僕のマグノリアレーン

2012.10.25

【第89回】
「ゴールデンスウィング」を身に付けろ!

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆とレッスン役を引き受けたプロゴルファー・中井学による二人三脚ゴルフレッスンドキュメント、通称「僕マグ」。今回は、飛距離アップ大作戦の第三弾!

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飛距離アップを目指す上杉へ
中井プロから何やら怪しい課題が……

中井 今週は、上杉さん飛距離アップ計画の“仕上げ”です。

上杉 すでに仕上がってますよ、中井プロ。見てください、先ほどから私の打ったボールはすべて奥行き250ヤードの「ロッテ葛西ゴルフ」の奥のネットに突き刺さっています。

中井 ボールが地面に落ちるか落ちないかギリギリのところでようやくネットに当たる、という状態を“突き刺さる”と表現していいかどうかはともかく、まだまだ飛距離アップは可能です。

上杉 恐ろしいですね、これ以上飛距離アップしたら、コンペでドラコン賞を独占し、他の参加者の不興を買いそうです。

中井 何度も言いますが、上杉さんの目標は「コンペでドラコン」ではなく「マスターズ」。飛距離はいくらあっても足りません。実際、今年優勝したバッバ・ワトソンしかり、たしか去年はスペインの世界屈指の飛ばし屋、アルバロ・キロスが活躍したりと、やっぱり飛ばし屋有利ですからね。

上杉 たしかにそれはそうですね。よし、では今週もレッスンお願いします。今週はなんですか? 腰ですか? フットワークですか? それともクラブの使い方に関することでしょうか?

中井 そのいずれも違います。まずお伝えしたいのは、「ボールの気持ちになる」ということです。「ボールの気持ちになる」これぞ、飛ばしの極意に至る入り口です。

上杉 なにを分けのわからないことを言っているんですか。怪しい占い師じゃあるまいし。ボールの気持ちになって飛距離が伸びるわけないじゃないですか。

中井 まあそう言わず、だまされたと思って。

上杉 うーん仕方ない。では、私は今からボールです。

中井 ボールの気持ちになるどころか、ボールそのものになるとは、さすが上杉さん。では、今から上杉さんはドライバーのフェースでブッ叩かれて、300ヤード彼方に飛んでいきます。

上杉 痛そうですね。できれば10ヤードのロブショットくらいで勘弁してもらえませんか?

中井 大分ボールの気持ちになってきましたね。しかし、今回は飛ばしのレッスンなので容赦しません。さて、ボールである上杉さんにとって、どうされたら遠くに飛んでいけそうですか?

上杉 うーん、そりゃまあ、まずはヘッドスピードですよね。速く打たれれば、その分速く飛ぶわけですから。あとは……フェースにどのように当たるか、でしょうか。

中井 その通りです。ヘッドスピードと、フェースがどう当たるか。ボールを遠くに飛ばすためには、そのふたつ以外に条件は存在しません。つまり、結局のところスウィングの形なんてどうでもいいんです。まずは、それを知って下さい。

上杉 そりゃそうですね。どんな変なスウィングだって、速く、正確にインパクトを迎えることができれば問題はありません。

気持ちよく振れて、再現性が高い
ゴールデンスウィングを身に付けろ!

089
目指すは「器用貧乏」ではなく「一芸名人」。リー・トレビノもフェード一筋で頂点に立った!
中井 早いものでもう2年近く上杉さんをレッスンしていますが、スウィング理論を頭に詰め込むと、どうしても頭でっかちになって、肝心の「振ること」がおろそかになりがちですからね。まずは無心に「振る」という基本に立ち返っていただきたいんです。そもそも、上杉さんのスウィングは、8割方完成しています。

上杉 なにっ。そうだったんですか。

中井 もちろん、先週お話ししたオーバー・ザ・トップのような欠点はあります。しかし、ここからは上杉さんにしかできない自分だけのスウィング「ゴールデンスウィング」を身に付けてもらいたいんです。ゴールデンスウィングとは、自分がいちばん気持ち良く振れる振り方、もっとも自然で、再現性の高い振り方のこと。それを磨くことって、実はすごく重要なんです。

上杉 私のもう一人の師匠である田村尚之さんがまさにそうですね。あの人は、ドライバーでも、アイアンでも、ラフでも、パターに至るまで、すべて同じ打ち方だと豪語しています。そして、実際そうです。

中井 ……ちょっと、僕の話をさせてもらってもいいですか?

上杉 どうしたんですか、急に。もとより断る理由がありません。

中井 昔、ある選手のコーチをしていた頃、練習日にラウンド中、「このライから、お前だったらどう打つ?」と聞かれたんです。僕は、7つの打ち方を提案しました。そうしたら、その選手にこう言われたんです「そりゃ、お前シード獲れないよ」って。

上杉 一体全体どうしてですか。ひとつのライから7つも打ち方を選べるなんて、どう考えても有利でしょう、それは。

中井 その選手は、「オレはひとつの打ち方しか思い浮かばない」って言うんです。「でも、だからこそ悩まない」と。僕は7つの打ち方を選べますが、いずれもその選手の「たったひとつ」には及ばない。全部ソコソコなんです。

上杉 うーん、なるほど。「いい人だけど……」とは言われるけど、モテない、みたいな感じでしょうか。

中井 なんてことを言うんですか。ともかく、器用貧乏より一芸名人のほうが魅力的であるように、スウィングもある程度自分の“一芸”を磨くことが大切なんです。上杉さん、ブルース・リツキーって知ってますよね?

上杉 懐かしいですね~。主に1980年代に活躍した名手ですよね。

中井 そうそう。彼って、フェードヒッターだったじゃないですか。「リツキーは、パターでもフェードを打つ」なんて笑い話があるくらいで。

上杉 そうでしたね。

中井 そんなリツキーが、とある試合で一発だけドローを打ったんですよ。僕はその試合をロープサイドで観戦していたのですが、それがもう素晴らしい球なわけです。で、リツキーがキャディに「ドローを打つのは2年半ぶりだ」かなんか言ってるわけですよ。「でも、やっぱりやめた。オレはフェードでいく」って。あれにはいたく感銘を受けました。

上杉 なるほど~、球筋を打ち分ける技術はあるけど、あえてそれを封印しているわけですか。

中井 そうそう。フェードヒッターといえば“スーパー・メックス”と呼ばれたリー・トレビノが有名ですが、彼だってもちろんドローは打てますからね。逆に、多くの日本人ゴルファーがマスターズに挑み、「マスターズではドローが打てないと通用しない」とスウィング改造の迷路にはまっているという事実もあります。

上杉 ところで中井プロ。

中井 なんでしょうか。

上杉 話が壮大にズレていて、肝心のボールにフェースをどう当てるか、という話がまったく出てこないんですけど……。

中井 あっ! そ、それは来週詳しく説明します!
話しがズレたまま終わる! これぞ「僕マグ」! ということで、フェース面をどう使って球をとらえるべきか。その真相は持ち越しです。しばしのお待ちを! ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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