僕のマグノリアレーン

2012.05.10

【第66回】
雨の日にスコアを15打良くする方法

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言した元・ジャーナリスト上杉隆。それをサポートするプロゴルファー中井学。二人三脚ゴルフレッスンドキュメント、今週は上杉主催のゴルフコンペの会場である、セベ・バレステロスGCからお伝えします!

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上杉主催のチャリティコンペに
参加した2人だったが……

担当 読者の皆様、本日は2012年5月3日。「第三回東京脱力新聞杯チャリティコンペ」当日です。昨年に引き続き、茨城・福島の被災地へのチャリティを目的とした上杉さんの誕生日に開催されるコンペ。もちろん、上杉さん、中井プロも参加して現在ラウンド中。そろそろハーフターンしてくる時間なのですが……。あっ、来た!

<上杉、中井、うなだれた様子で登場>

上杉 ……。

中井 ……。

上杉 ……。

中井 ……。

担当 ちょっと! おふたりとも、黙ってないで何か喋ってください。せっかく取材にきたのに、これでは記事になりません。

上杉 ……前半「54」も打った男が、一体なにを話せばいいというんですか。これがホントの「54ビジョン」ですよ。ハーフでだけど……。

中井 ……同じく、前半「42」も打ったプロゴルファーが語るべき言葉なんてありません。すみません、僕、今日はもう帰っていいですか?

担当 うわぁ……。おふたりとも、いつもの元気はどこへやら。上杉さん、朝イチの段階では、「降りしきる雨、そして頬を殴る強風。まさに、ゴルフの本場・スコットランドを思わせる“最高のゴルフ日和”です」とかなんとか言ってたじゃないですか。

上杉 そんなこと言いましたっけ、私。まったく、最低の天気ですね! ただでさえ関東屈指の難易度を誇るセベ・バレステロスGCにこの天気では、100を打つのは決定的。あ~、今日は取材なしにするべきだった。なにより、間もなく(5月7日)一周忌の命日を迎えるセベに対して恥ずかしいスコアです。

中井 同じく。ナイスショットが3回も突風にあおられてOBになれば、そりゃ6オーバーも叩きますよ、僕だって。は~、白ティからラウンドして「42」なんて、一体何年ぶりのことであろうか……。泣けてきました。

上杉 中井プロのスコアには、多分に不運の要素があったことを、同伴者として付言しておきましょう。なにしろ、真っすぐ飛び出したボールが、突然の風でOBゾーンに運ばれたり、ラフに落ちたボールがなぜかロストボールになったり……。

担当 なんという景気の悪い二人組。これでは到底レッスン記事にはなりません。外はバンカー内に水たまりができるほどの大雨だし……せっかくの連休に取材に来た、こっちの身にもなってください。

上杉 いけませんね、担当者の休日はどうでもいいとして、このままでは「僕マグ」を楽しみに読んでくれる読者に申し訳がありません。中井プロ、後半に向けてアドバイスしてください。

中井 そうですね。そうだなぁ……。ズバリ、「クラブを拭く」ですね。

上杉 なんという適当なレッスンなんですか。ショットを打つ前にグリップを拭く。そんなの、誰でもやってます。

中井 あ、やっぱり。上杉さん、それでは雨の中ではスコアは絶対にまとまりません。グリップはもちろんなんですが、シャフトにヘッド、つまりは「クラブ」自体を拭かないと意味がないんです。

上杉 どういうことですか?

中井 キャディバッグに入れるとき、グリップ側は常に下になるじゃないですか。そのとき、ヘッドやシャフトが濡れていると、水滴が垂れてグリップがびしょびしょになっちゃうんです。そのためグリップが水を含み、その結果グリッププレッシャーが高まってしまい、ミスを誘発するんです。

上杉 先に言ってくださいよ! そういうことは。

中井 あとは、「ピン手前狙い」です。

上杉 またしても当たり前のコメント。中井プロ、いくら自分のスコアが悪かった、プロとしては痛恨としか言いようがない、レギュラーティからのハーフ「42」という残念なものだったからといって、手抜きをしているんじゃないですか。

中井 (無視して)たしかにピン手前から攻めるのはゴルフの「基本」ですが、雨の日は特にそれを厳守することが必要なんです。雨の日はグリーンが重くなるから、むしろ下りのラインを残すべきという人もいますが、そういう人はグリーンの「重くなり方」を勘違いしています。

上杉 どういうこと?

中井 水は高いところから低いところに流れますから、傾斜によって水を含む量に変化が生じ、場所によって「重くなり方」にムラが生じるんですよ。とはいえ、上りのラインを打つ分には、晴れの日同様「しっかり打つ」という意識だけでいい。しかし、下りのように距離を合わせる必要のあるパットの際に「物差し」が作れなくなってしまい、思わぬ大オーバーや大ショートを引き起こしてしまうんです。とにかく、雨の日は1メートルの下りより、3メートルの上り。そして、それを薄く、強くヒットしてねじこむことです。

上杉 むむむ。まさに、雨で止まりやすいからとピンをデッドに狙い、下りのパットを残して3パットを連発していましたよ、午前中の私は。

中井プロのアドバイスで
上杉のスコアが劇的に変化!?

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雨の日は普段以上にピン手前から攻めることを意識し、動作をゆっくりと行うこと
中井 雨の日にスコアを崩すのは、ショットよりもパットが原因の場合も多くありますからね。これは忘れてはいけません。最後に最重要ポイント。雨の日は、とにかくゆっくりプレーすること。

上杉 あれ? 中井プロ、ゆっくりスウィングはあまりお勧めしない立場じゃなかったでしたっけ?

中井 スウィングじゃなくて、この場合プレーリズムの話です。雨の日は、ほとんどの人が普段よりもルーティン、アドレス、スウィング、歩調、すべてが速くなってしまうんです。つまり、雨によって普段のプレーリズムを壊される。これは、あらゆるミスの元凶です。

上杉 言われてみるとたしかにそうかも。

中井 だから、ひとつひとつの動作を、大げさにゆっくり行う意識を持つこと。それで、普段のプレーリズムに近づけます。本当は、雨の日にレインウェアを着て傘を差さずに外を歩くとか、「濡れる訓練」をしておくといいんですけどね。

上杉 「シンギン・イン・ザ・レイン」ならぬ、「スウィンギン・イン・ザ・レイン」を楽しめばいいわけですね。

中井 まあ、なんていうか、そういうことです。たぶん。あと、今日のように大気が不安定な状態の日は、ラウンド中に急に雨がやみ、日差しが差しこむなんてことがままありますよね。

上杉 前半でも一瞬ありましたね、ほとんどやみそうになった瞬間が。

中井 ああいうときに、絶対にレインウェアを脱がないこと。脱いだ瞬間に感覚が変化し、スウィングに微妙なズレが生じますから。それに、もう一度降りだした場合、脱いだものをまた慌てて着たりすることで、プレー全体のリズムも損なわれてしまいます。どれもこれも特別じゃない、当たり前のことですが、これらを意識するだけでもハーフで2、3打は違いますよ。

上杉 了解です。後半は、今言われたポイントを守ってラウンドしてみます。

――2時間15分後

担当 おつかれさまでした。いかがでしたか、後半は?

上杉 ははははは。はーっはっはっは。

中井 ……。

担当 ハーフターンのときとえらい違いですね。いったい何が起こったんですか。

上杉 いや~、やっぱりすごいですよ、中井プロのアドバイスは。後半、私のゴルフは劇的に変化しました。

担当 それは素晴らしい。で、スコアは何打縮まったんですか?

上杉 聞きたい?

担当 そりゃまあ、はい。

上杉 仕方ない、では教えてあげましょう。驚くなかれ、「15打」です。

担当 ええっ、では、この雨のなか「39」!? それはすごい。で、中井プロは?

中井 ……。

上杉 君ッ、失礼じゃないか! プロのスコアをそんなに不躾に聞くなんて。

担当 えっ。でも、担当編集として、そこは取材しておかないと。

中井 …………「40」です。

担当 てことは……中井プロ、上杉さんにハーフだけとはいえ、負けてしまったんですかッ。

中井 ……(力なくうなずく)。本当に、近年まれに見る大たたきです。

担当 それはそれは……。しかし上杉さん、前半「54」で後半「39」ってことは――?

上杉 「83」ですよね。いやー、参ったな。今日のコンペ、主催者なのに優勝してしまうかもしれません。

中井 ……上杉さん、39+54は「83」ではなく「93」です。まさか、スコアを“捏造”しようと……?

上杉 違ーう! しまった、足し算を間違えたッ! 誤解です、「捏造」じゃなくて、ただの「計算間違い」だっ。

担当 もう、いいです。どっちでも!

 
それにしても、この「39」はすごかった! 来週は、このラウンドでなにが起こったのかをさらに詳しくレポートします。上杉隆の著作「放課後ゴルフ倶楽部」の登場人物たちも“出演”しますよ! というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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