僕のマグノリアレーン

2012.11.08

【第91回】
克服! オーバー・ザ・トップ

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指す! そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン役を買って出たプロゴルファー・中井学。夢のオーガスタ目指して、二人三脚ゴルフレッスンドキュメントは続く!

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クラブをインサイドに引きすぎて
ダウンでアウトから下りてしまう上杉

中井 さて、上杉さん。今週からは再びスウィング改造を再開します。

上杉 了解です。野田内閣の内閣改造はちょっと残念な結果になっていますが、私のスウィング改造は是非成功させたいと思っています。

中井 その意気です。さて、もうそろそろ上杉さんのオーバー・ザ・トップ、あの悪癖を完治させたいと思います。アマチュアに多い、インサイドに引いてアウトサイドに下ろすオーバー・ザ・トップは、スウィング軌道が「遠回り」になってしまい、飛距離と方向性、両方を犠牲にしてしまいますからね。

上杉 中井プロ、でも、困ったことになったんですよ。

中井 なんでしょう?

上杉 2003年、イラク国内に入国すべく手始めにチュニジアに滞在していた際、乗っていたクルマが列車に轢かれる大事故を起こしたのはご存知ですよね。

中井 意識不明の重体となったにも関わらず、病院のベッドで意識が戻った瞬間、医師に「またゴルフができるようになるのか?」と聞いたというアレですね。

上杉 よく知っていますね、そんなマニアックな情報を。

中井 関係ないですけど、当時のことを良く知る上杉さんのご友人に“取材”したところ、上杉さんがイラクへ旅立つ直前に会った際、「ウエスギくんが透き通って見えた」とおっしゃっていました。これは絶対にヤバい、と思ったらしいのですが、それでも生きて帰って、こうしてゴルフをしているんだから、さすがです。

上杉 褒められているんだかなんだか分かりませんが、とにかくその事故の影響で、私の左脚にはいまだにチタンが内蔵され、定期的なリハビリが欠かせません。そのせいか、先日教わった、「インパクト直前に左脚を伸ばす」打ち方が、どうにも怖いんですよ、正直な話。

中井 なるほど。それは仕方ありません。体の動きだけでクラブを上げ、ダウンでは左脚を伸ばすことで体を鋭くスピンさせる。それにより、腕の動きを極端に抑制してオーバー・ザ・トップを直すという意図でしたが、それは諦めて、別の方法を探しましょう。ただ、この方法はアマチュアゴルファーがてっとりばやく飛距離アップするには極めて有効。読者のみなさん、ためしにアプローチのダウンで左ひざを伸ばしながら打ってみてください。

上杉 中井プロ、何度も言うようですが、重要なのは読者より私の飛距離アップです。一体、ほかにどんな方法があるというのですか。

中井 オーバー・ザ・トップとは、テークバックでクラブをインサイドに引きすぎ、ダウンでは腕の力でクラブをアウトから下ろしてしまう現象。その逆をやってみましょうか。テークバックをアウトに上げ、ダウンではインから下ろす意識を持つのです。

上杉 また随分とシンプルなやり方ですね。そんな思い付きみたいな方法で飛んだら苦労はしません。まあいいや、1球だけ試しに打ってみます(と、打つ)……ななな、中井プロ、とんでもなくいい球が打てましたっ。

中井 相変わらずハマると異常な実力を発揮しますね……。うーん、いい感じです。もう一球打ってみてください。

上杉 了解です。今ので感覚をつかみましたからね(再び、打つ)……あれっ? スライスした。おかしいな、もう一球打ってみます(三度、打つ)……ぎゃーっ、チーピンだっ。

中井 ――最初の一球だけでしたね、よかったのは。でも、今打った3球で、上杉さんの“スウィング心理”を完璧に把握することができました。

クラブをアウトに上げるイメージで振ると
スウィング軌道が改善され飛距離も伸びた!

091オーバー・ザ・トップの悪癖が解消された上杉のドライバーは、驚くほど飛んだ
上杉 なんですか、スウィング心理って。

中井 上杉さんは、いわゆるスウィングプレーンからクラブが外れることに対し、異常なまでに敏感な感性を持っているんです。クラブがプレーンから外れると、それを補正しようとしてダウンで手を使い、無意識に正しいスウィングプレーンに戻そうとしています。

上杉 ええっ、本当に? えへへ。

中井 いや、それが良し悪しなんですよ。敏感な感性を持っているからこそ、インサイドにテークバックする限り手の力を使わざるを得ない。よし、では今から思いっきり荒療治に挑んでもらいます。ご自分の限界を超えて、信じられないくらいアウトにクラブを上げ、トップの位置までクラブが上がったら、あとは本能のままにダウンスウィングをするという方法です。

上杉 ――ものすごく、雑な方法ですね。しかも、以前、オーバー・ザ・トップを直すには思いっきりインサイドに上げろ、と教わったんですけど。

中井 まあまあ、だまされたと思って。

上杉 そんな雑なレッスンでスウィングがよくなるのなら、私だってティーチングプロになってますよ、本当に。まあいいや、ともかく一球打ってみます。こんなところに上げたら打てないってくらいアウトにあげて……(と、打つ)なななっ、なに~。

中井 うーん、ビックリした。今のは相当飛んでますね。どうぞ、あと2、3球打ってみてください。

(上杉、ナイスショットを連発)

上杉 いや~、驚いた。何球打ってもナイスショットしか出ません。

中井 正直、僕が打った球と20ヤードも変わりません。以前は100ヤード近く置いていっていたのに。

上杉 その頃の私と今の私では別人です。しかし、おかしいですね。中井プロは先ほど、私にはクラブが正しい軌道からズレたことを察知する感性があり、それがかえってミスにつながっていると言いましたよね? だとしたら、最初からアウトに上げているのにナイスショットが出るのはおかしいはずです。

中井 上杉さん、今のスウィングをビデオに撮ったので、ちょっと見てみましょうか。

上杉 う~ん、素晴らしい。一瞬、ロリー・マクロイかと思いましたが、よくよく見ると私ですね、これは。でも変だな、全然アウトに上がっていません。さては中井プロ、私に気を使って映像を補正しましたね?

中井 んなわけないじゃないスか。これはものすごく大事なポイントですが、あれくらいアウトに上げるイメージで、オンプレーンなんですよ、上杉さんの場合。

上杉 マジですか!?

中井 マジです。それくらい極端にインに引いていたんです。インに引くから、アウトから下りてくる。しかし、アウト=上杉さんにとってのストレートに上げることで、正しい位置にトップが収まり、正しいトップが作れたことでオーバー・ザ・トップが消え、ダウンスウィングの軌道がよくなったことで飛距離がアップしたというわけです。

上杉 ちょっと、中井プロ! じゃあ、中井プロは最初っから私のテークバックが極端にインに入っていたことを知っていたわけじゃないですか。なんでもっと早くそれを教えてくれなかったんですか。まさか私のスウィングの中に往年のレイモンド・フロイドを見ていたんじゃないですか!?

中井 なにわけわからないこと言っているんですか。まず「ボディで振る」感覚を、理屈ではなく体で感じてもらう必要があったからですよ。それができるようになったので、はじめてテークバックの軌道に手を付けることができたわけです。ここからですよ、上杉さんのスウィングが本当に完成に向かうのは。

上杉 うーん、俄然気合が入ってきましたよ。来週には、この連載が待望の漫画化される新雑誌「ゴルフダイジェストコミック ボギー」も発売になることだし!

中井 最後のそれ、あからさまに宣伝じゃないですか……。

 
スライス=アウトサイドインという思い込みから、必死にインサイドにクラブをひいているアマチュアゴルファーのみなさん、思い切ってアウトに上げると、上杉氏ばりのすごい球が打てるかもしれません。ともあれ、「僕マグ」マンガバージョンも掲載される「ゴルフダイジェストコミック ボギー」は来週木曜日発売! ぜひ、チェックしてみてください。というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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