僕のマグノリアレーン

2012.12.13

【第96回】
バンカーは「ヘッドファースト」でいこう!

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」 そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン役を買って出たプロゴルファー・中井学。夢のオーガスタ目指して、二人三脚ゴルフレッスンドキュメント、今週は、みんなが嫌いなあのショット!

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前回までのアプローチに引き続き
今週はバンカーショットがテーマです

上杉 あ~、簡単だなあ、ゴルフって。

中井 先週、先々週と教えてきたアプローチが大分成果を出しているようですね。よかったです。

上杉 フォローで左ひじを抜かずに、体の回転だけで打つ。また、セットアップでは、はじめからクラブとボールを右足の前にセットするのではなく、まず体の正面にクラブとボールをセットしてから、右足だけを閉じる。そうして打てばミスなどないのだよ、読者諸君。おわり。

中井 上杉さん、それは僕が教えたことをそのまま言っているだけです……。

上杉 てっきり自分で編み出したのかと思っていました。それにしても、早くも年末。どうしよう、このアプローチを見たマスターズ委員会の人から、年明けにマスターズへの招待状が届いたら。

中井 正月にマスターズからの招待状が届くのは、少なくとも日本では藤田寛之プロだけです。安心してください。それにしても、ホントにミスが減りましたね。

上杉 減ったというより、ミスをしたくてもできません。あ~、ミスがしたい。ミスが懐かしいなぁ。

中井 うーん、このポジティブ思考。メンタルだけなら今すぐにでもマスターズでも通用するでしょう。ああ、僕にこの強靭なメンタルがあれば……まあいいや。というわけで今週は、アプローチに引き続いてバンカーショットのレッスンをします。

上杉 バンカー、ですか。あれ? たしか、遠い昔にバンカーショットのレッスンを受けたような……。

中井 連載30回目でやっています。内容を覚えていますか?

上杉 覚えていると思いますか?

中井 ですよね……。読者のみなさん、お時間があったら是非ご覧になってください。けっこういいことを言っているつもりです。まあ、とりあえず打ってみてください。ちなみにここは鶴舞CCの練習場。練習場とは思えないくらいアゴの高いバンカーで、砂の量はしっかりとありますが、先日の雨でやや締まった状態です。

上杉 では、打ちます(と、打つ)。あれっ?

中井 ナイスアウト。では、もう一球。

上杉 はい(と、打つ)。おやっ?

中井 ナイスアウト。うーん、いいですね。しっかりと高さが出ているし、スピンも利いています。

上杉 出ただけ、って感じですが、なんだか普段よりラクに出せる気がします。

中井 実は、先週まで教えてきたアプローチと、バンカーショットの打ち方は同じ。なかでも最大のポイントは、「左ひじを抜かない」ということなんです。アプローチの打ち方が身に着いた分、ラクに感じるのでしょう。

上杉 さすがにそれはないでしょう! バンカーショットでは、フェースを開いた状態でつかうのが基本。フェースを開き続けるには、どうしてもフォローで左ひじを抜く必要があります。

中井 でも、上杉さんの今の2球は、アプローチのイメージが残ったまま打ったため、まったく左ひじを抜いていませんよ。

上杉 (写真を確認)あ、ホントだ。

中井 でしょ? 前にも言ったのですが、バンカーではセットアップのみを替え、あとは普通のショットと同じように打つのが最大にして唯一のコツなんです。左ひじを抜くと、クラブはインパクト前後でターンせず、そのまま急激に上昇します。アプローチではトップしやすく、バンカーではトップに加え、ホームランのミスも出やすくなります。だから、左ひじは絶対に抜かない。あとはセットアップを一工夫すれば、バンカーは楽勝です。

ヘッドファーストに構えて
左ひじを抜かなければOK!

096アプローチのイメージが残ったままの上杉のバンカーショット。左ひじは抜けていない!
上杉 どうすればいいんですか?

中井 簡単です。まず、構えてください。

上杉 構えました。

中井 サンドウェッジを使うので、ハンドファーストがキツめになりますよね?

上杉 はい。

中井 ハンドファーストになっている手を、体の正面に移動させてください。

上杉 移動させました。

中井 はい、おわり。

上杉 これだけ?

中井 これだけ。あ、ヘッドファーストになる分、ボール位置は体の中心よりやや左になります。

上杉 まるで、私の「第二の師匠」こと、トップアマの田村尚之さんのようなアドレスですね、これは。こんなんで出るんですか? ホントに。

中井 論より証拠、打ってみてください。

上杉 了解(と、打つ)。なっ、なんだこれは。クラブがサクッと抜けて、ボールにも強烈なスピンがかかっています。どういうことですか、これは。田村尚之さんの魂が乗り移ったかのようだ……。

中井 でしょ? 魂の実在を論じるのはここでは避けますが、トップアマのようなバンカーショットが簡単に打てたのは事実です。単純な話で、ヘッドファーストに構えると、フェースが開いてバウンスが使えるのと同時に、フェースターンがやりやすくなるんですよ。

上杉 えっ、そんなの初耳です。

中井 ハンドファーストに構えると、どうしても「構えた位置に手を戻そう」と思ってしまうんですよね、人って。でも、構えた位置に手を戻そうとすると、遠心力でフェースは開いてしまう。それだと通常のショットでも、バンカーショットでも、飛ばないんです。反対にヘッドファーストに構えると、アドレスでフェースがクローズになる分、テークバックでフェースが開きやすくなり、ダウンで閉じやすくなる。つまり、フェースターンが起こりやすくなるんです。

上杉 たしかに、このやり方だと簡単に出ます。しかし、マスターズを目指す私としては、もっと高度な技術も身につけたいところ。ほら、プロって砂を厚くとったり、薄くとったりして球筋をコントロールしますよね。あれを教えてください。

中井 差し当たって、その技術は必要ありません。ちょっと、僕が打つところを見ていてください。まず、砂を薄くとります(と、打つ)。

上杉 うーん、さすが。ピン手前までキャリーして、キュッと止まりました。

中井 続いて、厚くとります(と、打つ)。

上杉 さっきのより飛ばないし、スピンもかかってませんが……あれ、その分転がって、むしろこっちのほうが寄ってます。

中井 そうなんです。砂を厚くとるか薄くとるかって、スピン量の違いしか生まないんですよ、実は。そして、結果はたいして変わらないんです。バンカーでのミスは3つ。リーディングエッジが砂にささるザックリ、同じくボールの赤道より上を打つトップ、そしてクリーンに当たるホームランです。それ以外のミスはありません。そして、それらすべては、ヘッドファーストに構えて、左ひじを抜かずに振れば“起こりえない”ミスなんです。

上杉 なんだ、じゃあバンカーもミスのしようがないってことじゃないですか。ああ、一体全体私はいつミスをすればいいんだっ。

中井 ティーチングプロを長くやっていますが、初めて聞きましたよ、その悩み……。

 

バンカーショットは特殊なショット。その思い込みゆえに、ヘンに難しい打ち方をして、ミスしてしまう。それがバンカー恐怖症の根源にある。実は、ヘッドファーストに構えるだけで、あとは普段通りでだいたいOK。こんな簡単でいいのか!? いいんです! ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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