僕のマグノリアレーン

2013.02.14

【第104回】
ひとつの番手、みっつの飛距離

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指して奮闘中の元ジャーナリスト・上杉隆とプロゴルファー・中井学によるゴルフレッスンドキュメント・通称「僕マグ」。今週はとあるラウンド中の風景から。アマチュアは、アイアンでも飛んだらうれしいですよね……。

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グリーンオーバーした上杉。
でも、なぜかご機嫌のよう……

(上杉と中井、ある日のラウンド中)

上杉 残念~、ボギーです。

中井 ティショットがグリーンを大きくオーバーしてしまいましたからね。むしろナイスボギーです。

上杉 いやあ、まさか150ヤードのパー3、7番アイアンで打って大オーバーとはね。参りましたよ、ははははは。

中井 なんか、全然「参った」って感じが伝わってこないんですけど……。

上杉 いやいや、困ったな~飛距離が伸びちゃって。この分だと150ヤードでも9番アイアンを持つことになってしまいそうです。

中井 ……上杉さん、飛距離アップに成功した人特有の、危険思想にとらわれつつありますね。

上杉 どういうことですか。まさか中井プロ、私の飛距離をねたんで……。

中井 ……ません。当たり前の話ですが、アイアンは飛距離を比べるクラブではありません。あくまで、狙った距離を打つクラブです。150ヤードをやれ8番で打ったの、俺は9番だのと自慢する人がいますが、スコアとはまったく関係ないんです。

上杉 なぬっ。

中井 逆に、思ったより飛んだにせよ飛ばなかったにせよ、間もなく始まる競技シーズンを控えて、狙った距離が打てなくなるのは大問題。ラウンド後にちょっと修正しておきましょう。

(ラウンド後、練習場へ――)

上杉 でも、言われてみると飛ぶようになった結果、番手ごとの飛距離がバラ付いているのは事実かもしれません。

中井 番手間のバラつきも問題なんですが、アイアンの目的は「狙った距離を打つ」ことです。

上杉 そりゃそうです。

中井 そこで、一度番手の数字を忘れてほしいんです。

上杉 忘れちゃダメでしょう、そこは。キャディさんにクラブを持ってきてもらうとき、なんて言えばいいんですか。

中井 なんていうか、数という概念自体を忘れさらなくていいです。7番で150ヤード、とか9番は何ヤード、みたいな固定観念を捨てて欲しいという意味です。

上杉 どういうことですか?

中井 7番アイアンって、極端な話1ヤードだって打てるじゃないですか。コツンと触るだけなら。同じように、30ヤードだって、50ヤードだって、100ヤードだって打てますよね?

上杉 でも、300ヤードは打てませんよね?

中井 (無視して)で、同じように9番でも30、50、100ヤードは平均的なヘッドスピードの人なら無理なく打てるし、5番アイアンでも打てるわけです。

上杉 そりゃそうです。

中井 7番=150ヤード。その呪縛から解き放たれれば、それこそ1ヤード刻みに考えるだけでも、150の距離を打ち分けられるクラブなわけですよ、7番アイアンって。

上杉 おお~、なんか、見慣れた7番アイアンが急に凄い魅力的なものに思えてきました。

中井 これが、番手の固定観念を忘れるということです。ただ、実際は7番で150の距離を打ち分けるのは現実的ではありませんし、ベン・ホーガンならできたかもしれませんが、僕にだってできません。でも、たとえば「3つの距離」なら打ち分けられると思うんです。

「ハーフショット」は半分ではなく
8割くらいの飛距離が出るもの

104ハーフショットを打つ上杉。思ったよりも飛んでしまった……

上杉 150のうちの3つですか……ちょっと難易度が低すぎませんか?

中井 いえ、十分です。具体的にいえば、フルショット、ハーフショット、スリークォーターショットの3つです。

上杉 ス、ス、ス……。

中井 スリークォーターショット。4分の3。分かっているでしょ、上杉さん。

上杉 中井プロ、相変わらず甘いですね。私の場合はフルショット、ハーフショット、スーパーショットの3つです。

中井 なんでもいいです。はい、それで……。

上杉 はい。えっと、フルショットで150ヤードとすれば、ハーフで75ヤード、スリークォーター……え~と、112.5ヤードか。約110ヤードですね。

中井 甘いっ。そう考える人が多いんですが、実は違うんです。ものは試し。上杉さん、ちょっと7番でハーフショットしてみてください。

上杉 お安い御用です(と、打つ)。おっ、ピシっと締まったいい音がしましたね……あっ、100ヤード以上飛んじゃった。

中井 うん、今のはすごくいい例ですね。手が腰の高さより少し上まで挙がるショットを「ハーフショット」と言いますが、「ハーフ」という言葉の語感とは裏腹に、実際はフルショットの8割くらいは飛びます。同様に、スリークォーターも飛距離が4分の3になるのではなく、おおよそ9割くらいの飛距離は出るんです。

上杉 たしかに、ハーフショットが思ったよりも飛んでしまうことが、過去にあった気がします。

中井 仕方がないけど、言葉が悪いんですよね。ハーフショットは80%ショット、スリークォーターは90%ショット、と言い換えたほうが飛距離に対しては正確な言い方になるかもしれません。

上杉 つまり、7番のフルショットが150ヤードだとしたら……ハーフで120ヤード、スリークォーターで135ヤードが打てればいいということか。

中井 その通りです。で、それを各番手で打てるとしたら……こんな感じになります。

【4番】180/162/144
【5番】170/153/136
【6番】160/144/128
【7番】150/135/120
【8番】140/126/112
【9番】130/117/104

上杉 あ、面白い。フルショットの飛距離が10ヤード減る(増える)ごとに、スリークォーターは9ヤード、ハーフショットは8ヤードずつ距離が減る(増える)んですね。

中井 あ、ホントだ。考えてみれば当たり前な気もしますが、数の不思議ですね。まあともかくこういう感じになるわけです。で、たとえば打ちたい距離が135ヤードだとするじゃないですか。どの番手を選びますか?

上杉 8番のフルショットで140ヤード、5番のハーフで136ヤード、7番のスリークォーターで135ヤード、9番のフルショットで130ヤード……あとは状況次第ですかね。アゲンストかフォローかによっても変わるだろうし。

中井 上杉さんの発想で、135ヤードを5番アイアンで打つなんて、なかったでしょ?

上杉 あ、ホントだ! いつもなら迷わず9番ですからね。でも、4つも候補があったら何を選んでいいか迷います。

中井 高さとスピンで選べばいいんです。

上杉 と、いうことは……。

中井 なんか、この話面白いから来週まで引っ張りましょう!

 
うーん、見事な「引き」のテクニック! これは来週が気になりますね! 気になります……よね? ということで次回はひとつの番手でみっつの飛距離を打つことで、コース攻略の幅がどう広がるのかを解説します。来週も目指せ、マスターズ!



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