僕のマグノリアレーン

2013.05.23

【第118回】
秘技! 「狭き門寸止めドリル」!

僕のマグノリアレーン

1ラウンド43パットという屈辱的な数字を叩き出してしまった元ジャーナリスト・上杉隆。それじゃ目標であるマスターズ出場など夢のまた夢のそのまた夢。ということで、先週からパッティングの特訓をしています。

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パッティングの練習法が
人生の真理を教えてくれる!?

中井 さて先週は、パッティングには「狭き門」を用いた練習が効果的だと申し上げました。

上杉 ボールの30センチほど先にティを2本、ボールがギリギリ通る幅で刺し、そこを通すように打つ練習法でした。

中井 ええ。「狙ったところに打ち出せているか」のチェックであり、狙ったところに打ち出すための練習にもなります。

上杉 これがね~、やってみるとなかなか難しいんですよね。1メートルくらいの距離を狙う分には問題なく「狭き門」を通せるのですが、ロングパットとなるとこれが簡単じゃないんですよ。

中井 上杉さんの場合、ロングパットになるほど出球が揃わないということですよね。厳密にいえば、ショートパットであれ、ロングパットであれ、許される出球のブレはカップの幅と同じ108ミリしかない。そう考えると、出だしでほんの数ミリ狙いがズレると、それだけでカップインの確率は激減してしまうのです。

上杉 まさにアンドレ・ジッドが「狭き門から入らないと幸せには至らない」と書いたように、グリーン上においても狭き門を通さないとワンパットという幸せには手が届かないわけですね。

中井 そう。出球をアバウトに考えてしまうと、すなわち「広き門」から入ろうとすると、3パットという悲しみが待ち構えているのです。

上杉 うーん、パットのみならず人生の真理まで教えてくれるとは、なかなか哲学的な練習法ですね、これは。

中井 若干無理がある気もしますが、その通りですとも。また、この練習を繰り返すと、「なぜ入らないのか」の理由が見えてきます。

上杉 分かります。打ったボールがティに当たらず、「狭き門」を通過したにも関わらず、なおカップインしないとしたら、それはタッチか、あるいはライン読みに問題がある――そういうことですよね。

中井 うおおおお! まさにその通り。完璧な回答です。

上杉 ははははは。私もゴルフジャーナリストとしてのキャリアを着々と築いていますからね、これくらいは基本です。

中井 ではここで問題。「狭き門ドリル」は、ある“ルール”を追加することで、タッチとライン読みの感覚を磨くこともできるようになるのですが、その“ルール”がなんだか分かりますか?

上杉 分かりません(即答)。

中井 即答ですか……。答えはすごくシンプルです。「カップインさせない」というルールを足せばいいんです。

上杉 また馬鹿なことを言い始めましたね。カップインこそが唯一にして無二のパットの目的じゃないですか。それを自ら放棄するとは、敵前逃亡で軍法会議モノですよ。

中井 どこかの政党の代表じゃないんだから、物騒なことを言うのはやめてください。

カップインは距離感を消す!
タッチを磨くには寸止めがいい

118
距離感を養うには、カップ手前ギリギリで止める練習をしよう

中井 これはよく言われることなのですが、たとえば1メートル先にカップがあるとするじゃないですか。

上杉 はい。

中井 真っすぐなラインだとすれば、ある程度強く打っても入りますよね。たとえば、3メートルくらいを打つ強さで打ったって、ほぼ確実にカップインするでしょう。

上杉 そりゃそうです。

中井 でも、それでは距離感が合っているとは言えません。やはり1メートルなら1メートル、3メートルなら3メートルの距離感がある。カップインは、そのピッタリの距離感を消してしまうんです。だから、カップ手前で「寸止め」するのがいいんです。

上杉 ほほーぅ。でも、それだとたしかにタッチは磨けると思いますが、ライン読みのほうはどうなんでしょう。

中井 タッチとラインは相関関係にありますからね。同じラインを打っても強く打てば曲がりは少ないし、弱く打てばより曲がります。

上杉 あ、そっか。

中井 「狭き門寸止めドリル」を行う場合、強めのタッチでラインを消す打ち方では“寸止め”ができない以上、ジャストタッチで打つしかありません。そのため、必然的にジャストタッチで打ったときにはじめてカップインさせられるライン、“ゴールデンライン”を探す訓練にもなるんです。

上杉 なんか、ベタですね。ネーミングが。

中井 そうですかね。

上杉 もっと派手なほうがいいですよ、たとえば“マジェスティック・ライン”とか……。

中井 それは以前、「マジェスティック・ロブ」の回で使いました。

上杉 そうでした。でも、そこまで厳密にラインを読んで、ピッタリのタッチで打つ必要がそもそもあるんでしょうか?

中井 2006年のマスターズを思い出してください。最終日16番ホール、タイガー・ウッズがグリーンの奥から打ったアプローチは、ピンに向かって大きく曲がりながらトロトロと転がり、まさに寸止めしかけた次の瞬間、カップインを果たしました。

上杉 すごかったな~、あれは。

中井 あれはアプローチですが、パッティングでも同じこと。日本の通常営業のコースなら、正直多少ライン読みが甘くてもタッチがピッタリでなくとも入ります。しかし、オーガスタのようなセンシティブで傾斜の強いグリーンでは、ゴールデンラインを描けないとカップインの確率が激減してしまうのです。届かないパットが入らないのは当然ですが、ゴールデンラインを通らないと入らないようなグリーンも世の中にはある。そして、オーガスタはそのうちのひとつなんです。

上杉 正しいライン読み、正しいタッチ、そして狭き門を通せる精密な打ち出しの三拍子が揃って、はじめてカップインできるわけですね。

中井 その通り。それを実現するのが「狭き門寸止めドリル」なんです。

上杉 よし、今後私はコースでもカップインを避け、すべてのパットを寸止めで打ちます!

中井 それ、意味ない!

 
というわけで、皆様も「パター練」のときは、カップインさせずに寸止めする練習を、是非。距離感がぐんぐんよくなりますよ! というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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