僕のマグノリアレーン

2012.11.16

【第92回】
正しい軌道は「目線」でつくる

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」 そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン役を買って出たプロゴルファー・中井学。夢のオーガスタ目指して、二人三脚ゴルフレッスンドキュメント、今週もやってます。

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「僕マグ」のコミック版が掲載されている
新ゴルフ漫画雑誌「ボギー」が発売された!

上杉 いや~、ついに出ましたね、「ボギー」が。

中井 ゴルフダイジェストから発売された、新しいゴルフ漫画雑誌ですね。

上杉 この連載がはじまって早2年弱。単行本化されるより先に漫画化されるとは、さすがの私も予想していませんでした。また面白いんですよ、この漫画が。

中井 そうですね、漫画家の秋本尚美さんがしっかりと取材してくれている分、連載の雰囲気が再現されている……いや、この連載のイメージをさらにふくらませたものになっています。実は秋本さん、取材前にこの連載を読んで「かなり脚色しているんだろう」と思っていたらしいんです。驚いていましたね、「ホントに連載のまんまの会話をしているんですね」と……。

上杉 「僕マグ」の会話内容に嘘・捏造はありませんからね。

中井 さっそくtwitter上でも、「上杉さんが、本人以上に本人っぽい」という、やや変化球気味の評価をいただいています。「僕マグ」読者のみなさまも、ぜひ「ボギー」を手にとってみてくださいね。……さて、今週もレッスンいきましょうか。

上杉 ええっ、「ボギー」の話をもっとしたほうがいいんじゃないですか?

中井 上杉さん、レギュラー出演しているラジオ番組「TOKYO FM TIMELINE」でも、なんの脈絡もないところから思いっきり「ボギー」の話をしていましたもんね……。その気持ちは分かりますが、この連載は宣伝・広告のための媒体ではなく、あくまでレッスン連載です。

上杉 マジメですね、相変わらず。

中井 今週は、先週の軌道の話をおさらいしつつ、「飛ぶ」ということの真理に迫りたいと思います。上杉さん、そもそも飛距離を伸ばすには何が必要だと思いますか?

上杉 それはもちろん、ヘッドスピードでしょう。ニュートン力学によれば、運度エネルギーは質量と速さの2乗に比例します。E=mc2、じゃなかったK=1/2mv2、ってやつですね。

中井 その通りです。実際は、角速度だとか慣性モーメントといった要素も加わりますが、飛ばすには、ヘッドを重くするか、速く動かすのがもっとも手っ取り早い方法であることは間違いがありません。事実、先週、スウィング軌道がよくなったことによって、上杉さんのヘッドスピードは2m/s前後伸び、その結果として飛距離が伸びたわけです。

上杉 そうですか? あんまり速く振った気はしないけど……。

中井 それは、手で振った場合と、体で振った場合の体感速度の違いです。手は体に比べて圧倒的に出力が少なく、手で振るというのは軽自動車でアクセルをベタ踏みしている状態にたとえられます。対して、体だけで振った場合というのは、5000ccのクルマでアクセルを軽めに踏み込んだ状態。同じ100キロで走るにしても、両者には大きな違いがあります。

上杉 ああ、そうか。たしかに私の愛車・レクサスGSで走った場合、100キロで巡航していても、あたかも40キロで走っているかの如しです。

中井 さりげない自慢をありがとうございます。ともあれ、このように考えると、腕ばかり振った状態は、軽自動車でアクセルをベタ踏みした状態であることが分かると思います。体感的にはものすごく飛ばしているように感じるけれど、実際はそうでもない。反対に、体で振ると軌道がよくなり、体感速度は遅くなりますが、ヘッドスピードは上がります。

30ヤードを打つ振り幅で
クラブの軌道をチェックしよう!

092極端にアウトに引くイメージでも、実際はオンプレーンだった上杉のスウィング
上杉 うーん、なるほど。全英に勝ったアーニー・エルスなんか、5000ccどころか8000ccのエンジンを積んでいるようなものですね。ゆっくり振っているように見えて、楽々300ヤードを飛ばしますもんね。

中井 ああ、エルスなんかはすごくいい例ですし、マスターズに出場する選手を見渡しても、力任せに引っぱたいてる選手はいません。ゴルフに限らず、野球のダルビッシュ有投手も動き自体はゆったりして見えますし、フィギュアスケートの浅田真央選手も、動き自体に速度感はさほど感じませんよね。それぞれ、一般人では到底真似のできない、もの凄いスピードで動いているにも関わらず。「速度」ではなく「速度感」でいえば、アマチュアゴルファーのほうがはるかに速く「見える」。

上杉 まったく、仕方がないですね、アマチュアゴルファーは。

中井 それが先週までの上杉さんです、念のため。さて、ここで軌道の話に戻ります。先週のスウィングプチ改造で、上杉さんには思い切りアウトに上げる意識を持ってもらいました。それは、ダウンスウィングの軌道にクラブを上げる=オンプレーンにクラブを上げるということでした。

上杉 そうでした。飛球線のはるか外側に上げるイメージで、私の場合はオンプレーンだったんですよね。

中井 ええ。この意識は人によって当然違いがありますが、多くのアマチュアがバックスウィングでクラブをインサイドに引きすぎているのは事実です。インサイドに引きすぎることで、ダウンでは必然的にバックスウィングの軌道より外側にクラブが動く逆ループスウィングになる。逆ループスウィングは、基本的に「遠回り」かつ、手でアジャストしないと当たらない軌道になりやすい。そのため、軽自動車のたとえで言えば、アクセル全開の状態で急ハンドルを切らないと飛ばない・当たらないということになってしまうのです。

上杉 本当に、どうしようもないですね、多くのアマチュアは。恥ずかしくないのでしょうか?

中井 だからそれが先週までの上杉さんだっちゅーの! ……失礼しました。さて、上杉さん、読者のみなさん、今週はこれだけ覚えて帰ってください。ノーコックで30ヤードを打つ振り幅って、ありますよね? ウェッジを使って。

上杉 はい。

中井 その軌道の中で、目線より内側にクラブが来ることはありません。これ、すっごい大事です。

上杉 ん? つまり、よく聞く「最初の30センチは真っすぐ引け」っていうやつですか。

中井 それとは似ているようで違います。スウィングに純粋な直線部分は存在しませんからね。ただ、その幅のなかで目線より内側(体側)にクラブが入ってきているとしたら、それは明らかにインサイドに引きすぎです。一度正しい軌道から外れたクラブは、手を使わない限り、二度と正しい軌道には戻りませんから、ここは最重要ポイントです。

上杉 なるほどな~。これは勉強になりました。しかし、知識としてはタメになりましたが、本当にいるんですか? そんな極端にインサイドに引く人なんて。

中井 だからっ、先週までの……(以下略)。

 
曲がったっていいじゃない。人間だもの。ならぬ、アマチュアだもの。と、言ってられないのがマスターズを目指すという使命を帯びた本連載の宿命。なにはともあれ漫画誌「ボギー」もよろしくお願い致します。というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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