僕のマグノリアレーン

2013.02.28

【第106回】
僕とあなたの「インパクト観」

僕のマグノリアレーン

遥かなるマスターズ目指して奮闘中の元ジャーナリスト・上杉隆とプロゴルファー・中井学の凸凹コンビ。気が付けばマスターズへの最初の一歩、東京都アマ予選が刻一刻と迫ってきたぞ!

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東京都アマ予選を目前に控え
上杉に新たな"問題"が発覚……。

上杉 うーん、まずいですよこれは。

中井 どうしたんですか、上杉さん。

上杉 気が付けば、私の本格的な競技デビュー戦であり、遥かなるオーガスタへの第一歩となる「東京都アマ予選」が約10日後に迫っているんです。

中井 あっ、そうだった。もうすぐじゃないですか。でも、競技デビューは昨年の「関東ミッドパブ予選」では?

上杉 忘れました、それは。ともかく都アマ予選が近いので、先日会場となる八王子CCに練習ラウンドに行ったわけです。そうしたら、意外に難しかったんですよ。長くて、しかも狭い。

中井 スコアのほうはどうだったんですか?

上杉 恥ずかしながら、「45・40」です。バックティから回って。

中井 うーん、2年前の上杉さんだったら「ナイスラウンド!」と言いたいところですが、現状では不満ですね。本番でそのスコアだと予選落ちはまぬがれません。

上杉 しかも本番ではバックティよりさらに距離の長いフルバックからのラウンド。7000ヤードとはいかないまでも、かなり距離のあるセッティングになると噂されています。というわけで中井プロ、あと10日で飛距離を40ヤードほど伸ばしたいのですが……。

中井 2年かけてようやく40ヤード伸ばしたのをお忘れですか、上杉さん。今から10日で40ヤード伸ばすのは不可能です。ただ、7000ヤード近い距離を短く感じさせることは不可能ではありません。

上杉 距離を短くする……? なるほど、コースを速やかに買収し、重機でコースを改造するわけですね? あるいは東京都知事の猪瀬直樹氏にお願いして、東京オリンピックのゴルフ競技開催地として買い上げてもらうという手も……。

中井 ありません。物理的な距離を短くするのではなく、クラブセッティングを見なおすことで、長い距離を短く感じられるようにするというわけです。

上杉 私の完璧な14本のどこに付け入る隙があるというのですか?

中井 大アリです。上杉さんは、150ヤード以下の距離からはかなりの確率で乗せてくる。200ヤードを超える距離も、大得意のブラッシー(2番ウッド)があるから意外と苦にしない。ただ、180ヤード前後の微妙な距離が苦手なんですよ。

上杉 ぐぬぬ、痛いところをついてきましたね。

中井 それ、クラブのせいなんです。

上杉 なるほど、さっそくゴルフショップに行ってアイアンを買い換えましょう。うーん、痛い出費だ。

中井 違います。今使ってるアイアンは素晴らしいクラブなので、大切に使ってください。問題はクラブのセッティング。上杉さん、5番まではキャビティなのに、4番はマッスルバックじゃないですか。

上杉 いかにも。マスターズ2勝を誇るドイツの貴公子・ベルンハルト・ランガーも、同様にミドルアイアンまではキャビティ、ロングアイアンはマッスルを使っていると聞きます。ふふふ。

中井 あれ、抜きましょう。ランガーほどの技術があってはじめて、ロングアイアンのみマッスルというセッティングは活きてくるのです。

上杉 なっ……なんてことを言うんですかっ。ただでさえ180ヤード前後を強いて言えば苦手としている私が、4番アイアンを抜いたら、もう打つクラブがないじゃないかっ。

中井 代わりに、ユーテリティ(UT)、もしくはショートウッドを入れるんです。

上杉 ああ、そういうこと。7番ウッドとか9番ウッドとかですね。

ボールを潰すイメージの人はUT、
インパクトは通過点という人はウッド

106上杉のセッティング。4番アイアンだけマッスルバッグを使用
上杉 なんかなあ、ショートウッドやUTって微妙に抵抗があるんですよね。

中井 上杉さんは、ロングアイアンに美学を感じる世代ですもんね。しかし、PGAツアーに目を向けても、今や3番を使う選手は年々減少し、4番を抜くことだって珍しいことではなくなりました。パワーと技術がある彼らがそうなんだから、上杉さんが使わない手はありません。

上杉 でも、ショートウッドとUT、どちらを選べばいいんでしょう?

中井 基本的には、球を上げたいならウッド、抑えたいならUT。つかまえたいならウッド、つかまり過ぎがいやならUTを選ぶべきです。

上杉 う~ん、つかまり過ぎると左が怖いですからね。なにしろ八王子CCはカート道路のすぐ脇にOB杭が打ちこまれていることも珍しくないですから……。そう考えるとUTのほうがいいのかなぁ。

中井 ここで今週のポイントなのですが、今挙げた特徴はあくまでクラブの特性の解説に過ぎません。本当に大事なのは、自分自身の「インパクト観」で選ぶということです。

上杉 なんですか、それ。

中井 「人生観」とかと一緒ですよ。ボールを潰すようなインパクトイメージで、ボールにスピンをかけ、スピンで球を舞い上げ、止めるようなインパクト観の持ち主ならば、迷わずUT。スウィングの通過地点にたまたまボールがあったというイメージで、クラブのロフト通りに素直に球が上げて、高さでボールを止めるようなインパクト観の持ち主ならば、ウッドを選ぶべきです。

上杉 そんな、あやふやなイメージで選んじゃっていいんですか?

中井 いいんです。クラブはあくまで道具。使うのは人間です。ならば、自分の「インパクト観」をまず見つめ、それに適した道具を選ぶのが正しい順序なのです。ちなみに、「潰し派インパクト観」の人はアイアンならマッスルバックやハーフキャビティ、「通過派インパクト観」の人はポケキャビや飛び系アイアンが違和感なく使えると思います。

上杉 ふーん。

中井 クラブって、腕前やヘッドスピードで選ぶと思っている人が多いと思いますが、大間違いなんですよ。大事なのはあくまで自分の「インパクト観」。いい例が、片山晋呉プロですよね。彼のインパクト観に「潰す」という意識はまるでないと思います。その結果、当時プロがほとんど使わなかった7番や9番ウッドを多用して、マスターズ4位にまで上り詰めたわけですから。

上杉 マスターズ4位と聞いたら黙っていられませんね。私も片山プロにあやかって、早速ショートウッド、あるいはUTをセッティングに加えたいと思います。

中井 ふふふ、そう言うと思って、実は用意してあるんですよ。次週、コースで実際に試してみましょう!

 
クラブの機能を吟味する前に、まずは己のインパクト観を見つめる――。それがクラブ選びを成功させるカギなのだっ。というわけで、最近はUTが一般的ですが、実はショートウッドのほうが合うという人、意外と多いみたいですよ! てなわけで来週は東京都アマ参戦直前、八王子CCでの練習ラウンド&クラブフィッティングの模様をお伝えします。目指せ、マスターズ!



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