僕のマグノリアレーン

2013.06.13

【第121回】
スコアが「炎上」する理由

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指してゴルフ界を東奔西走する元ジャーナリスト・上杉隆とレッスン担当の中井学。今週は、上杉の中東レポートからスタートです!

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中東での取材から帰国後、
試合に出場した上杉だが……

中井 なにやら、中東に行かれてたようですね。

上杉 10年ぶりに、取材で。今回は、シリア周辺、ヒズボラの支配地などに滞在していました。いや~、到着したらいきなり目と鼻の先で銃撃戦が始まったり、一時滞在していたベイルート市内でも銃撃戦があったりと……。

中井 いやはや、よくぞ御無事で。

上杉 生きて帰れたのはただの運ですよ、こうなると。印象に残ったことがあるんですが、砲撃や銃撃戦が頻発するなかでも、若者たちは夜になると街に出てくるんですよ。いつ死ぬかも分からないからこそ、明るく夜遊びして、今を楽しんでいるんです。

中井 うーん、すごい。

上杉 改めて、ゴルフができる幸せを感じましたよ。飛んでくる弾に怯えることなく、球を飛ばして遊べるんだから……。

中井 上手いこと言いましたね。それで、帰国してすぐホームコースである鹿島の杜CCで開催された試合に出場したんですよね?

上杉 え? ああ、砲撃のショックで一時的な健忘症になったのでしょうか、イマイチ記憶がないなぁ。

中井 記憶を失くす時系列が逆です。

上杉 そうでした。ええ、出ましたよ。「鹿島の杜オープンゴルフトーナメント」。約160名もの選手が参加したワンデイトーナメントで、羽川豊プロ、渡辺司プロ、飯合肇プロといった、有名プロも参加したんですよ。

中井 そこにアマチュアとして参戦したと。

上杉 ええ。いや~、ホント、幸せでした。プロ3人と私のフォーサムでのラウンドですからね。こんな経験はなかなかできません。

中井 で、成績はどうだったんですか?

上杉 中井プロ、「辛くとも、苦しくとも、今を楽しむ」ことを私は学びました。結果なんてどうだっていいんですよ。

中井 ただ言いたくないだけな気もしますが……。ともかく辛くて苦しいラウンドだったのは分かりました。

上杉 ただでさえコースレート日本一を目指しているコースで、コース自体が極めて難しい上に、7127ヤード、パー72と距離は長く、グリーンは12フィートという高速グリーン。同伴のプロたちも「難しすぎる!」と音を上げていたほどです。なにしろ、アンダーパーはほとんどいませんでしたからね。そりゃ「99」も打ちますよ!

中井 きゅっ、99も打ったんですね……。

上杉 いや~、驚きましたね。取材先も砲撃で炎上、ネットでも炎上、スコアも炎上……。

中井 上杉さんの行くところ、炎が絶えることはないのですね。

大たたきする原因は
リスク回避ができてないから!

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ティショットはドライバーと決めつけていてはスコアの炎上も避けられない

上杉 しかし、実際に人命が失われる砲撃に比べれば、ネットの炎上なんてお遊びですよ。むしろスコアの炎上のほうが私にとっては深刻な問題です。

中井 今年のマスターズは7435ヤードで、パー72です。グリーンは13~14フィートくらい出てるっていいますから、やっぱり遠いですね、マスターズは。火星とオーガスタ、どちらが行ける確率が高いだろうか。

上杉 失礼なことを言う男ですね。ともかく、私としてはスコアこそ炎上したものの、発見もあり、課題も見つかって、実に意義深い試合になりました。

中井 ほほぅ。

上杉 今回スコアを崩した要因は、以前からの課題ですが1ホールでの大たたきなんですよ。「9」とか「8」なんていうスコアが、突発的に出てしまう。これは致命的です。これがまず「課題」ですね。

中井 では、「発見」のほうは?

上杉 ズバリ、同伴した3人のプロたちの攻め方と、プレーの早さです。中井プロもよく言うことですが、プロたちは決して「飛ばすだけ」のゴルフをしないですよね。一見、広々としたホールでも全員アイアンでティショットしたり、行ってはいけないほうを確実に避けたり……。1打1打に意思がある。これがまずひとつ。

中井 プレーの早さというのは?

上杉 まずは歩くのが速いし、無駄な動きが一切ないんですよ。だから、アマチュア同士で回るより、上手いからとかじゃなくて、はるかにプレーが速い。おかげで、すごくリズム良く回れました。

中井 素晴らしい。自ずと、課題に対する答えが出ているじゃないですか。

上杉 ん? どういうことですか?

中井 上杉さんの試合での大たたきは、例外なくOBが原因です。OBを出してリズムを崩し、セカンドショットで再びOBを打ったりする。「9」なんていうスコアはそうでもしなければ出ません。プロたちは、なにがあっても絶対に「9」を打ちたくないから、ティショットでアイアンを持つなど工夫をして、絶対に行ってはいけない場所に行かないようにしているわけです。

上杉 うーん、なるほど。

中井 上杉さんだけでなく、僕たちプロにもOBを打つ可能性は常にあります。でも、僕たちはOBの恐ろしさを知っているから、可能性の数字を少しでも低くするために、徹底的にリスクを減らすんです。もちろん、リスク回避だけがマネジメントではありませんが、基本のひとつではあります。

上杉 たしかになぁ。ドライバーさえ使わなければOBを打つこともなかったと、後になって気付くんですよ。

中井 プレーが速いというのも、もちろんエチケット的なこともありますが、基本的にはそのほうがスコアがよくなるからそうしているんです。パーティ全体のリズムが良くなれば、プレーにもリズムが生まれますからね。厳しい言い方になってしまいますが、たまに見かけるスロープレーヤーの方は、自分で自分のリズムを破壊しているようなものです。

上杉 むむむ、言われてみればそうですね。実際、リズム良くプレーした結果、スコアは炎上したものの、いや、スコアが炎上したにも関わらず、ものすごく心地よくプレーできたんですよ。

中井 うん、それは良かったですね。

上杉 時には「炎上」から教わることもある、ということですね……。

中井 上杉さんが言うと説得力があるなぁ、そのセリフ……。

 
スコアが炎上する理由、それは技術的なものだけでなく、もしかしたら「攻め方」や「プレーのリズム」にあるのかも! というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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