目指すという趣旨と全然関係ないじゃないか、というクレームは受け付けません。

中井 いや、それにしても悔しい。おさらいしておくと、先週我々はこのような優勝予想を行ったわけです。

中井 本命:リー・ウエストウッド、対抗:ルーク・ドナルド、穴:セルヒオ・ガルシア、ジェイソン・デイ 上杉 本命:ルーク・ドナルド 対抗:アダム・スコット 穴:松山英樹

上杉 惜しいっ!

中井 ホントに、惜しい! というか、ウエストウッドはなにをやっているんだ!

上杉 最終日、“いつものウエストウッド”になってしまいましたね。

中井 パターがねえ……入りませんでした。

上杉 バックナインに入ったあたりでは、私の予想と中井プロの予想でワンツーフィニッシュとなる予感すらありました。まあ、ルークのことは忘れるという前提のもとですが……。

中井 いや、でもやっぱり勝ったミケルソンが立派ですよ。今思えば、ミケルソンが勝つ根拠は十分にあったんです。

上杉 どういうことですか?

中井 ズバリ、フェードヒッターという点です。

上杉 ええっ! ミケルソンといえばドローヒッター、これは世界の常識です。

中井 その通りです。しかし、ミケルソンは左打ち。つまり、後方から見たときに「右に曲がる球」を打つことができる。これは絶対的なアドバンテージでした。

上杉 そうだ。トレビノやニクラス、それにファルドといった伝説的なフェードヒッターたちが、ミュアフィールドでは勝っているんだった。

中井 だからこそ、欧州一のローフェードヒッターであるウエストウッドにとって千載一遇のチャンスだったんですけどね……。ともあれ、実際に中継を観て確信しましたが、あのコースはフェード有利。とくに、最終日のピン位置は、フェードヒッターが攻めやすい場所でした。それがもっとも表れていたのが、17番のパー5です。

上杉 17番パー5でバーディを獲れるか否かが、ある意味今回の全英の勝負を分かつポイントでしたね。

中井 その通りです。そして、17番でフェード……というか右に曲がる球を打つ選手は、グリーン上のマウンドに当ててピンに寄せる攻め方を選択することができた。ミケルソンはそのように攻めてバーディを奪い、18番でも左のバンカーから回す球でバーディ。ほとんど同じイメージで打ってきたんです。この2ホールが、勝負を決めたともいえます。これは、“持ち球”を持つ強さですよ。

真っすぐ打たなくていい、
自分の持ち球を磨こう!

127フェードが持ち球の往年の名選手、ブルース・リツキー。ドローを打たしても一流だった

上杉 持ち球ですか。そうはいっても、左右どちらにもコントロールできる選手のほうが強いんじゃないんですか?

中井 一概にそうは言えません。なにしろ、トレビノなんてフェード一本でメジャー6勝を挙げていますから。

上杉 あ、そうか。

中井 僕の考えでは、持ち球で勝負するゴルフは攻めのゴルフ。左右に打ち分けるゴルフは守りのゴルフなんです。持ち球でバーディを奪い、打ち分けでパーを守ると言い換えてもいい。やっぱり、シビアな状況でピンをデッドに狙えるだけの精度は、持ち球でなくては得られないんですよ。対して、「絶対に池にいれない」とか、「林を避けてグリーンにとりあえず乗せる」といったディフェンシブな状況では、打ち分けが生きてきます。

上杉 なるほどー。

中井 アメリカに留学していた頃、ブルース・リツキーのプレーを生で観たことがあるんです。

上杉 ああ、往年の名選手。たしか……フェードヒッターでしたよね。

中井 そうそう。僕は、彼はフェードしか打てない選手だと思っていたんです。しかし、彼は僕の目の前で目の覚めるような完璧なドローボールを放った。で、その後キャディにこう言ったんですよ。「2年半ぶりにドローを打ったよ」って。レベルが違うと痛感しました。なにしろ、僕が見た中でもっとも美しいドローでしたから。

上杉 なるほどな~。本当はドローも打てるんだけど、あえてフェード一辺倒で攻めているってことか。バーディを獲るために。

中井 その上で、持ち球の活かせるコースでキッチリ勝つ。世界のレベル、メジャーのレベルではそれが求められるんですよ。まあ、リツキーはメジャーで勝てませんでしたが……。

上杉 うーん、私も「完璧なストレートボール」という持ち球を磨かないといけませんね、これは。

中井 そんな持ち球はありません。読者のみなさまは、フェード、あるいはドロー。自分の持ち球をしっかりと磨くことをお勧めします。ただ、今回6位タイに入った松山英樹選手は例外。彼はドローとフェードを見事に打ち分けていました。それはそれで、凄かった。

上杉 大事なんですね~、持ち球って。

中井 持ち球がないということは、右左どちらに曲がるか分からないということでもあります。

上杉 ゴルフ界も、格差化が進む世界の趨勢を反映して、99%の持ち球を持たざる者と、1%の持ち球を持つ者に二極化されているわけですね。

中井 うーん、分かりにくい!

 

というわけで、やっぱり持ち球は大切です。真っすぐ飛ばなくていい。一定の方向に曲がってくれさえすれば……。それが難しいのが、またゴルフの面白いところなんですけどね。というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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