僕のマグノリアレーン

2013.01.31

【第102回】
「ミスジャッジ」と「ミス番手」

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」と宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン役の中井学によるゴルフレッスンドキュメント「僕マグ」。連載3年目を迎えた今年はいよいよ、上杉が競技ゴルフに本格参戦!

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連載3年目突入の記念ラウンド、
しかし上杉は出だしから……

中井 さて、連載もいよいよ3年目に突入。マスターズ目指して、新たな気持ちで頑張っていきましょう。ま、本当は先週既に3年目に突入していたんですけど。

上杉 そうですね。3年目の今年は私にとっても本格的なアマチュア競技デビューの年。不退転の決意で臨みます。ま、本当は先週既に3年目に突入していたんですけどね。

担当編集者 あの~、担当者いじめはその辺で勘弁してもらっていいですかね。

上杉 いたんですか?

中井 いたんですね。まあいいや。今週は久しぶりにラウンドしましょうか。

上杉 いいですね~。私は今、公式ハンディキャップを取得するためにラウンド数を多く稼ぎたい時期。さっそくいきましょう。

――セベ・バレステロスGCの10番ホールからスタート――

――セカンド地点――

上杉 ……うわーっ、引っかけた。

中井 うーん、今のは体が止まっていましたね。グリーンを狙ったショットが左に曲がって林の中へ。まあ、ミスは必ず出るもの。仕方ありません。

上杉 でも不幸中の幸いです。林の中とはいえ、前は開けていてグリーンを狙えそうです。距離も50ヤードくらいしかないし。

中井 乗せてワンパットなら、まだパーセーブの可能性がありますね。

上杉 よ~し、打ちます(と、打つ)。あっ、枝に当たって落ちたっ。

中井 残念。もう1回ですね。

上杉 (打つ)ああっ、また枝に当たったっ!

中井 ……。

上杉 中井プロ、上がってみれば林からの脱出に3打を費やし、5オン2パット、このホールまさかのトリプルボギーとしてしまいました。

中井 出だしから「素トリ」ってやつですね。これが競技の舞台であれば、この段階で予選通過に黄信号。哀れゲームオーバー寸前です。

番手を選択するときには、
長い番手→短い番手の順で考えよう

102林からの脱出に失敗した上杉。原因は番手の選び方にあった……

上杉 まさか3回連続でミスショットするとは……。

中井 上杉さん、それは違います。今のホール、上杉さんは1回しかミスショットをしていません。

上杉 中井プロ、記憶力がないにも程がありますよ。今のホールで3回ミスしたから、私はトリプルボギーとなったのです。パーの数+ミスの数、すなわちスコアです。

中井 さすがにそれくらい覚えています。しかし、上杉さんがミスショットをしたのはセカンドショットで林に入れた1回のみ。林からの脱出に失敗した2打は、「ミスショット」ではなく「ミスジャッジ」です。

上杉 なるほど。林に入れた段階でグリーンを狙わず、横に出すべきだったというわけですね。プロはみんなそう言うんですよ。しかし、そんなボギー狙いのゴルフでは、到底マスターズは目指せません。

中井 そうは言っていません。たしかに、プロの中にはアマチュアに対し、林に入れたらとにかく横に出せと教える人もいますが、僕はその考えには反対です。

上杉 むむ、どういうことですか。

中井 もちろん、他に出せる場所がないのなら別ですが、グリーンが十分に狙える状況で狙わないのは、ノーアウトランナーなしから敬遠策を採るようなもの。それでは日本シリーズ優勝、じゃなかったマスターズ出場は目指せない。上杉さんとまったく同感です。今回の場合、上杉さんがトリを叩いたのは「ミスショット」ではなく「ミス番手」が原因なんです。

上杉 なにっ。要するに、使う番手を間違えたってことですか。

中井 その通り。林の中から打った2打は、いずれも申し分のないナイスショットです。ただ、残り距離が短いことから、上杉さんはウェッジを手にしていた。これがミスだったんです。

上杉 一応、枝に当たらないようにサンドではなくアプローチウェッジを使ったんですが……。

中井 発想が逆なんです。短い番手→長い番手という順に発想するのではなく、長い番手→短い番手、という順に最低限発想してもらいたいですね。あの場面、前は開けていましたから、怖いのは「上」だけだったわけです。ならば、絶対に上の枝に当たらない番手から発想する必要がありました。それなのに、ついつい「残り50ヤードしかないから」とサンドを持ち、さすがにサンドでは上がり過ぎるとアプローチに持ち替えた。その発想の順番が失敗の根幹にあります。

上杉 なるほど、じゃあピッチングが正解だったのか。

中井 ピンが特別手前ではありませんでしたから、8番や9番、いや、5番アイアンだってよかったくらいです。そこでも若干のミスジャッジがありましたね。

上杉 どういうことでしょう。

中井 上杉さんがアプローチウェッジを持ったのは、ピンそばにピタッと止める球を打ちたいと無意識に思ったからだと思うんです。でも、そのジャッジ自体が不正解。エッジからピンまで15ヤードはありましたから、グリーン手前にワンクッションさせたり、手前から転がし寄せたほうがラク。つまり、危険を回避するためにも、寄せるためにも、もっとロフトの立った番手を選ぶべきだったのです。

上杉 うーん、なるほど。

中井 この「ミス番手」は、シングルクラスの腕前の人でもラウンド中に1度2度は必ず犯しているものです。なのに、つい「ミスショット」にばかり気が行って、「ミス番手」であることに気が付かない。

上杉 では、私がスコアを崩す要因はすべて、適切な番手を選ばなかったことにある……と?

中井 上杉さんの場合、ミスショットもまだまだフツーにあるので注意してください。

上杉 ガクッ。

中井 林の中から脱出する例でいえば、上杉さんはアプローチウェッジを使ったことが、ミス(脱出失敗)につながった。だからといって、アプローチウェッジで低い球を打つ練習をする必要があるかといえば、あまりないんです。もっとロフトの立った番手を使えば、それで解決しちゃう問題ですから。

上杉 しかし、発想の順番を変えるというのはなるほど、納得です。

中井 すべてのショットに言えますからね。たとえば、右が怖いホールだったら、まずドライバーから発想し、次にスプーン、クリーク……という順に発想していく。そうして、「この番手なら右に絶対にいかない」という番手を選べばいい。

上杉 そうか~。極端な話、パターで打てばOBにはいかないですもんね。

中井 まさにそうです。後は飛距離との兼ね合いってだけで。

上杉 そうだ! パターで300ヤード飛ばせばいいんだ!

中井 無理ーっ!

 
スコアを崩すのはスウィングだけじゃない。番手を選ぶ「発想の順番」。こんな小さなことでも、ラウンドで1打2打、平気で変わってきてしまうんです。恐ろしいですね。というわけで来週も目指せ、マスターズ!



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