僕のマグノリアレーン

2012.08.09

【第79回】
ロフトを立てる! インパクト

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、レッスン担当のプロゴルファー・中井学による二人三脚レッスンドキュメント、それが「僕マグ」。今週まさかのレッスン役交代!?

パー4で1オン連発!
長崎で上杉が飛ばし屋に変身

上杉 中井プロ、大変なことが起きましたよ。

中井 よく大変なことが起きますね、上杉さんの周りでは。ツイッターが炎上でもしたのですか?

上杉 失礼な男ですね。違います。ツイッターは炎上が常態なので大変なこととではありません。ゴルフですよ、ゴルフ。というのも、先日長崎に講演に行ったわけです。

中井 はぁ。

上杉 講演を終え、お盆も近いし、その後、長崎の親戚の墓参りに向かったんです。

中井 上杉さんは東京育ちだけど、ルーツは九州北部ですもんね。

上杉 ええ。そうしたら、予定よりも早く墓参りが終わった。でも、東京に帰る便がない。そして気づいたら翌朝ゴルフ場にいたんです、なぜか。

中井 不思議なこともあるものですね。墓参りにかこつけてゴルフがしたかっただけではないかという気がしないでもありませんが……。

上杉 またしても失礼なことを言うのはやめてください。ともあれ、なぜか長崎が誇る名シーサイドコース、オーシャンパレスGCの1番ティに立っていたんです。しかも、これまたなぜかクラブを筆頭にシューズ、グローブなどのゴルフグッズも一式ゴルフ場に届いている。こうなったら仕方ないってんでゴルフしたってわけです。

中井 落語みたいになってきましたね。で、どうだったんですか。

上杉 トリがひたつに、ダボがひとつ。ボギーがふたつ……。

中井 あちゃ~、また70台を逃したわけですね。あーあ、マスターズは遠いなぁ。

上杉 話は最後まで聞いてください。スコアは「77」です。1イーグル、3バーディ、2ボギー、2ダボ、1トリプルで。すごかったんですよ、本当に。誰も言ってくれないから、自分で言いますけど。

中井 なにがすごかったんですか?

上杉 飛距離です。約310ヤードのパー4で、グリーン奥にワンオンしましたからね。

中井 風速30メートルくらいのフォローだったんですか?

上杉 どこまでも失礼な男ですね……。実力ですよ、実力。事実、この日の飛びは、私の人生でもナンバーワンと呼べるものでした。キャディさんも「このホールでワンオンするなんて」って絶句してましたからね。

中井 そのホールでイーグルを奪ったわけですか。

上杉 いや、それは別のホールです。同じくパー4でほぼ1オン、7ヤードほどをウェッジで打って、チップインイーグルです。ほかにもパー4でティショットがグリーンオーバーしたホールがあるなど、圧倒的な飛距離でコースをねじふせた、といった印象ですかね。ははははは。

中井 しかし、なにが起きたのですか? この間まで全然飛ばなかったのに。

上杉 さて、ここから本題です。読者諸君、今週の「僕マグ」は、私・上杉隆がレッスンを担当します。

中井 えええっ、一体全体どういうことですか?

上杉 ふふふふふ。中井プロの教えを咀嚼・発展させ、さらには取材を通して得た知識を加味して、ついに私は新次元のゴルフスウィングを獲得したんです。解説しましょう。まず、テークバックは藤田寛之プロのイメージです。すなわち、右の腰を沈み込ませるようにして、コンパクトなトップを作る。その際、これはスコットランドの名伯楽、ボブ・トーランス翁から伝授された技ですが、両ひじと体の距離を狭める意識を持つのがポイントです。「わきを締める」イメージだと、上体が力んでしまうので注意が必要です。

中井 なっ、なんか、ホンモノっぽい……!

上杉 その間、もちろん手はまったく動かしません。あくまで体の動きだけでテークバックを行うんです。これは(C)中井学、ですね。そして、ここからがもっとも重要なのですが、ダウンスウィングはダスティン・ジョンソンのイメージ。すなわち、テークバックとは逆に左腰を沈み込ませ、逆にいえば右腰を高い位置に保ったまま、振り抜くんです。トップもフィニッシュもコンパクトに収まりますが、飛びますよ~、このスウィングは。

 

全英オープンのイメージで打て!
中井プロ命名の"上杉&チルト"打法

079飛ばし屋に変身した上杉。その秘密は、藤田寛之のテークバック(左)とダスティン・ジョンソンのダウンスウィング(右)だ!

中井 うーん、なるほど。今まで見てきた選手、あるいは教わってきたことの「いいとこどり」なわけですね。これはまさに、今はやりの「スタック&チルト打法」ならぬ、「上杉&チルト打法」と言えます。

上杉 直訳すると、「上杉と傾き打法」。まったく意味がわかりませんが……。

中井 そこはまあ、置いといて。実は、「スタック&チルト」って、独創的理論というよりは、ベン・ホーガン、バイロン・ネルソン、サム・スニードといった伝説的名手たちのスウィングから、「これだけは外せない」という要素を抽出した、いわば過去のスウィング論の統一理論なんですよね。それを、上杉さんは独自に行ったといえます。

上杉 実は、最近取材に訪れた全英オープンも強く影響しているんですよ。アダム・スコットやタイガー・ウッズはもちろん、練習ラウンドを取材した藤田プロも、腰の位置が上下動しない、極めて安定したスウィングで、中弾道のボールを打っていた。それが強く印象に残っているんです。

中井 体の正面でロフトを立てながらインパクトし、それによってラインを出しながら飛ばす。まさに、最先端のスウィングですね。ダスティン・ジョンソンもまさにそうやって打っています。いいですよ、上杉&チルト。冗談抜きで、決して悪くありません。

上杉 あれ。てっきり頭ごなしに否定されると思ったんですけど。

中井 スウィング中に手を使ってしまうこと。バックスウィングでの伸び上がり。そしてダウンで体が突っ込むこと。その3点が上杉さんのスウィングの“持病”です。それに対して、図らずも理にかなっています。とくにいいのは、「全英」のイメージをスウィングに持ち込んでいること。ボールを右に置いて上からクラブを打ち込んで低い球を打とうとするのではなく、前傾角度を維持し、体の正面でとらえることで、上手くロフトを立てているのでしょう。

上杉 ロフトを立てながら当てると、なにがいいんですか?

中井 ひとつにはロフトが立つ分、当然ながら飛ぶということ。さらには、フェース面をスクェアに保ちやすいので、ラインが出せる。それでいて、ロフトがゼロになるわけではないから、球もしっかり上がるということ。「スタック&チルト」を実践しているプレーヤーたちも、一様にこのようなインパクトを迎えています。

上杉 いいことだらけじゃないですか。

中井 まあ、プロにとっては「基本」なんですけどね。これには、ダウンで右腰の位置を高く保つイメージが有効に機能していると思います。右腰の位置が下がると、クラブが寝てしまい、ロフトが増えた状態でインパクトを迎えることになってしまいますからね。

上杉 よし、じゃあしばらくはこの打ち方でいってみよう。うーん、中井プロ、プレーヤーとしてではなく、コーチとしてマスターズを目指したほうがいいですかね?

中井 僕の立場はどうなっちゃうんですか……。

 

というわけで「ロフトを立ててインパクトを迎える」って、普段あんまり意識しないけど、ものすごく大切なことだそう。今後、さらに詳しくレポートします。さて、「僕マグ」は次週、夏休みをいただきます。また再来週、秋風が吹き始めるころにお会いしましょう!



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