僕のマグノリアレーン

2013.02.22

【第105回】
秘策! ゴルフマスマティクス

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指すという果てしない夢に向かって突き進む元ジャーナリスト・上杉隆と、プロゴルファー・中井学のゴルフレッスンドキュメント、通称「僕マグ」。今週は、先週に引き続き、アイアンの距離の打ち分けのお話です。

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まずは先週のおさらいから。
3つのショットを覚えていますか?

中井 さて、さっそく先週の復習からいきましょう。ひとつの番手で「3つの飛距離」が打てるとコース攻略が簡単になる、というお話でした。

上杉 そうそう、3つの飛距離を3つのスウィングで打ち分けるんですよね。すなわち、100%の距離が打てるフルショット、80%の距離が打てるハーフショット、そして120%の距離が打てるスーパーショット。

中井 ……そのネタは先週聞きました。

上杉 失礼しました。フルショット、ハーフショット、ミラクルショットの3つですね。あれっ、トラブルショットでしたっけ? 水切りショットじゃないですよね?

中井 (無視して)フルショットで100%、ハーフショットで80%、そしてスリークォーターショットで90%の飛距離が打てる。すなわち3つの飛距離であるとご説明したつもりでございます。

上杉 そうでした。

中井 ちなみに、上杉さんのアイアンの飛距離に上の公式を代入すると、以下のような番手ごとの飛距離が導き出されます。左から、フルショット、スリークォーターショット、ハーフショットの飛距離です。

【4番】180/162/144
【5番】170/153/136
【6番】160/144/128
【7番】150/135/120
【8番】140/126/112
【9番】130/117/104

上杉 そうだ、残りが135ヤードだったら、何番でどうやって打つんだ、という話で前回終わったんでしたね。

中井 7番のスリークォーターで135ヤードちょうど。8番のフルで140。9番のフルで130。5番のハーフなら136が打てますからね、計算上は。

上杉 でも、よくよく考えると135ヤードピッタリを打てる7番のスリークォーターがいちばんいいですよね。

中井 無風で、ティグラウンドとグリーンに高低差がなければ、たしかにそうでしょうね。しかし、実際はそんなことはありません。

上杉 じゃあ、どうやって番手を選べばいいんでしょう。

中井 まず、基本的な部分から説明しましょう。

【法則1】番手を大きくするほどスピン量が減り、低い球になる。
【法則2】スウィングを小さくするほどスピン量が減り、低い球になる。

これをまず頭に入れてください。

風、ピン位置などによって
持つべき番手は変わってくる!

105ホールによっては、あえて大きめの番手でスウィングを小さくすることも必要だ
上杉 私の場合でいえば、4番のハーフショットがもっともスピンが少なくて低い球になり、9番のフルショットがもっとも高スピンのハイボールになるということですね。至極当然の話に聞こえるのですが……。

中井 そこで、先ほどの135ヤード問題に再び戻りましょう。135ヤードを狙うには、4つの番手が考えられました。これを、スピンと球の高さに注目して並べ替えます。上から下にいくにつれ、スピン量は減り、球は低くなります。

【スピン多い、球高い】
9番フル(飛距離130ヤード)
8番フル(飛距離140ヤード)
7番スリークォーター(飛距離135ヤード)
5番ハーフ(飛距離136ヤード)
【スピン少ない、球低い】

上杉 ほう。

中井 まず、無風なら、飛距離がピッタリでそこそこスピンも効く7番でいいでしょう。でも、フォローの場合、アゲンストの場合はどうでしょうか?

上杉 そうか! フォローなら9番で風に乗せ、アゲンストなら8番で少し大きめに打てばいいのか。

中井 その通りです。強めのアゲンストが吹いていれば、5番を持つことも十分考えられます。低スピンで球筋も低い分、風の影響を受けにくいですからね。また、同じ距離を打つのでも、ピンが手前なら短い番手でスピンをかけて止め、奥のピンなら大き目の番手を持って転がし寄せる。そんなイメージも有効です。

上杉 うーん、たしかに全英オープンでは、ロングアイアンで低い球を打つ技術を持っている選手が、やはり上位にきますもんね。

中井 全英に限らず、このクラブ選びの考え方は、上杉さんが目指しているマスターズの「あるホール」でも威力を発揮するんですよ。

上杉 まさか、19番ホール……?

中井 そんなホールはありません。16番ホールです。

上杉 通称・レッドバッド。グリーン左に池のある、名物パー3ホールですね。

中井 上杉さんもご存じの通り、このホールはグリーン左手前から右奥にかけて巨大な斜面があるんです。最終日のピンに寄せようと思ったら、この斜面にブツけて、傾斜を利用して転がし戻すしかないんです。

上杉 ええ、数々の名シーンを生んできた、これまた名物のピンポジですね。

中井 3日目はその傾斜の上にピンが切られる場合が多いんです。最終日と、プレイングディスタンスはほぼ同じ。でも、傾斜の上のピンを攻めるには短い番手でスピンを効かせて止める必要があるし、最終日のピンを攻めるにはそれより大きい番手でハーフショットをし、傾斜でスピンを殺してほどよく転がし戻さなくてはならない。このように、同じ距離でも、ピン位置によって持つ番手が大きく変わるんです。

上杉 なるほどね~。

中井 これが、オーガスタの16番を攻略する秘策「ゴルフマスマティクス(数学)」です。

上杉 話しはたしかに参考になりますが、「数学」っていうか「算数」レベルな気がするんですけど……。

 
ひとつの番手で3つの飛距離! これができたらコース攻略に一気に幅が出てきますよ~! アゲンストのパー3、みんなが7や8番アイアンを持つ中、ひとり5番で抑えて打ってナイスオン……うーん、そんなのできたらカッコいいですよね。というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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