僕のマグノリアレーン

2012.08.23

【第80回】
「体だけで打つ」の本当の意味

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」2011年1月にそう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー中井学による二人三脚ゴルフレッスンドキュメント、それが「僕マグ」。今週も飛距離アップを目指すための方法を考察します!

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驚異的に飛距離が伸びる
"ウエスギ&チルト"打法

中井 お盆で一週お休みをいただいたので、ちょっと前回のおさらいをしておきましょう。上杉さん、突然飛距離が伸びたんですよね?

上杉 いかにも。パー4で1回ワンオン、1回はグリーンオーバーですからね。7月に出場した「関東ミッドパブ予選」では低いスライスで220ヤードくらいしか飛ばなかったのが嘘のようです。あーあ、本番であの飛距離が出ていれば、今ごろ全国大会出場に向けて準備している頃なのに。

中井 まあ、そういうものですよ。「本番にピークを合わせる」というのはかなりの高等技術。それは来年、試合に出る前にお教えします。さて、なぜ上杉さんの飛距離が突然伸びたか。それには、全英オープンでの取材経験が役立ったという話でした。

上杉 全英に取材に行った際、藤田寛之プロの練習ラウンドに密着していたんです。藤田プロは、バックスウィングで右腰を沈みこませるようにしてコンパクトなトップを作り、低い球を打っていた。そのバックスウィングを取り入れ、ダウンでは米ツアーの飛ばし屋、ダスティン・ジョンソンのように左腰を沈み込ませるように打つ――。

中井 その結果、ロフトを立てながらインパクトを迎えることができ、上杉さんの“持病”であるアオリ打ちが消えて、中弾道・低スピンの飛ばせる球になった、というわけですね。僕はこれを「ウエスギ&チルト打法」と命名しました。

上杉 いま流行りの「スタック&チルド打法」のパクリですね、要するに。

中井 そういう本質的なツッコミは勘弁してください。でもね、実際問題「スタック&チルト」の考え方って、僕の理論にも通じるものがあるんですよ。

上杉 またまた~。

中井 いや、本当に。前回もお話ししましたが、「スタック&チルト」に限らず、アメリカのゴルフ理論って、必ずや史上最高のボールストライカー、ベン・ホーガンに行きつくんです。ホーガンのスウィングを一言でいうと、腕を使わず、体重移動を意識的には行わずに、体の回転だけで打つ打ち方です。これって、僕が普段言っていることと同じなんですよ。スタック&チルトの場合、それを実現するための方法として“左軸”を強調しているわけです。

上杉 私もかつて名誌「Choice」でベン・ホーガンの特集記事を書いたことのある男。興味深いですね。

飛距離はパワーじゃない、
スピードが大事なんだ!

080「アメリカのゴルフ理論はベン・ホーガンに行きつく」と中井はいう

中井 上杉さんも、ベン・ホーガンとまではもちろんいきませんが、「手を使わずに体で打つ」という最初のハードルはクリアできているんです。スタック&チルトではそのための方法を「左軸」と教えますが、上杉さんの場合は藤田さん+ジョンソンのイメージを取り入れた、「沈んで、沈む」打ち方により、それを達成できたということです。

上杉 それが「ウエスギ&チルト」だと。うーん、あと問題はネーミングセンスだけですね……。

中井 僕は、この連載がはじまってからずっと「手を使わずに体で打つ」ことの重要性を話し続けていますが、それって結局、

1.前傾角度を崩さない
2.カラダの正面で打つ

このふたつが目的なんですよ。ざっくりで言うと。前傾角度が崩れなければ、体の回転だけでボールを打つ(=つねに正確にインパクトする)ことができます。そして、体の正面で球を打つことができれば、ロフト通りに球が上がり、スピンも減らせる。人間の体の構造、ゴルフクラブの構造を考えたときに、もっとも効率がいいのがこの打ち方なんです。

上杉 たしかにこの一年半で、「腕を使わなきゃ飛ばせないでしょ!」という考え方は消え去りました。

中井 「腕を使ったほうが飛ぶ」は、考え方の違いじゃなくて、物理的に絶対に飛ばないやり方ですからね。低い球を打つにしても、以前の上杉さんは球を右足寄りに置き、上から下にクラブを叩きつけるようにして打っていましたが、今はボール位置を変えずに、前傾角度をギリギリまでキープして、体全体で抑え込むようにしてロフトを立てることで低く打つことができています。この差は大きいですよ。

上杉 うーん、知らない間にずいぶん上達したものですね、私も。

中井 ただし、矛盾するようですが、「飛ぶ=上手い」ではないことも忘れてはいけません。ドライバーが真っすぐ遠くに飛んだからスコアが良くなった、というのは、100切りを狙うゴルファーや、せいぜい90切りを目指す人のレベルです。

上杉 せっかくの喜びに水を差す一言、ありがとうございます。

中井 さらに矛盾するようですが、同時に、もっともっと飛距離アップする必要もあります。

上杉 どうしたらいいいんですか、もう。そんな、どこかの国の政治家のような朝令暮改の発言では、決まる法案も決まりません。

中井 上杉隆飛距離アップ法案は、ぜひとも次回通常国会ならぬ通常レッスンで成立させたいところです。上杉さんはもう「白ティ」で70台を出しても喜んではいけないレベル。総ヤーデージが5000ヤード台のコースならば今の飛距離で十二分ですが、7000ヤード級のコースを攻略するためには、やはり270ヤード平均を本気で目指さなければいけません。

上杉 そのためにはどうしたらいいんですか? やはり肉体改造でしょうか。ジムかなんかに通って――。あるいはエステサロンにも通いながら…。

中井 上杉さんが無意味にマッチョになっても、一部男性ファン、いや女性ファンは喜ぶかもしれませんが、飛距離には影響ありません。ゴルフにおいて飛距離と直結するのはパワーではなく速度。上杉さんは体の回転だけで打つことができるようになりつつあります。次は、その回転速度をアップさせることが必要になってくるのです。エンジンは完成したので、いよいよ運転技術を学ぼうということです。

上杉 一年半もやって、まだ“仮免”ですか……。

 

「体の動きだけで打つ」中井学理論の基本の先には、「体の回転速度を上げる」という次なる次元が待っていた! 登頂したかと思ったら、まだ五合目! 先は長い! というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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