僕のマグノリアレーン

2013.07.05

【第124回】
「右手を離せる」男になろう。

僕のマグノリアレーン

マスターズ目指してゴルフに励む元ジャーナリスト・上杉隆。レッスンを担当するプロゴルファー・中井学。おじさんふたりが夢見るゴルフレッスン連載、今週は先週に引き続き、松山英樹プロ養成ドリル!

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先週の「ヒデキ・マツヤマドリル」、
みなさん覚えてますか?

中井 先週の「僕マグ」が評判がいいみたいなんですよ。

上杉 そうですか。たしかに、いい内容でしたからね。

中井 というわけで、今週は先週のテーマをさらに深く解説したいと思います。上杉さん、ちょっと簡単におさらいしてもらってもいいですか?

上杉 お安いご用です。えーっと……どんな内容だったっけ。

中井 お約束のボケをありがとうございます。インパクトの直後に右手を離すと、遠心力を感じることができ、左ひじを抜くクセもなくなって飛距離が伸びる、という話でした。

上杉 あ~、はいはい。あのドリルはいいですよ。右手を離した瞬間に、飛距離が10~20ヤードくらい伸びましたからね。しかも安定性が犠牲になるかと思いきや、意外と曲がらないんです。

中井 実際に試してみて、飛距離アップに成功した人が多くいたみたいですよ。そこで、今週は第二弾です。

上杉 しかし、なんで右手を離すと飛距離が伸びるんでしたっけ?

中井 右手の力を「使えない」からです。上杉さんは、右手を離した結果、飛距離が伸びましたが、なかには右手を離すと飛距離が格段に落ちる人もいます。そういう人は、右手の力を使い過ぎることで、飛距離をロスしているんです。

上杉 ふーん。どういうこと?

中井 右手の力だけでクラブを操ってもある程度飛ぶし、ある程度コントロールもできるんですよ、正直なところ。でも、それだとどんなに練習してもマックスの飛距離は出せないし、“ある程度”までしか球筋を安定させることもできません。とくに、このドリルを試したときに「右手が離せない」という人はかなり重症。小さなスウィングで構わないので、右手を離せるようにがんばってもらいたいです。

右手離しドリルはスウィングの
"リトマス試験紙"だ!

124フォローで右手が離れることがある松山英樹選手

上杉 右手を離すとヘッドが走って飛距離が伸びるのは分かるんですけど、ボールの方向性も安定するのは不思議ですよね。つるやオープンで本人に直接質問したところ、松山英樹選手も「右手を離したからといって曲がるわけではない」と明言していましたが……。

中井 そうだなぁ、たとえば高速道路の追い越し車線を走行しているとするじゃないですか?

上杉 時速150キロで?

中井 免許取り消しですよ、そんな速度で走ったら。法定速度で、です。そんなとき、右手にがっちがちに力を入れていたら、かえって危ないと思いませんか?

上杉 たしかに。免許取り立てのドライバーや、長く運転していないペーパードライバーのなかにはそのような人もいますが……。

中井 むしろ、ハンドルの「遊び」を感じられるくらいの力加減で握ったほうが、安定したドライブができる。ヘッドスピードが秒速40メートルの人がいたとして、それを時速に換算したら150キロ近いスピードですからね。ガチガチに握ったらOBなどの“事故”につながる危険性が高くなってしまうのも当然です。

上杉 じゃあ、右手の力加減は、クルマのハンドルを握るくらいがちょうどいいってことでしょうか。

中井 こればっかりは人それぞれとしか言いようがありません。正しい言い方をするならば、「スウィングの結果発生する遠心力と拮抗するだけの力加減で握る」としか表現できませんから。

上杉 ……見事なまでに、なにを言っているのか分かりませんね。

中井 ですよね。たとえば、握力100のゴルファーと、握力30のゴルファーがいるとして、両者のヘッドスピードがまったく同じだとします。

上杉 ゴルフの場合、往々にしてそういうことが起こりますからね。

中井 ヘッドスピードが同じですから、発生する遠心力もほぼ同じとします。そして、同じ遠心力に拮抗するために、握力100の人は軽~く握るでしょうし、握力30の人はある程度強く握る必要がある。だから一概に言えないわけです。誰しもが「小鳥を握るように」グリップすればいいわけではないんです。

上杉 サム・スニードのやり方は、あくまでサム・スニード個人の力加減というわけか……。

中井 そこで右手離しドリル、通称「ヒデキ・マツヤマドリル」なわけですよ。インパクト直後に右手を離して飛距離が落ちるなら、それは右手に力が入り過ぎ、あるいは右手を使い過ぎている。上杉さんのように右手を離した結果、飛距離が伸びるなら、左ひじを抜いたり、クラブの入射角が悪かったりと、スウィングの他の部分に問題がある可能性があります。ある種、スウィングのリトマス試験紙として使えるドリルなんです。

上杉 飛距離が落ちれば酸性、伸びればアルカリ性、みたいな。

中井 そうそう。落ちれば右手、伸びればそれ以外に問題アリってことです。最終的に、松山くんのように右手を離しても飛距離も安定度も変わらないとなったら、そこがゴールというわけです。

上杉 よし、私も松山くんを見ならって、右手を離して離して、離しまくりますよ!

中井 それちょっとニュアンスが違うんですけど……。

 

「あ~、松山選手、右手を離してしまいましたね~」と解説者が言うことがありますが、ちょっと待った! それはミスじゃないのかもしれません。右手が余計な動きをしていないからこそ、右手が離せる。その感覚、ぜひ身に付けたいものですね。というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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