僕のマグノリアレーン

2012.05.17

【第67回】
すべてのスウィングはパターに通ず

僕のマグノリアレーン

セベ・バレステロスGCで開催された、「第三回東京脱力新聞杯 福島・茨城チャリティゴルフ」で、強風と大雨というコンディションのなか、後半「39」という好スコアを叩きだした上杉隆。その結果には、隠された理由があった。その日のラウンドの模様を、今週はプレイバック!

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青春時代を共に過ごした
上杉の同級生の登場です!

鈴木 中井プロ、今日はよろしくお願いします!

中澤 よろしくお願いしまーす。

中井 こちらこそ、よろしくお願いします。

上杉 ちょっと待ったー!

鈴木 なんだよ、ウエスギ。ゴルフ場で大声出して。

中澤 まったく、マナーがなってないなぁ、ウエスギは。

上杉 ……。ていうかね、君たち、突然出てこられても困るんだよ。いきなり、「鈴木」だの「中澤」だのって言ったって、読者は誰のことだか分からないっての。

中井 では、私からご紹介しましょう。「鈴っちゃん」こと鈴木秀俊さん、「ヨデブ」こと中澤義弘さん。おふたりは、上杉さんの中学校時代からの親友。ともにゴルフをはじめた仲、ですよね。

上杉 不本意ながら、事実です。

中井 僕は上杉さんがご自身の青春時代について綴った著書「放課後ゴルフ倶楽部」のファンでしたから、本に登場するおふたりに初めて会ったときは、なんだかアイドルに会った気分でしたよ。

上杉 そんないいものではありません。中学校時代はこの二人プラス数名で固まり、ひたすらゴルフのことだけを考えていましたからね。ゴルフが「オヤジのスポーツ」と見なされていたあの頃、ゴルフの話で盛り上がる我々は、教室の中でもかなり浮いた存在でした。マスターズの週は全員遅刻するし……。

中澤 寝坊するわけじゃなくてね。

鈴木 むしろ早起き。4時前には起きているのに遅刻する、という。

中井 「勉強よりも、恋よりも、僕らはゴルフがしたかった」という本のキャッチコピー、そのままの学校生活ですよね。まあ、僕も似たような青春を送っていましたが……。

上杉 というわけで、今日はこのふたりも同組でラウンドです。中井プロ、ご迷惑をおかけするのでよろしくお願いいたします。

中井 お三方は、同じ時期(80年代初頭)にゴルフを始めただけあって、やっぱりスウィングがどこか似ていますから、アドバイスも必然的に似てきます。今日は3人まとめてレッスンしますよ。

上杉 マスターズを目指すこの私と、100を切ったことのないこの男(鈴木さん)の、どこが似ているというんですか、中井プロ。

中井 やっぱり、パーシモン的なスウィングをしている点です。いわば、「80年代打ち」。ニック・ファルドの登場以前、まだボディターンという言葉が一般的になる前のスウィングです。

中澤 ファルドってよくわかんないよね。

上杉 イギリスの新人って感じだよな。

鈴木 イギリスって言ったら、やっぱりモンティ(モンゴメリー)に、ウージー(ウーズナム)でしょ!

中井 うーん、典型的80年代ゴルファー。90年代、ファルドの登場とその活躍とともに、デヴィッド・レッドベターが提唱した「ボディターン・スウィング」はゴルフ界を席巻します。90年代初頭に青春を過ごした、現在アラフォー世代は、いまだにノーコック気味で体だけを回すスウィングをしがちなのは、そのせいです。

上杉 私たちはその一世代前、ということですね。

パーシモン世代のゴルファーは
インサートなしのパターがいい!

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中井のアドバイスにより、上杉はこれまでよりも長めでインサートなしのパターに替えた

中井 80年代のパーシモン的スウィングの時代って、ある意味「インパクトの時代」なんですよね。ニクラス、セベ、ノーマン……個性的なスウィングをする選手が世界中で活躍していましたが、その共通点は強烈なインパクト。体の動きがどうとか、そういうのではなく、「強く打つ」ことに焦点が集まった時代といえます。

上杉 あ、たしかにそうかも。

中井 そんな時代に育った影響で、お三方ともやっぱりアームスウィングなんですよ。「体の回転で打つ」というよりも、「腕の力で叩く」という意識がどこかに残っている。みなさん、今日はとにかく腕を使わない。体だけでスウィングすることを心がけて、プレーしてみてください。

三人 ハーイ!

(2時間後――)

中澤 あーあ、結局「50」打っちゃったよ。

鈴木 おれは「54」だけど、数字ほどには内容は悪くない。

上杉 54も打って内容もなにもないと思うんですけど……まあ、たしかにショット自体は良かったね。

中井 そして上杉さん、ナイス「39」です。

上杉 天候に恵まれず、(先週お伝えした通り、この日、セベ・バレステロスGCで開催された上杉主催のチャリティコンペは、極めて悪天候でした)、なおかつパートナーにも恵まれない中、素晴らしいスコアですね、我ながら。

中澤 おいコラ。パートナーは最高でしょうが。

中井 上杉さんの好スコアの要因は、ショットもさることながら、パットの影響も大いにあります。

中澤 どういうことですか?

中井 実は、上杉さんにはパターを変更してもらったんですよ。以前はインサート入りのパターを使っていましたが、それをインサートなしのものに替えました。

鈴木 パターって、結局は「好みの問題」じゃないんですか?

中井 それは大いなる誤解です。お三方は、80年代的な「インパクト重視」のスウィングをしているのが特徴ですが、それは、パターにも影響を与えます。

中澤 どういうことですか?

中井 スウィングとパッティングストロークには、実は密接な関係があります。お三方のような、球を潰す、インパクト重視のスウィングをする人、言い換えればチーピンのミスが出やすいタイプのプレーヤーは、パットでも強くインパクトを作り、引っかけのミスが出やすい傾向があります。

鈴木 あ、たしかに。

中井 にも関わらず、上杉さんは32インチと短く、なおかつ球がつかまりやすいインサートの入ったパターを使っていました。これにより、「つかまり過ぎ」が起きていた。だから、同じピン・アンサータイプのパターながら、長さを32インチから34インチに長くし、なおかつインサートの入っていないものにしたわけです。

中澤 カタチは同じでも、スペックを変えたわけか。

中井 基本的に、「短い」「軟らかい」パターはつかまりやすく、「長い」「硬い」パターはつかまり過ぎない。これと、自分のストロークタイプを合わせると、ミスがなくなるわけです。これくらいの変更でも、結果は大きく変わりますよ。

中澤 たしかに、今日のウエスギは2メートルくらいをガンガン入れてたなぁ。

中井 ミスの怖さがない分、距離感とラインに集中できているからです。パターは好みで選ぶという人が多くいますが、実際はスウィングタイプに合わせて選ぶべきなのです。

鈴木 なーんだ、ウエスギが上達したんじゃなくて、パターがいいっていうことですね。要するに。

上杉 パターでも「流し打ち」する男に言われたくないっての!

 
というわけで、東京・新宿を舞台に、ゴルフに夢中な少年たちの青春を描いたノンフィクション、「放課後ゴルフ倶楽部」(ゴルフダイジェスト社)、絶賛発売中です! あと、パターは流行に流され過ぎず、自分のストロークに合ったものを選ぶと吉です。来週も、目指せ、マスターズ!



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