僕のマグノリアレーン

2012.09.06

【第82回】
プレッシャーに負けない「力の向き」

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン役を引き受けたプロゴルファー・中井学による二人三脚ゴルフレッスンドキュメント「僕マグ」。今週も競技を目指すゴルファー必見の内容です!

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タイガーやミケルソンは
"ロブショット"で300ヤード飛ばす!?

中井 うわ~っ、また上杉さんがとくにやる必要のない場面でロブショットを選択してミスをしたーッ!

上杉 ……ずいぶんとわざとらしい説明ですね、中井プロ。ミスをしたのは事実ですが、それを広く読者に伝える必要が果たしてあったのでしょうか。

中井 都合のよい情報だけでなく、不都合な情報も公開する。隠蔽体質のどこかの政府や電力会社とは違う、これが「僕マグ」のポリシーです。

上杉 むむむ。まるでどこかのジャーナリストのような言い方ですね。一体誰の影響ですか?

中井 言わずもがな、某有名「元・ジャーナリスト」の影響です。さて、今週は冒頭の上杉さんのミスを受けて、「力を向ける方向」の話をしたいと思います。

上杉 なんですか、力を向ける方向って。

中井 上杉さん、先ほどはロブショットをミスしましたが、なんでだと思いますか?

上杉 ミスの理由がいちいち自分で分かっていれば、今ごろ私はアメリカでローリー・マクロイやタイガー・ウッズと優勝争いしています。

中井 なるほど……。えーとですね、ロブショットはそもそも上杉さんの得意技。なのに、時折アッと驚くようなミスが出る。成功と失敗の振れ幅が大きいんです。その理由は、力を向ける方向を間違っているからなんです。

上杉 だからなんなんですか、力をかける方向ってのは。

中井 タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンが、グリーン周りからフルショットのような振り幅で、とてつもない高さのロブショット、いわゆる“パラシュートロブ”を打つじゃないですか。たとえばあれは、「上」に力を向けているんです。あのショットの勢いを仮に「前」に向ければ、軽々と300ヤード飛ばせるはずです。

上杉 いくらなんでも、サンドで300ヤードは無理でしょ~。

中井 ああ、もちろん、ドライバーを使えば、という話です。ロフトが10度以下のドライバーで、ハンドアップ気味、ハンドファースト気味に構えれば、力の向く方向は「前」になります。ロフトが60度前後のサンドをさらに開いて、ハンドダウン気味、ハンドレート気味に構えれば、力の向く方向は「上」になります。極端な言い方をすれば、このふたつのショット、スウィング自体のイメージは
「同じ」でいいんです。

上杉 300ヤード飛ばすドライバーと、ほとんど真上に打ち出すようなロブショットのスウィングが同じ? いくらなんでもそれは言い過ぎでは? あ、待てよ、確か以前、田村尚之さんからドライバーもロブショットで打てと教わったような……。

中井 そう、田村さんの言わんとすることも同じだと思いますが、決して言い過ぎではないですよ。だって、そのほうがシンプルだし、簡単ですから。ドライバー、アイアン、アプローチ、それぞれでスウィングのイメージを変えるほうがよっぽど複雑です。

ボールに力を加える「向き」を変えれば
スウィングはひとつでいい!

082スウィングは同じでも、構え方を変えることで球筋はコントロールできる

上杉 要するに、セットアップを変えて球筋を打ち分けるってことですか。

中井 簡単にいえばそうです。構え方で力を向ける方向を決定したら、あとは体を使ってスウィングするのみ。上杉さんのロブショットは、球を上げようという意識から、どうしてもアオリ打ち気味になってしまいやすいのですが、そういった特殊な打ち方をコース内で一度でもしてしまうと、他のショットにも影響が出てしまいます。

上杉 そういうもんですか。

中井 力を向ける方向を意識するとは、すなわち球の高さを管理することなんです。たとえば、アマチュアの人に「球の高さを打ち分けるにはどうしたらいいと思いますか?」と聞くとするじゃないですか。多くの人は、フェースを開くとか、カットに振るとか、リリースのタイミングを早めるとか言いますが、僕だったら「クラブを変える」と答えます。ロフトが変われば球の高さは当然、変わる。それがいちばん簡単な方法ですから。

上杉 なんか、僕マグは「上級編」になったというのに、“簡単”というキーワードが頻出しますね。

中井 競技ゴルフを前提とした僕マグ「上級編」は、球の打ち方に関しては徹底的に「簡単」であることを追求していきますよ。だって、ゴルフで本当に頭を使わなくちゃいけないのは、打ち方ではなくてコース戦略、マネジメントの部分ですから。打ち方のほうは極力シンプルにしておいて、いかにコースを攻略するかに神経を集中する――。

上杉 そして中井プロはラクをする、と――。

中井 違ーう! 100切りを目指すゴルフと、競技で成績を出すことを目指すゴルフ、その最大の違いは、なんといっても土壇場でのプレッシャーの量なわけです。ティショットをフェアウェイに置けさえすれば、100ヤードから乗せさえすれば、アプローチでワンピン以内に寄せさえすれば予選通過、あるいは優勝といった場面で、とにかくスウィングに神経を使いたくないんですよ。

上杉 ああ、そりゃまあそうですね。

中井 残り100ヤードちょっとから、グリーンに乗せさえればあとは2パットで予選通過、という状況で、体重移動は少なめにとか、右ひじの角度がどうだとか、はっきり言ってそんなもん言ってられないんですよ。言ってられないんだッ!

上杉 落ち着いてください。突然どうしたんですか、一体。

中井 ふふふふふ、あのとき、まさかピッチングがあんなに飛んじゃうとはね……ははははは。はーっはっはっ!

上杉 うーん、これは根が深い。

中井 ……はぁ、とにかく、プレッシャー下でもいつもと同じスウィングをするためには、ショットごとに“小細工”をしないこと。そのためには、セットアップと正しいクラブ選択によって、ボールに力を加える「向き」を意識すること。それを忘れないでください。

 

プレッシャー下の重圧をはねのけるためには、スウィングはひとつにしておきたい。そのために、球筋はセットアップだけで打ち分けましょうというお話でした。しかし中井プロ、過去にいったい何があったんだ! というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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