僕のマグノリアレーン

2012.04.19

【第64回】
「300ヤード」のロングパット

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言したジャーナリスト・上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー・中井学。今週は、ふたり揃ってとあるコンペに参加しているようですが……。

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開眼したはずの上杉だったが
まさかの大叩き……!?

4月某日。茨城県の「セベ・バレステロスGC」で、とあるコンペが開催されていた。そこに姿を表したのは――我らが「僕マグ」コンビ、上杉隆と中井学。
上杉 はぁ~。

中井 どうしたんですか。もうすぐティオフだってのに、ため息なんかついちゃって。

上杉 打っちゃったんですよ……100を。自慢ではありますが、私はゴルフをはじめてこのかた、100を打ったのはほんの数えるほどしかないんです。

中井 落ち込んでいると見せかけて、さりげなく自慢をするとはさすがですね。しかし、なにがあったんですか。

上杉 ショットの圧倒的な不調です。昨日、中日クラウンズの開幕を控えた名古屋GC和合コースに行ったのですが、スコアカードにほぼ、ダボとトリしかありませんでした。しかも、パターの調子が空前絶後によく、ワンピンくらいの距離をほぼすべてねじ込んで、そのスコアです。さらに恐ろしいことに、その日、私はOBを打っていないんですよ。

中井 うわぁ……。それで100ですか。マスターズはおろか、日本パブリックゴルフ選手権、通称パブ選の予選「参加」すら戸惑うレベルですね、それは。

上杉 なんとでも言ってください。人を呪わば穴ふたつ。私が大叩きをしたということは、コーチの指導力も自ずと問われることになります。

中井 あっ、そうだった。それはまずい。大いにまずい。しかし、まさに前の組が空き、上杉さんのティオフの時間。とりあえず打ちましょう。

上杉 そうですね。昨日のショットの乱調は、きっと悪い夢に違いありません。とりゃーっ(と、打つ)。
弱々しい球が、約170ヤード先のフェアウェイに申し訳なさそうに着地。おずおずと10ヤードほど転がり、止まる――
中井 ……重症ですね。

上杉 そうなんです。ロッテ葛西練習場の250ヤード先のネットにダイレクトで当たっていたのが早くも遠い過去の栄光に感じられる、ただ今の私の打球です。

中井 おそらく昨日のゴルフが強烈なトラウマになってしまっているのでしょう、技術云々の前に、曲げたりミスすることを恐れて、まったく振れていません。

上杉 精神的な問題ということですか。私は「捏造ジャーナリスト」「デマ野郎」等々とネット上で「叩かれる」ことには慣れていますが、ゴルフ場でスコアを「叩く」ことには慣れていませんからね。

中井 誰がうまいことを言えといったんですか。うーん、セベGCは関東でも屈指の難コースのひとつ。しかも今日は4月とは思えない寒さに加え強風という過酷なコンディション。このままでは今日も100を打つ可能性があります。

上杉 「僕マグ」は100切りを目指す連載ではなく、マスターズを目指す連載ですからね。これは連載の存続にすら関わる問題です。

中井 よし、では次のホールのティグラウンドでレッスンしましょう。

超ロングパットのイメージで
ドライバーを振ってみよう!

064
肩と手首がつくる三角形の関係を崩さずに、ロングパットのイメージで体全体でストロークする
――上杉、なんとかボギーで1番ホールを切り抜けて、2番ティグラウンドへ。
上杉 しかし、先日のレッスンですっかり飛ばし屋に変身したと思っていたのに、短期間でこんなに飛ばなくなってしまうなんて。いったいなにが原因なんでしょう。

中井 実は、上杉さんに起こっていることはプロゴルファーでもよくある症状なんですよ。飛距離自慢の大学出身プロが、プロ入り後、急に飛ばなくなる。

上杉 私が大学を卒業したのはかれこれ20年以上前のことですが――。

中井 すみません、ポイントはそこではありません。彼らがなぜ飛ばなくなるか。それはコースのセッティングの違いです。学生時代のコースセッティングでは多少曲げても平気だから、ガンガン飛ばせる。ところが、ツアーのコースセッティングではちょっと曲げたら即ボギー確定という状況も多々あります。そうすると、どうしてもスコアを崩す恐怖心から振りが鈍り、飛ばなくなる。そこでス
ウィング改造して迷路にはまりこみ、ツアーから姿を消したプロもいます。上杉さんも、和合の難しいセッティングに屈し、しっかり振ることができなくなっているんです。

上杉 和合の「呪い」というわけですね。まずいじゃないですか。早くおはらいしてください。

中井 和合は悪くありません。まあ、でもこれではさらに過酷なセッティングであるオーガスタでは到底戦えませんからね。オーガスタの「魔女の呪い」はそれこそ幾多のプロを狂わせてきましたから。

上杉 私が理想とするのは、今年マスターズで優勝したワトソン、あるいは私のヒーローであるセベ・バレステロスのように、豪快な飛距離で攻め、たとえ曲げてもそこからさらに曲げてリカバリーするスペクタクルゴルフですからね。飛距離は諦められません。で、どうしたたらいいんですか?

中井 そうですね、今から打つティショット、パターで打つつもりでスウィングしてみてください。

上杉 冗談はよしてください。ただでさえ飛距離がガクッと落ちているのに、パターなんて一番飛ばないクラブのイメージで振るなんて。

中井 イメージはパター。その代わり、超々ロングパットを打つ気持ちで、思いっきりぶっ叩いてほしいんです。パターと同じように、肩と手首がつくる三角形の関係を崩さないように、体だけを動かして思いっきり叩くんです。そう、300ヤードのロングパットのつもりで。

上杉 300ヤードのロングパット、ですか。う~ん、たしかにそれだと相当引っぱたかないといけないですね。

中井 いいですね、300ヤード先にあるホール目がけて、一発でねじこむイメージでスウィングです。パット時と同様に、小手先ではなく、体全体の動きで「ストローク」することも忘れないでください。

上杉 2日連続で100を打つわけには絶対にいきませんからね。よし、覚悟を決めました。300ヤードを「1パット」で沈めるつもりで……とりゃーーーっ!(と、打つ)

同伴者 ナイッショー!!

中井 おお、素晴らしい。一発で効果が出ましたね。

上杉 来ましたね、久しぶりに。IPポイント付近までキャリーする、十分な飛距離です。うーん、こうやってきっかけをもらえれば打てるんだけどなぁ。

中井 たしかに、上杉さんって、1回良くなっても次お会いするときにはキレイさっぱり元通りになっていたりしますよね。選挙のこととか政治絡みの事件に関しては、それが起きたのが何年の何月かといったところまで物凄く覚えているのに。

上杉 困りましたね~。そうだ! では、一度覚えたことを二度と忘れなくなる道具を出してください。

中井 わしゃ「ドラえもん」かッ!

 
「体で打つ」と口を酸っぱくして語る中井プロ。ついには「ドライバーはロングパットだ!」と言い放ちました。アマチュアが手を使わずに振るためには、これくらいの意識が必要なんです! というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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